サントリーホールディングス株式会社は6月30日、事業会社のサントリーMONOZUKURIエキスパート株式会社、東洋紡株式会社、レンゴー株式会社など、プラスチックのバリューチェーンを構成する12社の共同出資で新会社「株式会社アールプラスジャパン」を設立、使用済みプラスチックの再資源化事業への取り組みを開始したと発表した。米国のバイオ化学ベンチャー企業のアネロテックと使用済みプラスチックの再資源化技術開発を進めるとともに、共同出資パートナー企業との業界を超えた連携により、2027年に使用済みプラスチックの再利用の実用化を目指す。
サントリーグループはグローバルにサステナビリティ経営を推進しており、2019年5月に「プラスチック基本方針」を策定。2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルにリサイクル素材または植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにするという「100%サステナブル化」を目指している。アネロテックは2008年創業、ニューヨーク州パールリバーに本社と研究開発機能を持ち。非食用の植物由来原料から石油精製品と同一性能を持つベンゼン・トルエン・キシレンを生成する技術開発を進めている。サントリーグループとは12年から植物由来原料100%使用ペットボトルの共同開発に取り組んできた。
ペットボトル以外のプラスチックは、現在国内では多くが燃焼されるといわれている。焼却時に発生する熱を回収し、発電や熱供給に活用する「サーマルリカバリー(熱利用)」もこれに含まれる。2社が開発した技術は、ペットボトルを含むその他一般のプラスチックを、ベンゼン・トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなどの直接原料に戻すケミカルリサイクル技術だ。従来の油化工程を経由する「ケミカルリサイクル」より少ない工程で処理でき、CO2排出量やエネルギー必要量の抑制に繋がると期待されている。
環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術の開発可能性を見出したという。さらに「ペットボトルだけでなくその他のプラスチックもリサイクルによる再生循環利用への道が開ける」として、新会社の設立に発展した。出資企業には東洋製罐グループホールディングス株式会社、J&T環境株式会社、アサヒグループホールディングス株式会社、岩谷産業株式会社、大日本印刷株式会社、凸版印刷株式会社、株式会社フジシール、北海製罐株式会社、株式会社吉野工業所と、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料メーカーなどが名を連ねる。住友化学株式会社なども出資を検討しているという。
【参照リリース】使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む新会社「株式会社アールプラスジャパン」設立

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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