新型コロナウイルスの影響を受け大幅に変動する市場で、世界の金融プロフェッショナルは限定的ながら自社の運用資産残高のプラス成長を見込んでいる。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社(ナティクシスIM)が6月30日に発表した調査では、厳しい市況にも関わらず、金融プロは2021年に自社の運用資産残高は平均で2.5%成長すると予想。回答者の54%が、現在の市況ではオルタナティブ投資の魅力は“より高い”と考えていた。
調査は、16カ国の資産管理者(ウェルス・マネージャー)、登録投資顧問、ファイナンシャル・プランナー、独立系ブローカーおよびディーラーなど2700名を対象に実施。新型コロナウイルスの影響を受け大幅に変動する市場に対し、将来の見通しや自律的な成長の可能性に楽観的な見通しが示された一方で、市場での熾烈な競争を認識していることも明らかになった。まず、今後12カ月間で運用資産残高は2.5%増加し、また今後3年間で年平均14%増加すると予想している。運用資産残高の成長をけん引するものとしては、回答者の大多数が新規の顧客の獲得(67%)および既存の顧客からの新規資産(63%)をあげ、「市場のリターン」としたのは47%と半数を下回った。
過去1年間で最も注目していた点として、29%がESG関連の投資を挙げ、ポートフォリオにおけるサステナブル投資への関心の高まりを示した。オルタナティブ投資の活用については、回答者の54%が「現在の市況下でオルタナティブ投資の魅力は増している」と述べており、68%が「利回りを得るために活用している」と回答した。オルタナティブの中では、回答者の35%が現物資産、34%がインフラ投資を推奨した。
ナティクシスIM北アジア代表の加藤欣司氏は「金融プロフェッショナルは投資の前提条件を見直しており、市況や事業シナリオがより不安定になる可能性を考慮した戦略を立てている。今回の調査では、顧客はオルタナティブ投資の可能性に加え、ESG関連戦略の重要性を認識していることが明らかになった。コロナ禍でこれらは従来に増して注目を集めている」とコメントしている。
市場における不透明感の高まりやボラティリティの継続を背景に、79%の金融プロフェッショナルが現在の市況はアクティブ運用に有利だと見ていた。平均で顧客資産の69%がアクティブに運用されており、今後3年間はアクティブ運用に対するエクスポージャーは現行の水準で維持される見通し。金融プロフェッショナルは、アクティブ運用は、情報量が少なく非効率的な小型株ファンド(69%)や新興国ファンド(69%)の分野で最も高い付加価値があると見る。アクティブ運用が付加価値を提供できる分野として、債券(36%)、オルタナティブ(48%)、そして大型株(41%)を挙げている。
ナティクシスIMは、世界の20社を超える投資運用会社の専門能力を結集してソリューションを提供している。ナティクシスは世界トップクラスの資産運用会社のひとつで、運用資産総額は9089億ドル。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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