REIT投資のメリット・デメリットは?株式投資やFXと特徴を比較

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投資を検討している人の中には不動産に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。不動産投資といえば、高額の物件を取得して家賃収入を得るというイメージがあるかもしれませんが、それと同じようなことを少額からできるREIT(リート:不動産投資信託)というものが存在します。

今回は、REITがどの点で他の金融商品よりもメリットがあり、どの点が他の金融商品よりもデメリットがあるのか、株式投資やFXとさまざまなポイントを比較しながら、REIT投資のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

目次

  1. REITとは
  2. REITのメリット
    2-1.手軽に不動産投資ができる
    2-2.不動産の性質に準拠した収益力
  3. REITのデメリット
    3-1.価格変動が大きめで特徴的
    3-2.運用コストが投資信託よりも高い
    3-3.投資法人が倒産するリスクがある
  4. まとめ

1.REITとは

REITは「Real Estate Investment Trust」の略で、米国で誕生しました。運用会社がファンドを組成して多くの投資家から集めたお金で複数の不動産を購入し、その賃料収入や売買益を投資家に分配する金融商品のことです。

投資する物件を一定の種類に「特化」するタイプと、物件の種類を複数組み合わせる「複合型」と呼ばれるタイプのものがあります。投資セクターとしては、①事務所やオフィスビル②住居③商業施設④ホテル⑤倉庫などの物流施設、の5つに分類されます。

REITの特徴としては、株式市場に上場をしており、証券会社を通じて株式やETFのように市場で売買されることが挙げられます。

2.REITのメリット

REITに投資をするメリットを解説していきます。

2-1.手軽に不動産投資ができる

REITは通常の不動産投資よりも手軽に家賃収入を得ることができるというメリットがあります。以下に詳しく記します。

少額から不動産投資が可能

通常、実物不動産投資では数百万円から数億円の資金が必要になりますが、REITでは少額から複数の不動産に投資できます。通常の投資信託と同じように1口1万円程度から購入でき、SBI証券や楽天証券などのネット証券を利用すれば100円から購入することも可能です。

物件選びや手続きは専門家にお任せできる

実物の不動産に投資をするためには、物件の検索・相場の調査・物件見学・交渉・融資手続きとさまざまな作業が発生し時間がかかります。ところがREITでは借入れや物件を探すなどの作業は基本的に必要なく、不動産の専門家に任せることができます。

海外のREITにも気軽に投資できる

実物の海外不動産の購入はハードルが高いものですが、REITであればお手軽に海外投資ができます。ただし、値動きは決して小さくありませんし、海外REITは為替リスクにも注意が必要です。また、「グローバルREITファンド」と名前がついていても、米国REITの組入比率が5割超となっている商品も多いので、よく中身をチェックしましょう。

FXや株式投資のように日々値動きをチェックする必要がない

REITは配当利回りが高いという特徴から、購入後は分配金を受け取っていく中長期投資のスタイルのほうが一般的になります。そのため株のトレードやFXなどと違い、毎日つぶさに値動きを追わなくても良い点はメリットです。

2-2.不動産の性質に準拠した収益力

REITは投資信託のような金融商品でありながら、利益は不動産に追随するため、収益面において双方のメリットを有しています。

FXや株式投資と同様にキャピタルゲインを得ることが可能

REITは上場していますので、株式のように売買することが可能です。現物不動産は流動性が低いうえ手続きが多く、売却開始から決済完了までは最短でも数週間、長いと数年かかっても売れないというケースもあるため、REITの流動性の高さは強みと言えます。

債券の金利収入や株の配当金のようなインカムゲインを得られる

REITでは投資先である不動産から得られた利益を分配金として受け取ることが可能です。日本のREIT(J-REIT)の場合、運用利益の90%超を分配金として投資家に分配すると、法人税が実質的に免除される仕組みがあることから、分配金が多い傾向にあります。

ただし、商品を選ぶときは分配金の高さだけでなく、基準価額(投資信託の値段)の騰落に分配金の実績を加えた「トータルリターン」で判断することが大切です。いくら分配金が高くても、本来の実力以上に分配していると基準価額が下落し、トータルリターンはマイナスということもある点には気を付けましょう。

※コロナショックを受けて、5/8に金融庁が『賃料の支払いに係る事業者等への配慮について(要請)』という通達を出しています。企業や店舗が業績悪化に伴い、テナントの退去や家賃の滞納に至るケースが多く見られるため、REITの収益も悪化が予想されます。そのため各ファンドの分配金の扱いについては注意してご検討ください。

不動産はインフレに強い

将来インフレの見通しがあり、それにともなって地価や家賃収入が上昇すると資本市場が期待するのであれば、REITの価格も上昇する可能性が高いのです。つまり、REITの家賃収入は債券における利子やクーポンと同様の固定的な収入であることに加え、不動産価値の上昇による売却益も望めることから、その価格自体もインフレによる上昇を期待できることになります。

FXと違いレバレッジは大きくない

少額の投資を集めて大きな不動産を購入するということに関してはレバレッジが掛かっていますが、REITで現物取引を行う場合は購入した口数だけの取引になりますので、FXのように投資金額以上の損失を被ることはありません。

3.REITのデメリット

対してREITに投資する際のデメリットもご紹介します。

3-1.価格変動が大きめで特徴的

REITは不動産と投資信託の両面を併せ持った金融商品のため、価格が変動する要因も少々複雑になっています。

株式に近い変動幅

REITは株式と同じように市場で取引されており、値動きは決して小さくありません。株式と同じように元本割れをするリスクがあります。現物不動産は値動きが遅く、相場は数ヶ月~年単位でしか変動しないことを考えると、REITの値動きは全くの別物だと言えます。

株式やFXとは違う不動産特有のリスクがある

株式やFXはファンダメンタルズ(国や企業などの経済状態)に影響されやすいのですが、REITはそれに加えて、地震や火災などの災害からも影響を受けます。保有不動産が損傷すれば補修費用が負担になることがありますし、家賃下落と空室率上昇を招くリスクもあります。

なお賃料や空室率、売買価格のリスク傾向として、住宅は景気変動の影響が比較的少なく、反対にオフィスや商業ビルといった事業用途の不動産は顕著に変動するのが一般的です。

株やFXとは違った金利変動リスクがある

投資法人は投資家から集めた資金と金融機関からの借り入れで不動産を取得しているので、金利が上昇すればローン返済額(支出)が増え、結果的にREITの収益を圧迫する可能性があります。

3-2.運用コストが投資信託よりも高い

REITは投資信託なので、販売手数料や信託報酬といった手数料が発生します。そのコストは通常の投資信託よりも高いものが多くなります。また、REITは毎月分配型が主流ですが、分配金は支払われるたびに税金がかかりますので、収益率の観点で言えばなるべく分配頻度を抑えた商品を選択する方が無難です。

3-3.投資法人が倒産するリスクがある

投資法人はあくまで「法人」なので倒産リスクがあります。ただ、株式投資の場合は企業が破綻すれば株券は紙切れになりますが、REITの場合では保有不動産の価値がゼロになるわけではありません。そのため、その他投資法人が吸収する形で引き継がれる等の可能性はあります。

まとめ

REIT価格が上昇する要因としては、おおむね3つ挙げられます。

  1. 中央銀行による金融緩和が行われた際など、市場に多くのお金が出回っている時
  2. 債券投資が冷え込み相対的にREITの利回りの方が魅力的になった時
  3. 原油高などによってインフレが起こり、不動産市場への期待感が高い時

ここ数年①と②の要因からREIT人気が高まっていました。しかし、コロナショックを受けて、これまでと考え方を変えて商品の中身を見ていく必要性も出てくるでしょう。コロナによって企業や人々の行動様式が変わってしまうかもしれないからです。

現在は倉庫などの物流施設REITも人気ですが、事業用不動産は景気変動などの影響を受けやすいため、今後は投資需要が下がる可能性もあります。また、上述したような金融庁からの通達を受けて分配金の取り扱い方が変わるかもしれません。

将来の本格的な景気回復局面に備えて、じっくりと中身を吟味してからREITへの投資を検討しましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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