両親が亡くなった時の相続手順は?相続登記・遺産分割について解説

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両親が亡くなった場合、両親が有していた財産を相続人同士で分割することになりますが、相続登記や遺産分割をどのように行うのか分からない人も多いのではないでしょうか?

相続手順を知らずに相続を進めた場合、後で大きなトラブルに発展する可能性があるため、相続手順を事前に把握しておくことが大切です。

この記事では、両親が亡くなった時の相続手順について解説します。

目次

  1. 不動産の相続登記のパターンは全部で3つ
    1-1.遺言書による相続
    1-2.法定相続割合による相続
    1-3.遺産分割協議による相続
  2. 両親が亡くなった時の相続手順
    2-1.遺産を特定する
    2-2.必要書類を手配する
    2-3.相続人を確定させる
    2-4.遺産分割協議書を作成する
    2-5.申請書を作成・申請する
  3. まとめ

1.不動産の相続登記のパターンは全部で3つ

被相続人(亡くなった人)の遺産の中に建物や土地といった不動産が含まれていた場合には相続により所有者が変更になるため、名義変更手続きを行います。これを不動産の相続登記といいます。

2021年8月時点では相続登記が義務化されておらず、期限や罰則もありません。しかし、権利を確定させないと、将来的に相続人の間でトラブルに発展する可能性もあるため、早めに相続登記を行うことを検討してみましょう。

相続登記は全部で以下の3パターンがあります。

  • 遺言書による相続
  • 法定相続割合による相続
  • 遺産分割協議による相続

それぞれのパターンについて詳しく解説していきます。

1-1.遺言書による相続

1つ目は遺言書による相続です。被相続人(亡くなった人)が遺言書を作成していた場合、原則として遺言書の内容に従って相続を進めることになります。

しかし、絶対に遺言書の内容に従わなくてはならないというわけではありません。相続人全員が遺言書の内容に反対している場合、自分たちで遺産分割協議を行い、残りの2つの方法で相続を進めることも可能です。

1-2.法定相続割合による相続

遺言書が作成されていない場合は、法定相続割合に基づいて相続を進めることになります。法定相続割合とは、法律に定められている相続の割合です。法定相続人の順位と法定相続割合は以下の通りです。

法定相続人の順位

法定相続の順位 相続人
常に相続人になる 被相続人の配偶者
第1順位 被相続人の子
第2順位 被相続人の親
第3順位 被相続人の兄弟姉妹

法定相続割合

相続人 配偶者の割合 その他の割合
配偶者と子供 2分の1 全員で2分の1
配偶者と親 3分の2 全員で3分の1
配偶者と兄弟姉妹 4分の3 全員で4分の1

※参照:国税庁「相続人の範囲と法定相続分

【関連記事】不動産の相続、兄弟がいるときの財産分与の方法は?トラブル回避の注意点も

1-3.遺産分割協議による相続

必ずしも法定相続割合に基づく遺産分割を行う必要はなく、遺産分割協議という相続人全員での話し合いで遺産分割の方法を決めることも可能です。

例えば、不動産は配偶者が相続し、現金や株式などを子供が相続するなど、自由に分割割合を決めることができます。

被相続人の遺産に不動産が含まれているケースでは、法定相続割合に基づいて分割することが難しいことがあります。遺産分割協議により遺産分割を進めることで、それぞれの状況に合わせた分割を行うことが可能になります。

2.両親が亡くなった時の相続手順

相続が発生した場合には、遺産分割協議や必要書類の手配などいくつか手続きが必要です。手続きをスムーズに進める、トラブルを未然に回避するためには、どのような手順で相続を進めるのか事前に把握しておきましょう。

両親が亡くなった時の相続手順は以下の5つのステップです。

  1. 遺産を特定する
  2. 必要書類を手配する
  3. 相続人を確定させる
  4. 遺産分割協議書を作成する
  5. 申請書を作成・申請する

それぞれのステップを詳しく解説していきます。

2-1.遺産を特定する

まずは被相続人がどのような財産を有していたのかを特定しなくてはなりません。

自宅や現金以外にも、投資をしていた場合には賃貸物件、株式、投資信託、金などの資産を有している可能性があります。後で財産が見つかると遺産分割に影響を与えることから、時間をかけて被相続人の遺産を特定しましょう。

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2-2.必要書類を手配する

登記や相続手続きなどを進める際には、いくつか書類を用意しなくてはなりません。書類に不備があると手続きが滞るので、どのような書類が必要なのか事前に把握しておくことが重要です。

相続が発生した場合に必要な書類として、主には以下の3つが挙げられます。

  • 被相続人の戸籍(除籍)謄本
  • 被相続人の住民票(除票)
  • 被相続人の改製原戸籍

必要書類は市区町村役場で取得できます。郵送による手配が可能なケースもあるので一度市区町村役場に問い合わせてみましょう。

また、直接市区町村役場で取得する際は、請求者の本人確認書類、発行手数料、印鑑などが必要です。忘れた場合は発行してもらえないので、何が必要なのかを確認してから市区町村役場を訪れましょう。

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2-3.相続人を確定させる

手配した必要書類の内容を確認しながら相続人を確定します。離婚経験がある場合などは家族の知らない相続人がいる可能性もあるので、必ず相続人が誰なのか調査しましょう。

相続人が確定した後は法定相続人の戸籍謄本、遺産分割によって登記名義人になる相続人全員の住民票を取り寄せます。

2-4.遺産分割協議書を作成する

相続登記を行うためには、相続人全員で遺産分割について話し合う遺産分割協議に基づき、遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺産分割協議書の形式は特に決まっていませんが、被相続人の氏名や生年月日、本籍、死亡年月日、不動産(土地や建物)の所在地、面積、誰がどのような割合で取得するかは最低限盛り込んでおかなくてはなりません。

相続人の数が多い、遺産の種類が多いケースでは遺産分割協議が難航する可能性があるため、弁護士などの専門家を頼るのも選択肢の1つと言えるでしょう。

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2-5.申請書を作成・申請する

上記4つの準備が全て整った後は、登記申請書を作成して申請します。

登記申請書の雛形は法務局のホームページでダウンロードできます。申請書はA4の用紙で作成、文字は印字も手書きでも可(文字色は黒、鉛筆不可)などのルールが決まっており、不備があると受理してもらえないので注意が必要です。

申請は直接法務局に持っていく、郵送で申請する、オンラインで申請するといった3つの選択肢があります。

直接法務局に持っていけば不備があってもその場で分かる、相談しながら作成できる点がメリットです。しかし、法務局は受付時間が限られている、遠方にある場合は手間と時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。

3.まとめ

2021年9月時点では相続登記をしなくてはならないという法的なルールはありません。しかし、相続登記せずにいると不動産の権利関係が複雑になり、将来的に親族間でのトラブルへ発展する可能性もあります。

相続登記を進める際は、必要書類の準備、遺産分割協議などのいくつか手続きが必要です。相続登記を速やかに進める、不備によるトラブルを未然に防ぐためにも、事前に相続手順を確認してから相続登記に臨みましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。