総合不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサール株式会社(以下、JLL)は11月7日、日本の商業用不動産投資を分析したレポート「ジャパン・キャピタル・フロー 2017年第3四半期」を公表した。
レポートによると、日本の2017年第3四半期の商業用不動産投資額は前年同期比14%減の7,660億円、2017年1-9月投資額は前年同期比6%増の2兆9,600億円だった。2017年の投資額は第1及び第2四半期は大幅に増加したが第3四半期に減少した。それでも、金融危機以降通年で最大の投資額となった2014年1-9月期投資額2兆9,500億円をやや上回っている。
世界都市別での投資額ランキングではロンドンが第1位、ロサンゼルス、ニューヨークと続き、東京は第4位の投資額104億ドルだった。東京では低金利の長期化により低下した運用利回りの向上とポートフォリオの多様化によるリスク分散を目的として海外不動産投資が積極的に行われており、2017年9月までの投資額は21億ドルを占める。JLLでは2017年通年では金融危機以前の2006年の24億ドルを超えるものと予想している。
また、海外投資家に目を向けると、1月から9月までの投資額は5,230億円となり前年同期比で46%の増加となった。JLLでは要因のひとつとして売手と買手の価格目線の乖離縮小を挙げている。不動産価格の上昇が鈍化する中で売主の売却価格に対する過度な期待が和らいでいるという。これにより売買が成立に至るケースが増えており、積極的にリスクを取る投資家に対しては投資機会が開かれている状況だ。
地域別投資額では東京都心以外のオフィスの大型取引や物流施設の取引が拡大したことを受けて東京都心部の投資額が減少した。
投資額割合が50%を超えることもあった東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の割合が25%に減少し、一方で東京都を除く東京圏(神奈川、千葉、埼玉)の投資額割合は32%に増加した。このほか、国内外投資家の投資意欲が高い大阪圏の投資額は総額4,580億円と対前年同期比35%増加して2008年以降最大の投資額を記録している。
日本の商業用不動産投資額は2015年、2016年と2年連続で減少したが、ポジティブな要因が増えていることからJLLは2017年の日本国内商業用不動産投資額は3.9兆円~4.2兆円になると予測している。
平井真理
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