不動産投資は「不動産を購入したら後は管理会社に丸投げして終わり」という手間の少なさが人気の理由の一つではありますが、不動産投資を着実に進めていくには、正しい資産運用の知識を学んで実践していくことも大切です。
この記事では、資産運用の分野で重要とされている考え方や知っておきたい用語、不動産投資での運用実践などをご紹介していきたいと思います。
- 資産運用の基本的な流れ
- 分散投資(アセットアロケーション)とは
- 不動産投資における分散投資の考え方
資産運用の基本的な流れ
どのように資産運用を進めていくかは、基本的に下記のような流れに沿って設計をしていきます。ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
- 資産運用の目標を決める
- リスク許容度を把握する
- 資産運用の手段を検討する
- 資産運用の結果を見直す
資産運用の目標を決める
まず、資産運用を行うことで「いつまでに、いくらの資産を築きたいか」という目標を決めることが大切です。たとえば「将来が不安だから、65歳までに3,000万円の資産を保有したい」という目標があれば、現状いくらの資産・負債(ローンなど)があり、目標とのギャップがいくらか、毎年資産をどれだけ増やしていく必要があるかを算出することが可能です。
また、この目標とセットで考えたいのは、目標までの毎年の年収と貯蓄可能な金額がいくらなのかという点です。目標と現在資産のギャップから、本業で貯蓄可能な金額を差し引いた後の金額が、資産運用で稼ぐ必要がある金額となります。
リスク許容度を把握する
資産運用を行う上で、大切なのが自分の「リスク許容度」を知ることです。リスク許容度というのは、資産運用でいくらまでならマイナスになっても受け入れることができるか、という指標になります。
資産運用で最も多い失敗例は、収支がマイナスになった瞬間に大慌てで動いてしまい、資産を手放した後に資産価値が戻って後悔する、というパターンです。この失敗を避けるために、リスク許容度を設定することが大切です。
具体的には、現在の年齢や資産、今後の年収などを考慮して、「最大200万円までのマイナスなら、生活に支障をきたさずに投資を進めることができる」といったことをあらかじめ想定しておくことで、実際にそのラインまでのマイナスであれば特に慌てずに投資を進めていくことができるようになります。
資産運用の手段を検討する
目標とリスク許容度が固まったら、どのような資産で収益を生み出すかを検討していきます。主な資産運用の手法としては、外貨(FX)、株式、投資信託、不動産、債権などがあります。広い意味では、定期預金や保険なども資産運用の手段として考えることができます。
これらの資産運用手法を、現在の資産やリスク許容度などと照らし合わせて、毎年の目標利回りを実現できる手段を検討していくことになります。
資産運用の結果を見直す
実際に資産運用を始めてみると、当初想定していた状況から変わってくることも多いかと思います。たとえば、転職して年収水準が上下した、子どもができて毎月の費用が増えた、重い病気を患った、親から資産を相続した、増税があり毎年の税金が増えた、資産運用で想定以上の収益/損失が出ている、といった状況の変化などが考えられます。
このとき、毎月の収支予測やリスク許容度も資産運用を開始した時点と比べて変化している可能性がありますので、その時点での目標とリスク許容度を再設定し、資産を組み替えることが必要となります。
このサイクルを繰り返して、「資産を守りながら、効率的に増やしていく」ということが資産運用の基本的な流れとなります。
分散投資(アセットアロケーション)とは
分散投資は、異なる動きをする資産を分散して保有しておくことで、各資産で期待されるリターンを維持しながら、各資産が抱えるリスクを低減するというものになります。
たとえば一つの資産だけを保有している場合、その資産の価値が大きく下落するようなイベントが発生してしまうと、身動きが取れなくなり資産を持ち続けるか資産を手放す以外の選択肢がなくなってしまいますが、全く異なる動きをする資産を保有しておけば、どちらかが下がった時にもどちらかが上がっている状況が作り出せるので、資産を保全しながら収益機会を増やすことができるようになります。
分散投資は、動きが連動しない資産を組み合わせる必要があるので、株式と債券、国内不動産と外国株式などのように組み合わせを考える必要があります。また、それぞれの資産(アセット)にいくらを配分(アロケーション)するかということを考えるのが、アセットアロケーションというものになります。
不動産投資を始める際に、購入する物件と異なる動きを取る資産を一緒に保有することで、資産全体の下落リスクをおさえて収益機会を増やすことができるということを覚えておくと良いでしょう。
不動産投資における分散投資
年齢が若い方の中には、自己資金が少なくて不動産以外の資産に分散投資が難しいという方もいるかと思います。その場合は、不動産投資を始める場合や、買い増しをする際に、不動産のなかで下記のような分散投資を検討すると良いでしょう。
国内不動産/海外不動産
1件目で国内不動産を購入したあと、2件目も国内不動産を買い増すのではなく、海外不動産を持つことで国内の不動産市場が低迷した場合や円安・デフレに進んだ場合にも資産へのダメージを少なくすることが可能です。
その場合、アメリカやヨーロッパなど、日本の経済や通貨とあまり連動し過ぎない国での不動産投資を検討してみると良いでしょう。
地方物件/都心物件
1件目が地方物件だったという方は、都心の物件を保有することでも分散投資の効果を得ることが可能です。地方は都心に比べるとハイリスク・ハイリターンの投資となるので、ローリスク・ローリターンの都心物件を保有しておくことで、地方物件の方で期待する収益が得られなくても都心物件でカバーをすることができるようになります。
マンション投資/アパート投資
同様に、郊外や地方都市に建てられることが多いアパートと、都心近くに建てられることが多いマンションも分散投資となることがあります。
ただ、国内不動産への分散投資は、国内不動産と海外株式、あるいは国内不動産と海外不動産ほどには異なる動きにはならないため、分散投資の効果が薄れてしまう可能性が高いということは念頭においておいたほうが良いでしょう。
まとめ:不動産投資の成功は、資産運用に関する正しい知識から
不動産投資は投資金額が大きく、10年単位での長期の資産運用となりますので、資産運用に関する正しい知識を持って臨むことが大切です。今回ご紹介した資産運用の流れと分散投資の考え方を理解して、堅実に不動産投資を進めていきましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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