不動産投資、年収500万円で買える物件は?価格や利回りを事例で解説

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年収500万円から不動産投資を始めたいといった場合、買える物件はどのような物件になるのでしょうか。

不動産投資では、不動産投資ローンで資金調達をおこなうため、個別の物件評価や購入する人の属性評価によって買える物件が異なり、パターン化することが難しいといえます。

しかし、不動産投資ローンの審査で高い評価を得られる物件として、エリア、築年数、タイプなどの特徴から、おおまかな傾向を説明することが可能です。

この記事では、属性評価のポイントと融資限度額などの目安、年収500万円で買える物件のパターン事例について解説します。

(記事監修者:依田泰典)

目次

  1. 年収500万円で目指す資金調達
    1-1.属性評価のポイント
    1-2.融資限度額、融資条件の目安
  2. エリア、築年数、物件タイプ、利回りのパターン事例
    2-1.東京23区内、新築区分マンション、4.67%
    2-2.神奈川県横浜市、築5年一棟アパート、8%
    2-3.東京23区内、中古区分マンション、7.8%
  3. まとめ

1.年収500万円で目指す資金調達

年収500万円の一般的なサラリーマンが不動産投資ローンで資金調達をおこなって収益物件を購入する際、年収以外の属性面についてどのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。また、融資限度額や融資条件の目安はどれぐらいなのでしょうか。

不動産投資ローンの融資では、物件の収益性や担保性が評価されますが、家賃収入からローン返済を賄えなかった場合の返済余力として、借りる人の属性評価(与信)も重視されます。

以下では、物件の評価を考慮しない場合の資金調達と物件取得価額の目安について説明していきます。

1-1.属性評価のポイント

属性評価では、収入以外にも、勤務先と勤続年数、年齢、家族構成、持ち家か賃貸か、金融資産の状況などの項目について考慮されます。

勤務先企業が上場企業であったり、大企業であったりすればプラス評価となるでしょう。勤続年数も長いと高評価となります。

年齢も属性評価での重要なポイントとなります。年収が500万円以上の方でも年齢が高いと金融機関から融資を断られるというケースも少なくありません。

家族構成は、配偶者がいれば配偶者の収入・資産についても加味してもらえる可能性があります。一方、扶養家族がいればその分生計費用負担が増えるため、可処分所得の判断にも考慮されるでしょう。

持ち家か賃貸か、という点についても、賃貸であれば家賃が生計費用として支出されるという面から、返済能力評価においてマイナス評価となります。

返済能力は、毎月の収入に対する返済比率がポイントになります。金融資産の状況も、返済能力という面から、多ければプラス評価となります。

1-2.融資限度額、融資条件の目安

過去の事例から、不動産投資ローンは大まかに年収の7倍~10倍が融資限度額となる傾向にあります。

年収500万のサラリーマンが不動産投資ローンを組んで収益物件を購入する際、資金調達できる金額は5,000万程度まで、融資条件は、金利2~3%程度、返済期間20年~35年(物件の残存耐用年数による)が一つの目安と言えるでしょう。

属性評価は年収だけではなく上述の項目も考慮され、物件によって収益性・担保性の評価が加味されることもありえます。

2.エリア、築年数、物件タイプ、利回りのパターン事例

年収500万円のサラリーマンの方の融資限度額などの範囲で、収益性・担保性による物件の評価も考慮し、無理なく購入できる物件について解説していきます。

不動産投資ローンの融資審査においては、物件の収益性・担保性が評価されます。収益性については、賃料収入で返済が回るかどうかという点を一定のストレスをかけて検証されます。

担保性についても、土地と建物の積算によって売却した場合の回収可能額を評価します。エリア、築年数、物件タイプ、利回りのパターンで分け、実際に売出されている物件に近い事例を3種類取り上げてみます。

2-1.東京23区内、新築区分マンション、4.67%

都心新築区分マンションを購入するという選択肢があります。販売価格3,080万の中央区新築分譲マンションを購入し、相場家賃月12万で入居付けをおこないます。自己資金600万を入れて、期間35年、金利2%の条件であればローンを組める可能性があります。

物件種別 新築区分マンション
価格 3,080万円
表面利回り 4.67%
エリア 東京都中央区
構造・専有面積 鉄筋コンクリート13階建て・25平米
管理費・修繕費 12,000円
参考収支(稼働率90%) 年間220,000円

新築区分マンションは建物の法定耐用年数が多く残っており1戸当たりの価格も安いため、購入検討しやすいメリットがあります。

しかし、築年数の経過につれて家賃収入が減少していくことで将来的に市場価格が下落することも考慮し、貯まった資金で繰上げ返済やリフォームをおこなう、などの工夫が有効でしょう。

2-2.神奈川県横浜市、築3年一棟アパート、8%

首都圏郊外の築浅一棟アパートを購入できる可能性があります。たとえば、販売価格4,695万円、表面利回り8%、神奈川県横浜市保土ヶ谷区の築浅アパートのケースを見て行きましょう。

土地評価が路線価で1,450万、建物評価が1,530万程度、自己資金900万程度、期間20年、金利2.5%の条件でローンを組んだとします。

物件種別 築3年一棟アパート
価格 4,695万円
表面利回り 8%
エリア 神奈川県横浜市保土ヶ谷区
構造・専有面積 木造2階建て・112平米
維持費率15% 年間560,000円
参考収支(稼働率90%) 年間420,000円

先ほどの新築区分マンションと比較して総投資額が大きくなることで必要な自己資金も増え、融資条件も厳しくなることが分かります。一方、投資対象の戸数が増えるため空室が出た際の影響は少なくなり、収益性が高くなります。

アパートは主に郊外での運用となるため、将来的な賃貸需要を見込めるかどうか、エリア選定を厳しく行う必要性が高まります。マンション投資と比較してややリスクの高い投資方法と言えるでしょう。

【関連記事】「マンション投資 vs アパート投資」どちらに投資すべき?両者を徹底比較!

2-3.東京23区内、中古区分マンション、7.8%

首都圏都心部の中古区分マンションを購入することを考えてみます。たとえば、販売価格1,300万、台東区駒形の築28年区分マンションを購入し、相場家賃8.5万で入居付けした場合です。自己資金500万を入れて、期間20年、金利2.5%の条件でローンを組んだとします。

物件種別 築28年区分マンション
価格 1,300万円
表面利回り 7.8%
エリア 東京都台東区
構造・専有面積 鉄筋コンクリート9階建て・22.5平米
管理費・修繕費 22,700円
参考収支(稼働率90%) 年間150,000円

新築区分マンションより融資年数が短く設定されていることから年間の収支が下がっていますが、不動産投資ローンの残債をより短いスパンで解消することが可能です。また、建物価格の下落リスクが少ないことも中古マンション投資のメリットと言えるでしょう。

ただし、中古マンションは新築マンションと比較して空室率が上昇する傾向があります。投資前のシミュレーションは慎重に行うことが重要です。

【関連記事】【決定版】中古マンション投資で失敗しないための10のポイント

まとめ

年収500万円から検討可能な物件では、は都心新築区分マンション、首都圏郊外の築浅一棟アパート、都心の中古区分マンションなど幅広い物件タイプが検討可能です。

収益性・資産性のバランス面からは、家賃と建物価格の下落リスクが少ない分、新築区分マンションより中古区分マンションにメリットがあるとも言えます。ただし、融資条件が厳しくなることから月々のキャッシュフローに注意が必要になります。

年収以外の属性によっても、購入できる物件やローン条件が変わってくるので、各自の事情に応じた投資戦略を立てていくことが大切です。

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依田泰典

依田泰典

不動産投資家。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。公認不動産コンサルティングマスター。宅地建物取引士(宅建マイスター)。
ソニーにて、ITソリューション関連の法人営業や企画・マーケティングに従事(MVP受賞)。株式(信用取引)等幅広く金融商品を運用。リーマン・ショックを経験後、不動産投資を徹底研究。日本銀行のマイナス金利政策を勝機とし数億円の融資を獲得。分譲マンション(1Kから3LDK)を20戸以上購入。ソニー退職後、不動産会社(ベンチャー企業・東証上場企業)にて、収益用不動産(1棟物件)の売買、事業開発、広報・広告宣伝に従事。現在は、ベンチャー企業を創業。東証上場グループ企業等の社外取締役、顧問、アドバイザーとして活動。不動産テック等スタートアップ30社に出資。貸金業務取扱主任者、ビル経営管理士、賃貸不動産経営管理士、社会保険労務士、行政書士等の資格を保有。趣味は、マンガアプリ(電子書籍)とYouTube。街の散策と食べ歩き。合気道(有段者)。アイドルファン(乃木坂46齋藤飛鳥)。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。