投資の対象となるのは何も日本だけには限らず、日本に住みながら海外の資産に手軽に投資できるサービスや投資商品も増えてきています。
しかし、具体的にどのような投資先があるのかよくわからない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、海外資産への投資は日本と異なる経済情勢の影響を受けることや、新興国への投資などややハイリスク向けの対象国もあり、注意しておきたいポイントもあります。
そこで今回は海外へ投資する方法のうち、少額投資が可能な初心者向けの方法を紹介します。海外投資を始めたいと考えている方はご参考ください。
※本記事は、投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 少額・初心者向けの海外へ投資する方法
1-1.海外向け投資型クラウドファンディング
1-2.海外ETF
1-3.海外株式投資
1-4.外貨預金 - 海外へ投資するメリット
2-1.投資先の選択肢が増える
2-2.円安時に向けた対策ができる
2-3.分散投資ができる - 海外へ投資するデメリット・注意点
3-1.為替レートの影響を受ける
3-2.為替手数料が発生する
3-3.カントリーリスクが伴う
3-4.国内と比較して経済情報を入手しづらい - まとめ
1.少額・初心者向けの海外へ投資する方法
少額投資が可能で初心者の方に向いている海外投資の方法には下記のようなものがあります。
- 海外向け投資型クラウドファンディング
- 海外ETF
- 海外株式投資
- 外貨預金
1-1.海外向け投資型クラウドファンディング
投資型クラウドファンディングとは、インターネットで資金を集めるクラウドファンディングの仕組みを利用した投資商品のことで、少額資金で様々な投資対象に投資することが可能です。
海外に投資できる投資型クラウドファンディングとしては、融資を求める企業に出資して利息を受け取る融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産に投資できる不動産クラウドファンディングなどがあります。
最低投資額は1万円から10万円なので、少額での投資も可能です。また、実質的な運用は運営会社が代理で行ってくれるため、投資初心者でも取り組みやすく、株式投資のように売買したりする手間がかからないメリットがあります。
一方、運営会社が案件情報の提供・管理まで行う点はメリットではあるものの、投資家が個人の裁量で行える自由度は低く、また、短期的に利益を上げにくいといった点がデメリットです。
クラウドファンディングで海外に投資するには各サービスで審査を受け投資家登録を行う必要があります。海外に投資できる主な投資型クラウドファンディングには下記のものがあります。
- TECROWD(テクラウド):モンゴル、カザフスタンの収益不動産
- OwnersBook(オーナーズブック):米国非上場リート
- クラウドバンク:米ドル建て不動産ローンファンド
- クラウドクレジット:新興国や南米、ヨーロッパなど。個人も融資対象
1-2.海外ETF
ETFとは「Exchange Traded Funds」の略称で、証券取引所に上場している投資信託のことをいいます。つまり、海外ETFは外国の証券取引所に上場する投資信託のことです。
海外ETFは日本国内からでも購入可能で、投資信託でありながら株式と同じようにリアルタイムで売買できる流動性の高さに特徴があります。またファンドによって1,000円から数万円程度で投資可能となっています。
国内ETFと比較して銘柄数が多いことや分散投資が手軽にできる点などが海外ETFのメリットです。一方、購入には外貨への両替が必要になることや、配当金の二重課税を避けるためには確定申告による外国税額控除を行う必要がある点がデメリットと言えます。(※参照:国税庁「居住者に係る外国税額控除」)
【関連記事】米国株取引にかかる税金は?節税や確定申告の方法・注意点も
海外ETFは証券会社に証券口座を開設すれば購入可能です。マネックス証券やSBI証券などでは海外ETF銘柄を豊富に取り扱っています。
1-3.海外株式投資
海外の株式に投資するのも、海外投資の方法の1つです。
国内の証券会社の中には米国や中国など海外企業の個別銘柄を購入できる場合があるほか、ヨーロッパやアジアの株式に投資できるケースもあります。国によっては1株から株式を購入できるため、数万円程度から投資可能です。
海外の株式に投資するメリットは、単元株制度が無く1株ずつ数千円程度の少額資金で購入取得できるケースがあることや、日本株のように経済成長著しい国や企業に投資することで大きな収益を期待しやすい点などが挙げられます。
デメリットとしては、1銘柄あたりの価格変動リスクがETFなどと比較して大きく、各銘柄の分析や分散投資を行うために一定の知識や資金力を必要とする点です。さらに、新興国の株式は政情不安によって損失が発生するリスクが高い点もリスクとして挙げられ、やや中級~上級者向けの投資対象とも言えます。
海外株式を購入するには、海外株式を扱う証券会社で専用口座を開設します。口座に投資資金を入金でき次第、海外株式を購入できます。
1-4.外貨預金
外貨預金も海外に投資する方法の1つです。外貨預金とは所有する日本円を外貨に換えて預金することをいいます。
日本円と同じように預金には利息が発生しますが、対象国によって政策金利が異なるため、低金利状態が続く日本円で預金するよりも利息によるリターンを期待できることがあります。また、日本円と同じように普通預金と定期預金を選択可能です。
外貨預金のメリットが多くの外貨で日本円よりも金利が高くなる点です。また、キャッシュの状態で保有することにより低ボラティリティを保ちながら円安時のヘッジとして資産を守ることができるメリットがあります。
一方で、円と外貨を交換する際に為替手数料が発生する点や、円高時の為替レートの影響で為替差損が発生する可能性がある点がデメリットとなります。また外貨預金は預金保険制度の対象外となるため、銀行が破綻した場合の払戻は保証されておらず、新興国での外貨預金はハイリスクとなるケースもあります。
【関連記事】FXと外貨預金の違いは?FXをレバレッジ1倍で運用したときの比較も
2.海外へ投資するメリット
海外へ投資するメリットは次のとおりです。
- 投資先の選択肢が増える
- 投資できる銘柄が多い
- 分散投資ができる
2-1.投資先の選択肢が増える
海外へ投資するメリットの1つが投資先の選択肢が増えることです。国内で投資できる金融商品にはさまざまなものがありますが、そこに海外の金融商品が加わることで投資対象は一気に増加します。
特に株式やETFなどは国内の銘柄数よりも海外の銘柄数の方が多くなっています。株価指数のほか、金や特定の商品の値動きに連動するものあり、さまざまなものに対して投資できる可能です。
自分が投資しやすいと感じる金融商品や相性の良い金融商品が見つかりやすくなるので、投資をする人にとってのメリットとなります。
2-2.円安時に向けた対策ができる
円安が起きると相対的に日本円の価値が下がり、自身の資産の目減りが起きてしまうだけでなく、海外輸入品やエネルギー価格の高騰を招き、悪性のインフレに向かうことがあります。
このような円安の局面に備え、海外投資を行っておくことで外貨ベースの資産形成・収益を期待できる点が大きなメリットと言えます。
2-3.分散投資ができる
日本の経済圏とは異なる海外へ投資することにより、リスクを分散した投資効果を得ることができます。
例えば、日本の政策金利が上昇し国内の株価や不動産価格に大きな影響を与えた場合、海外の資産やリターン、通貨を持っていることで損失を抑える分散効果があります。国内に資産が集中している状態なのであれば、海外へ投資する分散効果は大きいと言えるでしょう。
3.海外へ投資するデメリット・注意点
一方で海外へ投資するデメリットは次のとおりです。
3-1.為替レートの影響を受ける
海外へ投資するデメリットの1つが為替レートの影響を受けることです。
海外の資産や企業に投資する場合、現地の通貨をベースに行われるケースがほとんどです。つまり、資産売却時の為替レートにより、取得時よりも円高なら利益は減り、円安なら利益が増えることになります。
為替相場の変動状況によって為替差益・為替差損が発生することは理解しておきましょう。なお、投資型クラウドファンディングや投資信託では、このような為替リスクを低減した「為替ヘッジ付き」の案件が提供されていることがあります。
3-2.為替手数料が発生する
為替手数料が発生するのも、海外投資のデメリットです。日本円と外貨を交換する際には為替手数料が必要で、海外投資には必ず伴うコストとなります。
証券会社によって為替手数料が異なる場合もあるため、選択によって手数料コストが変動します。少額投資では手数料負担がリターンを上回ってしまう「手数料負け」が起きる可能性があるため、口座開設の前に為替手数料を確認しておくと良いでしょう。
【関連記事】クラウドファンディング投資で注意したい「手数料負け」とは?4つの対策も
3-3.カントリーリスクが伴う
海外投資のデメリットの1つがカントリーリスクです。
カントリーリスクとは投資対象国の政治情勢・経済情勢が投資する資産の価格変動に影響するリスクのことをいいます。市場が混乱したり、投資対象国でテロが発生したりした場合は、現地国内で資産価値が下落する可能性があります。
特に政治的に不安定な国や通貨の信用力が低い国に投資する場合は、カントリーリスクが大きくなるため注意しましょう。
3-4.国内と比較して経済情報を入手しづらい
情報を入手しづらいのも海外へ投資する場合のデメリットです。国内の資産へ投資する場合と比較して海外資産へ投資する場合はニュースや相場などの情報が取りにくくなります。
海外のネットニュースなどを活用しても情報の時間差が発生する可能性があるため、損切り(=損失を最低限に抑えるための資産の売却)などの迅速な対応に影響する可能性があります。
まとめ
今回は初心者でも少額から投資しやすい海外投資の方法を紹介しました。海外への投資方法はさまざまで、少額からでも幅広く投資できます。
海外への投資は投資先の選択肢が増える、分散投資がしやすいなどのメリットがある一方で、為替リスクやカントリーリスクなどが伴うデメリットがあります。
いずれの方法でも、まずは少額資金から始めること、一つの投資対象に資金を集中させずに分散効果を狙うことが基本的な戦略となってきます。ドルコスト平均法に代表されるような、購入のタイミングを分けることで時間分散なども組み合わせて、まずは低リスクの運用方法から徐々に投資に慣れていくと良いでしょう。
【関連記事】ドルコスト平均法で投資するメリット・デメリットは?相性の良い商品も
山本 将弘
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