新築マンションと中古リノベーションのどっちが安い?メリット・デメリットを比較

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建築費の高騰などによって新築マンションの価格が上昇している中、中古マンションを購入してリノベーションする方が増えています。

しかし、中古マンション価格も上昇傾向にあり、リノベーション費用も追加で発生してしまうことから、どちらが安く済むのか判断しにくいと悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回のコラムでは、新築マンションと中古リノベーションの価格を比較し、購入の判断がしやすくなるように、メリットとデメリットも解説していきます。

目次

  1. 新築マンションと中古リノベーションの価格を比較
    1-1.新築マンションと中古マンションの平均物件価格の比較
    1-2.新築マンションと中古マンション購入にかかる諸費用の比較
    1-3.リノベーションにかかる費用
  2. 新築マンションと中古リノベーションのメリット・デメリット
    2-1.新築マンションのメリットとデメリット
    2-2.中古リノベーションのメリットとデメリット
  3. 新築マンションと中古リノベーションを比較するポイント
    3-1.価格
    3-2.設備・仕様
    3-3.セキュリティ対策
    3-4.資産価値
  4. まとめ

1 新築マンションと中古リノベーションの価格を比較

新築マンションを購入する場合と中古マンションを購入してリノベーションする場合の価格を比較するために、この項目では物件価格とそれ以外の価格に分けて紹介していきます。

1-1 新築マンションと中古リノベーションの平均物件価格の比較

まずは新築マンションと、リノベーションを行う中古マンションの平均価格を確認しましょう。

不動産経済研究所の「首都圏新築分譲マンション市場動向2023年10月」によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は6,567 万円(1㎡あたりの単価101.0万円)となっています。

これに対して、首都圏の10月の中古マンション平均販売価格は、東京カンテイの市況レポート「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」によると4,760万円(平均築年数29.2年、1㎡あたりの単価は68.0万円)です。

これらを単純に比較すると、首都圏の新築物件と中古物件の平均価格の差は以下になります。

  • 物件価格の差額:1,807万円(新築物件6,567 万円−中古物件4,760万円)
  • 1㎡あたりの単価の差額:33万円(新築物件101.0万円−中古物件68.0万円)

実際には間取りや立地によって物件価格にも違いが出てくるため、一様に比較することはできませんが、物件本体の平均価格を基にしたおおよその目安としては、新築マンションの方が1,807万円高いということがわかります。

そのほかにかかる費用について次の項目で見てみましょう。

1-2 新築マンションと中古マンション購入にかかる諸費用の比較

次に新築マンションを購入する際と、リノベーションを行う中古マンションを購入する際にかかる諸費用の比較を見ていきましょう。

マンションを購入する際は、新築物件でも中古物件でも以下の費用が必要になります。

  • 不動産登記にかかる費用(登録免許税、司法書士費用)
  • 住宅ローンにかかる費用(事務手数料、ローン保証料)
  • 団体信用生命保険料
  • 火災保険料

マンションを購入した際には不動産登記を行いますが、新築物件の場合は所有権保存登記、中古物件の場合は所有者移転登記を行います。この時に必要な登録免許税は土地分に関しては同率ですが、建物分に関しては以下のように新築物件の方が安くなります(2024年3月31日までに登記した場合)。

新築 中古
建物 固定資産税評価額の1.5/1000 固定資産税評価額の3/1000
土地 固定資産税評価額の15/1000 固定資産税評価額の15/1000

※参照:国土交通省「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置

例えば、固定資産税評価額が2,000万円のマンションであれば、新築の場合の登録免許税は15,000円、中古の場合は30,000円になるということです。

また、新築マンションと中古マンションの購入時にかかる費用の違いには消費税と仲介手数料があります。新築マンションには消費税がかかり、中古マンションは仲介取引の場合は仲介手数料、販売会社から購入する場合は消費税が発生します。

ただし、消費税は表示価格に含まれることが多いため、ここでは中古マンションを購入する際にかかる仲介手数料について求めていきます。

仲介手数料は「(物件価格×3%+6万円)+消費税(仲介手数料の10%)」の計算式で求められるので、前述した平均価格の中古マンションを購入した場合は以下になります。

(中古物件価格4,760万円×3%+6万円)×1.1(消費税込)=163万6,800円

つまり4,760万円の中古マンションを購入する場合、物件取得にかかる費用は約4,923万円となり、新築物件と中古マンションの購入にかかる費用を比較すると以下になります。

物件価格の差額:新築物件6,567万円−中古物件4,923万円=1,644万円

新築マンションと中古マンションを購入する場合について、総額で見ると中古マンションを購入した方が1,644万円安いということになります。

1-3 リノベーションにかかる費用

最後に中古マンションをリノベーションする際にかかる費用を確認しましょう。

リノベーション費用は工事の内容によって異なり、おおよそ500万円〜1,500万円が相場です。中でもスケルトンリノベーションの相場は1㎡あたり10万円〜20万円となり、70㎡では700万円〜1,400万円となります。

新築マンションを購入した場合と中古マンションを購入する際の差額は1,644万円ですから、相場から見てみると大規模なリノベーション工事でなければおおよそこの金額内に収まると考えられます。そのため、新築マンションよりも中古リノベーションの方が安いケースが大半を占めると言えます。

しかし新築マンションと中古リノベーションを比較する場合、価格だけで優劣を判断するのは難しいものです。そこで、それぞれのメリットとデメリットを確認しましょう。

2 新築マンションと中古リノベーションのメリット・デメリット

新築マンションと中古マンションをリノベーションするのとでは、それぞれにメリットとデメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

2-1 新築マンションのメリットとデメリット

まずは新築マンションを購入する主なメリットとデメリットを見てみましょう。

主なメリット 主なデメリット
共用部分・専用部分ともにすべてが新品
最新の設備機器が使用できる
耐用年数が長い
住宅ローン審査が通りやすい
金利や借入期間が優遇される可能性がある
固定資産税などに減額措置がある
物件価格が高い
完成前に販売が開始される
希望の間取りがない場合もある
隣人や住人がどのような人かわからない
管理組合が定まっていない
資産価値が大きく下がる可能性がある

すべてが新しい新築マンションでは清潔感があるのも特徴の一つです。

また、住宅ローン控除や「固定資産税の住宅用地の特例に関する減税措置」は新築物件にも中古物件にも適用されますが、新築マンションの場合は以下の「新築住宅に係る税額の減額措置」の対象にもなります(居住部分の床面積が「1戸につき50㎡以上280㎡以下」の住宅、2024年3月31日までに新築された住宅などの条件あり)。

建物の区別 減税措置期間 減税額
3階建て以上の耐火構造・準耐火構造住宅(主にマンション) 新築後5年間 固定資産税が1/2
上記以外の新築住宅(主に一戸建て) 新築後3年間 固定資産税が1/2

この点は新築マンションならではのメリットと言えます。

2-2 中古リノベーションのメリットとデメリット

次に、中古マンションを購入してリノベーションする主なメリットとデメリットを見てみましょう。

主なメリット 主なデメリット
購入価格がリーズナブル
物件やエリアの選択肢が多い
マンション内のコミュニティの様子がわかる
管理体制を確認してから購入できる
専有部分の設備機器は新品
補助金が活用できる可能性がある
外観や共用廊下など共有部分は古い状態
窓や玄関ドア、バルコニーは変更できない
修繕積立金が高額になっているケースがある
管理規約で工事が制限されている可能性がある
物件代金とリノベーション費用の2重ローンになることもある
共用部分の確認も細かく行う必要がある

新築マンションは同じタイプの部屋を複数販売するのに対して、中古リノベーションは1戸1戸が異なっており、同じ条件の物件は他にはないという特徴があります。これは、1点ものという特徴を持つ中古マンションならではのメリットと考えられます。

ただし、検討している間に他の希望者に購入されてしまうこともあり、同じような良い条件の物件に巡り合わないこともあります。この点はデメリットと言えます。

3 新築マンションと中古リノベーションを比較するポイント

新築マンションと中古リノベーションのメリットとデメリットを見てきましたが、比較する際の代表的な4つのポイントについて紹介します。

3-1 価格

前述したように、新築マンションよりも中古リノベーションの方が価格は割安です。ただし物件価格だけではなく、物件購入に関わる費用の総額で判断することもポイントです。

物件価格は高額になりがちな新築マンションですが、住宅ローンの優遇金利や登録免許税の減額措置、税制の減額措置などが適用になります。また、中古マンションも住宅ローン控除などの税制優遇のほか、補助金などが利用できる可能性もあります(国土交通省「住宅リフォームの支援制度」参照)。価格に関しては物件本体の価格だけではなく、周辺情報も含めて比較されると良いでしょう。

3-2 設備・仕様

設備・仕様は、専有部分と共用部分とで大きく異なります。専有部分(居室内)であればある程度自由に変更ができますが、共用部分の設備更新は管理体制の状況によるからです。つまり、共用部分も専有部分もどちらも新しい方が良い、快適性を求めるという場合は、中古リノベーションは選択しにくくなります。

さらに中古リノベーションの場合は、大規模修繕計画の予定も確認しておくことが重要です。この時のポイントは、外観やエントランス、エレベーターなどの見える部分だけではなく、水道管や貯水施設など見えない部分のメンテナンスや修繕計画などです。

このように中古リノベーションの場合は、老朽化に対してより厳しい目で物件選びをする必要があることも覚えておきましょう。

3-3 セキュリティ対策

新築マンションと中古マンションの違いで、特に気をつけたいのがセキュリティ対策です。防犯カメラやオートロック、モニター付きインターホン、宅配ボックスなどが導入される新築マンションが増えていますが、中古マンションの場合は物件によってまちまちだからです。

防犯カメラや宅配ボックスは後から設置することもできますが、オートロックやモニター付きインターホンは追加での導入は難しいため、将来的にも導入されない可能性があります。個別のマンションによってセキュリティ対策は異なりますが、中古リノベーションの方がやや劣る可能性が高いことも把握しておきましょう。

3-4 資産価値

資産価値は物件価格が高額な新築物件の方が高いものですが、長期間住むことを考えるとどのように下落するのかも重要です。

新築マンションは新築によるプレミアム感がなくなる築10年以上になると、資産価値の下落幅が大きくなります。ただし、仮に20年居住していたとしても法定耐用年数が27年残っており、次の買主の住宅ローンも長期で組みやすいため、手離れが良い物件となりやすいでしょう。

一方、中古リノベーションの将来の資産価値については、元の物件のスペックに加えて、リノベーションの内容や費用によって、さらに判断が難しくなります。

例えば、個性的な内装や間取りにしてしまうと、次の購入検討者が減り、資産価値が下落しやすくなるでしょう。また、仮に築20年のマンションを購入した場合、20年住んだ後の物件は築40年となっていますから、ローン条件も購入時よりもさらに厳しくなっていると予想できます。

中古リノベーションマンションの資産価値を保つには、新築物件と同様に、マンションの立地や建物管理がポイントとなります。デザイン面では、シンプルな内装デザインや、様々なライフスタイルの方が暮らしやすい間取りを意識しておくことも大切です。

【関連記事】リノベーションマンションの資産価値は?下がりにくい4つの特徴・評価ポイントも

まとめ

今回のコラムでは、新築マンションを購入するケースと、中古マンションを購入してリノベーションするケースの価格を比較しました。購入時の価格だけを見ると新築マンションの方が高く、中古リノベーションの方が安くなる可能性が高いと言えます。

ただし、今回紹介した価格の比較はあくまでも平均価格を用いたもので、実際の物件のスペックやリノベーションの内容によって費用は大きく異なります。また、それぞれメリット・デメリットもあるため、価格だけでなく自身のライフスタイルなども加味しながら、比較されていくと良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。