FXと外貨預金の違いは?FXをレバレッジ1倍で運用したときの比較も

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資産運用には株や投資信託やFXや外貨預金など様々な種類があります。外貨預金とFXは、為替差益と金利による収益を目的とする運用商品としてよく比較されています。どちらも海外通貨へ投資を行うもので投資効果は同じです。

FXはハイリスク・ハイリターン商品の代表として認識されている方は多いかもしれません。しかし、FXでもレバレッジを1倍で運用すればリスクを抑えられ、コストや税制を考えるとFXの方がメリットが大きくなるケースも多いのです。

今回は、代表的な外貨投資手段として「FX」と「外貨預金」の違いについて解説していきます。

目次

  1. 外貨預金の特徴
  2. FXの特徴
  3. 外貨預金とFXの違い
    3-1. 取引のタイミング
    3-2. 取扱商品
    3-3. レバレッジ
    3-4. 手数料
    3-5. 利息
    3-6. 取引注文の種類と取引可能時間
    3-7. 課税方法
    3-8. 保全の仕組み
  4. レバレッジ1倍でFXを運用したときはどうなる?FX
  5. まとめ

1.外貨預金の特徴

日本円を「外国の通貨」に換えて預ける預金を「外貨預金」といいます。定期で預ける「外貨定期預金」や満期がない「外貨普通預金」もあります。

外貨預金は、運用後円に戻す時の為替レートが預け入れた時より円安になっていれば為替差益が生じ、円高になっていれば為替差損が生じます。利息も外貨で支払われ、外貨建てでの元本は保証されるものの、円建ての金額は円に戻すときの為替レートによって変動します。

例えば外貨定期預金が満期を迎えた場合、為替レートが円高になっているのであれば即座に円転する必要はありません。一旦外貨のまま普通預金で運用し、円安になるタイミングを待つということが可能です。

尚、円預金と違い外貨預金は預金保険機構による保護の対象外となっています。

「円」と「外貨」を交換する際には為替手数料がかかります。「TTS」は円から外貨に替えるときのレートで、「TTB」は外貨から円に替えるときのレートです。それぞれ手数料込みのレートになります。

手数料は銀行によって異なり、最近はネット銀行を中心に比較的割安になってきています。

2.FXの特徴

FXとは「Foreign Exchange(外国為替証拠金取引)」の略語で、通貨の売買で収益を得る取引のことです。FXでは一定の証拠金 (保証金) を担保にして、その証拠金以上の取引金額で外国通貨の売買を行うことができます。証拠金に対する取引金額の倍率をレバレッジと言い、1倍から最大25倍まで設定することが可能です。

例えば、1ドル100円のとき、証拠金を4万円差し入れると最大1万ドル (100万円分) までの取引が可能になります。この時、1万ドルを購入して1ドル120円の円安になった際に売却すると120万円となります。4万円の資金で20万円の利益が出たことになります。逆に1ドル90円の円高になった時に売却すると90万円にしかならず、10万円の損失が出ます。

預け入れている証拠金が4万円のみの場合のように、当初預け入れた証拠金以上の損失を被る可能性があるのです。ただ最近では、参加者の損失補填の為の追加入金を発生させないために、証拠金の範囲内で損失が収まるように自動で損切りをしてくれる会社が増えてきています。自動で損切りをされる前に、証拠金を追加入金することを「追証」と言います。

【関連記事】追証、ロスカットとは?

FXは使い方次第では少額の資金で効率よく資産運用できるものの、レバレッジのかけ方によってリスクレベルが異なる投資手法となるため、注意が必要です。

3.外貨預金とFXの違い

3-1. 取引のタイミング

外貨預金は円を使って外貨を購入することしかできません。預け入れした外貨が円安にならなければ為替差益を得られません。円高時を待って取引しなければならないということです。

一方、FXは外貨を売って円を買う取引もできるため、相場が円高に動いても為替差益を得る機会が生まれます。円高でも円安でも、相場が動くタイミングがあれば、参入のチャンスがあるということです。

3-2.取扱商品

外貨預金は円から外貨に転換するため、保有通貨ペアとしては豪ドル円やユーロ円などの対円の通貨ペアしかありえません。

一方でFXは、外貨同士のペアの取引も可能です。ユーロ売り米ドル買いなどの取引も行えます。円に材料がなく動きがない時に、ユーロドルなどの通貨ペアで利益獲得のチャンスを狙うことが可能です。

3-3.レバレッジ

外貨預金は、円を使って外貨を買います。レバレッジを掛けていないため仮に相場が酷く円高になったとしても、円転しなければ外貨建てでは元本保証です。円転しても当初入金した円貨額以上の損失が発生することはありません。

一方FXでは、レバレッジを掛けている場合、証拠金として預け入れた円貨額を上回る損失が発生する可能性があります。

3-4.手数料

外貨預金の手数料は基本的には為替レートに含まれます。かつては外貨預金の手数料は1円程度だったものの、最近はネット銀行などでは25銭程度まで下がってきているところもあります。

一方FXでは、外貨預金のように為替手数料はかかりません。一方でスプレッド (外貨を売買する際の買値と売値との差額) が多少掛かります。ただし特にドル円などはスプレッドが1銭未満となっている会社が多くあります。

新興国通貨はスプレッドが広い傾向にあるものの、外貨預金と比較すると圧倒的に割安です。

3-5.利息

外貨預金は、預入期間に応じた利息がつきます。ただし通貨発行国の金利水準を反映した利息であるのが大きなポイントです。ゼロ同然の日本国内の定期預金と比べれば、高い金利が得られます。

FXにおいて外貨預金の金利に相当するのが日々発生するスワップポイントです。スワップポイントは高金利の通貨と低金利の通貨との差で、現在は円金利が低いため、円売り外貨買いの取引を行えばほとんどの場合はスワップポイントを受け取れます。逆に円買い外貨売りの取引を行えば、スワップポイントを支払わなければなりません。

3-6.取引注文の種類と取引可能時間

外貨預金は、原則銀行が営業している時間しか取引できません。「1ドル100円付近になったら買いたい」などと希望する価格になったときに注文を出すような予約機能はありません。原則1日1回決まる「仲値」のレートを使って取引することしかできないのです。

最近はネット銀行や大手銀行でもネット経由であれば24時間に近い時間帯でその時の実勢レート付近のレートで取引できる場合も増えてきています。

一方FXは祝日関係なく平日のほぼ24時間売買を行うことが可能です。また、予約機能ともいえる指値・逆指値注文や「○○円になったら買って、5円上がったら売る」と決めて自動売買する仕組みなど、自分の希望を反映した取引が可能です。

3-7.課税方法

外貨預金の場合、為替差益は雑所得として総合課税の対象となり、他の総合課税の雑所得と損益通算して確定申告を行わなければなりません。

一方FX取引によって生じた利益は同様に雑所得になるものの、所得に係らず一律20%の申告分離課税として確定申告の対象となります。

3-8.保全の仕組み

外貨預金には預金保護制度が適用されないため、預け先の会社が倒産すると資産が返還されません。

一方、FXには信託保全と呼ばれる仕組みがあります。万が一FX会社が倒産しても、トレーダーの資産は全額返還されます。

4.レバレッジ1倍でFXを運用したときはどうなる?

レバレッジ1倍の取引の場合、FXと外貨預金はどちらも投資する金額は同じです。

しかし、FXの方が外貨預金よりも取引コストが安くなる点や、会社が倒産した時にも資産が保障されるなどといったメリットがあります。また、FXでは売りから入る取引もできるので、相場の下落局面でも利益を狙えます。

このように、同額で運用する場合は、外貨預金よりもFXを使うことによるメリットが大きくなります。

5.まとめ

外貨預金とFXに共通することは、取扱外貨の数が株や投資信託と比較すると圧倒的に少なく、投資先の選定が非常に楽ということです。

株の場合、上場している株式会社は3500社ほど、投資信託は約6000本ある一方、FXの通貨ペアは国内会社でおよそ20~30個です。外貨預金であれば10通貨ペアもあれば多い方でしょう。

投資先を選ぶ際に調べる情報量が少なくて済み、時間がとりにくい兼業トレーダーでも、気軽に始めることができます。ただし、外国為替の場合、必ずペアで取引されるので、二国間の強弱やマーケット全体の雰囲気も勘案する必要があることに注意が必要です。

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