総合不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサール株式会社(以下:JLL)は8月14日、日本の商業用不動産投資を分析したレポート「ジャパン・キャピタル・フロー 2017年第2四半期」を発行した。
日本の2017年上半期の投資額は前年同期比15%増の2兆1,950億円、第2四半期は13%増の9,070億円であった。7月24日に公表された速報値では上半期の投資額は、前年同期比11%増の2兆1,200億円、第2四半期の投資額は前年同期比3%増の8,300億円であり、速報値より大幅に伸びた。
世界都市別に投資額をみると、ロンドンが3年ぶりに1位となり、東京の投資額は74億ドルで世界第5位と、2017年第1四半期の世界3位から転落したが、一方で第1四半期のみなとみらいセンタービルや三菱重工横浜ビルに引き続き、第2四半期でもTOCみなとみらいやコンカード横浜といった大型取引が続いた横浜が15位にランクインした。
海外投資家による投資については、第2四半期にはグリーンオークがGINZA SIXのオフィスフロアの一部を200億円超で取得、韓国のNH投資証券が品川シーサイドTSタワーを300億円超で取得するなど、第1四半期に引き続き海外投資家による大型取引が見られ、投資額4,030億円、前年同期比で76%の増加となった。
しかし、投資需要は東京以外の都市へ波及し続けている。多数の⼤型取引が成⽴した横浜エリアの影響により東京5区の割合が26%に低下する一方で、東京都を除く東京圏(神奈川、千葉、埼玉)の投資額割合は30%に拡大した。
東京都心での物件供給は限定的な状況が続いているが、JLLでは東京都心と比較して高リスクのエリアでは、市場価格の上昇によって大型物件の売却に踏み切るプレイヤーが増加傾向にあることに注目し、年内は同様の大型取引が続き2017年通年の投資額は前年比で増加すると予想している。また、日本の商業用不動産投資額は、2015年、2016年と2年連続で減少したものの、2017年上半期は前年同期比で2ケタ成長となり、大型取引も散見されるなどポジティブな要因が増えていることを受け、2017年の日本の商業用不動産投資額を前年比増加の3.7兆円から4.0兆円と予測した。
平井真理
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