中古マンションのリノベーションの手順や流れは?購入から入居までのプロセスを解説【取材有り】

※ この記事はグローバルベイスより提供された情報をもとに作成しています

不動産価格の高騰が進むなかで、理想の自宅をリーズナブルな価格で購入する手段として、中古のリノベーション物件を選択する方が増えています。

中古物件を手に入れた上でリノベーションをしてもらうと、半年程度は時間がかかります。時間やコストを削減したいなら、リノベーション済みのマンション物件を購入するのも選択肢の一つといえるでしょう。

今回の記事では中古マンションのリノベーションを選ぶメリットや購入までの手順などを紹介します。後半ではグローバルベイス社へのインタビューをもとに、リノベーションの進め方やポイントについて紹介します。

グローバルベイス

グローバルベイス
商号 グローバルベイス株式会社
本店所在地 東京都渋谷区渋谷2-15-1 渋谷クロスタワー23F
設立 2002年4月
業務内容 中古マンション再生(リノベーション)事業、不動産の仲介及び売買

グローバルベイスは、首都圏・関西圏を中心に、優良中古マンションの物件探しから、資金計画、デザイン設計、施工を手掛けるリノベーションサービスの不動産会社です。リノベーション済み物件の販売だけでなく、所有している中古マンションのリノベーション施工依頼もでき、オーダーメイドのリノベーション暮らしを実現するデザイン設計や、物件取得に必要な資金計画についても相談が可能となっています。

目次

  1. リノベーション物件を選ぶメリット
    1-1.価格を抑えられる
    1-2.物件の選択肢が豊富に
    1-3.物件価格が下落しにくい
    1-4.都市部でも好立地物件を手に入れやすい
    1-5.自分のニーズに合った設計にできる
  2. オーダーリノベーション物件のデメリット・注意点
  3. 中古マンションのリノベーションの手順
    3-1.資金計画と物件探し
    3-2.リノベーションプランの策定
    3-3.プランに沿って施工
    3-4.完成・転居
  4. 中古マンションのリノベーションのポイントや注意点、市場の動向【インタビュー】
    4-1.リノベーションを考えるタイミングに関して注意点はありますか?
    4-2.リノベーションを検討される際に苦労するポイントはどこでしょうか?
    4-3.コロナ禍を経てリノベーションのニーズに何か変化がありましたか?
    4-4.不動産価格の高騰は、リノベーションにどのような影響を及ぼしていますか?
  5. まとめ

1 リノベーション物件を選ぶメリット

リノベーション済み物件や中古マンションをリノベーションして住むメリットとしては、以下のような点があげられます。

  • 価格を抑えられる
  • 物件の選択肢が豊富に
  • 物件価格が下落しにくい
  • 都市部でも好立地物件を手に入れられやすい
  • 自分のニーズに合った設計にできる

1-1 価格を抑えられる

リノベーション費用を負担したとしても、新築で購入するより中古リノベーション物件を購入したほうが購入価格を抑えられる可能性があります。

首都圏のマンション購入価格は2022年1年で平均6,288万円で当時の過去最高値でした。さらに2023年上半期の平均は8,873万円となるなど一段と高騰しています。(※参照:株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023 年上半期(1~6 月) 」)

いつかは持ち家を持ちたいという方は依然として多いものの、価格高騰により新築住宅の購入ハードルは高いのが現状です。

一方、中古物件を購入すれば価格を相対的に抑えられます。たとえば首都圏の中古マンションの平均成約価格は2023年1~3月が4,366万円、4~6月が4,556万円です。(※参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「季報 Market Watch サマリーレポート 2023年4~6月期 」)

購入後に1,000万円かけて全面リノベーションしたとしても、5,500万円前後に収まります。仮に総費用を5,500万円とすると、2023年上半期の新築価格対比で約4割安く購入・施工できるという試算です。

リノベーション済物件をリーズナブルな価格で購入できれば、リノベーション費用がかからない分、更に価格を抑えられる可能性もあります。

1-2 物件の選択肢が豊富に

中古を選択肢に含めると、より幅広い候補の中から理想の物件を選べます。たとえば、2020年で見ると首都圏+関西圏での新築マンションの供給数は年間で約4万戸でした。一方で、首都圏+関西圏での中古マンションの新規登録戸数は約24万戸で、格段に市場に出回る物件数が多くなるのが特徴です。(※参照:(公社) 全国宅地建物取引業協会連合会「不動産市場動向データ集 年次レポート2020年」)

中古を選択肢に含めることにより、立地や間取り、広さなどをより柔軟に選択可能です。さらにリノベーションを活用することで、内装のデザイン・設備などの面では新築物件のように中古住宅を使用することができます。

1-3 物件価格が下落しにくい

新築物件は、建設業者や販売会社などの利益を加味して価格が設定されます。新築を好んで購入する方も少なからずいるため、中古物件と比較して割高な価格となりがちです。新築物件は、その後築年数が経過するにつれて価格が下落していきます。

築年数が経過した物件ほど、購入時点ですでに価格下落が落ち着いているため、その後の下落は緩やかになると期待できます。中古物件に着目することで、経年に伴う資産価値の下落を抑制できる可能性が高いのです。

1-4 都市部でも好立地物件を手に入れやすい

中古物件に着目することで、首都圏や関西圏の都市部でも好立地の物件を手に入れやすくなります。都心部や主要駅周辺は開発されて久しいため、これから新規に大規模な新築マンションを建築するのは困難です。

そのため、新築物件は郊外で駅までやや距離のある場所に建つケースが多く見られます。大規模再開発などにより利便性の高い新築物件が売り出される場合もありますが、高価格なうえ需要過多に伴い競争率の高い抽選となりがちです。資金面のハードルをクリアしていても、新築で好立地のマンションを手に入れるのは困難な状況であるといえます。

中古物件に目を向けると、開発が進む前に建てられた好立地物件が見つかるチャンス広がります。そこにリノベーションを行えば、居住環境も良いマンションを求めやすくなるでしょう。

1-5 自分のニーズに合った設計にできる

新築の分譲マンションは、すでに間取りや構造、設備が決まっています。供給数が限られる中で、自分に合ったマンションを見つけるのは容易ではないでしょう。

一方、オーダーリノベーションなら、予算次第で自分に合った間取り・機能のマンションに作り替えられます。リノベーションでは中古の既存の間取りや設備に囚われずに内装のデザインが可能なため、自分のニーズに適した住環境を整えやすいという点もメリットです。

2.オーダーリノベーション物件のデメリット・注意点

オーダーリノベーション物件のデメリット・注意点としては、大きく分けて下記の2点があります。

  • デザインや工事の規模によっては多額の資金が必要になる
  • マンションの構造や管理規約によってできない工事がある

オーダーリノベーションは、既存の設備や間取りを大きく作り変えることになるため、設計から実際の工事まで、通常のリフォームよりも費用が大きくなりがちです。デザイン性や資材についてこだわっていくと、比例して価格も大きくなっていきます。

また、マンションの構造や管理規約によっては大掛かりなリノベーション工事が出来ない可能性もあります。リノベーション目的で中古物件を取得したもののこれらの問題によって希望通りのリノベーションが出来ない可能性があるため、物件の購入前には十分に注意が必要です。

3 中古マンションのリノベーションの手順

リノベーションを活用した中古マンションを購入する場合は、購入済みのマンションを持ち込んで依頼することもできます。一方で特段の事情がないなら、物件探しからリノベーション会社に依頼するのも一案です。

ここでは物件探しから行う想定で、リノベーションのプロセスについて紹介します。

3-1 資金計画と物件探し

中古マンションの購入検討を進めたいと考えたら、現在の収入やライフプラン、家族構成などから、予算および購入マンションに対するニーズをまとめ、希望条件に当てはまる中古物件を探していきましょう。

良好な物件が見つかったら、内覧を経て購入手続きに入ります。多くの場合、住宅ローンを活用して購入するため、金融機関に相談してローンの審査を受けることになります。

なお、グローバルベイスではリノベーション済み物件も扱っているため、合わせて紹介を受けることも可能です。提携金融機関もあるので、住宅ローンの相談もできます。リノベーション済み物件でうまくニーズに合うものがあれば、コストを抑えて短期間に新生活を始められます。

3-2 リノベーションプランの策定

物件が決まったら、設計デザイナーとともに間取りのプランを決めていきます。デザイナーが資料などを見せながら、依頼主へのヒアリングを基にくみ取ったニーズを具現化し、それぞれのライフスタイルに合った間取りをデザインしていきます。

間取りが決まったら、続いて設備や細部の仕様も決めていきます。床材や壁材、照明など付帯設備の製品やデザインを細部までこだわって詰めていきます。設計図やプランニングが固まったら、いよいよ着工開始です。

3-3 プランに沿って施工

フルリノベーションの場合は、居室内を骨組みが見える「スケルトン状態」まで解体し、配線や配管の取り換えなどの工事を進めていきます。会社によっては、依頼主とスケルトン状態を確認し、現地で施工方針のすり合わせを行います。

工事を進める段階で、中間確認の機会を設けている会社であれば、進捗とともに配線や配管の位置を実際に確認しておきましょう。

3-4 完成・転居

工事が完了したら、依頼主とともに最終確認を行ったうえで引き渡しとなります。引き渡し日以降に引っ越しをして、新居での生活スタートです。なお、一つの目安として、物件が決まってからフルリノベーションする場合で、引き渡しまで6カ月程度かかります。

仕事や子供の進学などの事情で転居すべき時期が決まっている場合には、スケジュールを立てて計画的に進めなければなりません。リノベーションのメリットを享受しながらも入居までの期間を短縮したいなら、リノベーション済みの物件を検討するのも一つの考え方といえます。

4 中古マンションのリノベーションのポイントや注意点、市場の動向【インタビュー】

中古マンションのリノベーションを検討している方にとって、マンション購入のタイミングや失敗しないための注意点などが気になる方も多いでしょう。特に都市部ではマンション価格が高騰しているため、新築だけでなく中古マンションを購入するハードルも高くなってきています。

そこで今回は、関西圏・首都圏の都心部を中心にリノベーション済み物件の販売やリノベーション施工を手がけるグローバルベイスにインタビューを行い、リノベーションを進めるうえでのポイントや市場動向について同社の岩井氏に伺いました。

グローバルベイス 岩井 滝一郎(いわい りゅういちろう)氏

  • 所有資格:宅地建物取引士
  • 不動産キャリア:10年
  • 専門ジャンル:中古マンション
  • 得意なエリア:港区・中央区

4-1 リノベーションを考えるタイミングに関して注意点はありますか?

「中古マンションは12月、1月に物件が増える傾向にあります。この時期は物件の選択肢が広がりやすく、グローバルベイスとしてもニーズに合った物件探しがしやすいでしょう。ただし、この時期は購入希望者も増える時期なので、価格が安くなるとは限らない点には留意してください。

また、3~4月は転居する方が増えて引っ越し費用が高くなりがちなので、引き渡し・入居のタイミングは少し後ろにずらせたらベストです。ただし、物件探し自体を後ろ倒ししすぎると、希望に合った物件を見つけるうえで苦戦する可能性があります。」

4-2 リノベーションを検討される際に苦労するポイントはどこでしょうか?

「リノベーションの検討段階に入ってからは、グローバルベイスのデザイナーもサポートしますので比較的スムーズに進みます。むしろ、購入物件を決めるまでの段階で難航する方が少なからずいます。

仕事や学校の都合で購入するエリアが明確な場合はまだいいのですが、そうでなければエリア選びから始めなければなりません。土地勘のない地域も含めて、家族にとって最適なエリアを見つけるのは容易ではないでしょう。

購入を具体的に考えるうえで必要な情報共有が夫婦間でされていなくて、検討が進まない場合もあります。意外に多いのが、共働きで「お互いの年収も貯蓄額もよく知らない」というケースです。これらの情報は住宅購入予算を決める前提となるので、お互いの共通認識がないと購入検討は進められません。

グローバルベイスでは、マンション購入に関するセミナーを実施しています。セミナーと言っても、ほとんどの場合は一家族ごとに行う個別相談会といったような形式です。いきなり物件紹介を前提とするセミナーではなく、物件購入の検討の進め方や諸費用を含めた必要金額などについて情報を整理します。

個別開催である強みを活かして、お客様から年収や資産状況などの属性情報などもヒアリングしながら、適切な購入方法などをアドバイスしていきます。

実際の参加者の方の中には、お互いの年収をそこで初めて知るご夫婦も少なくありません。また、旦那様は駅に近い賑わったところがいいのに、奥様は静かで子育てしやすい場所がいいといった風に、お互いのニーズに大きくずれがある場合もあります。

グローバルベイスのスタッフが間に入って、家族だけではなかなか共有されない情報・ニーズなどをすり合わせることで、購入検討がスムーズに進むご家族の方も多くいらっしゃいます。漠然と自宅がほしいと考えているものの検討が進まないという場合は、ぜひ一度セミナーの活用を検討頂きたいと思います。」

4-3 コロナ禍を経てリノベーションのニーズに何か変化がありましたか?

「リノベーション需要の多さという意味では、コロナ以前から順調に伸びているというのが肌感覚です。また、リノベーションに求められるニーズについては変わってきていて、リモートワークに対応した間取りを希望するお客さまが増えています。

ワークスペースを確保したいというニーズの他、それぞれの部屋を確保するために部屋数を多くする希望を寄せる方も増えました。

たとえば、昔は結構都心部だと70平米あったら、2LDKや1LDKでリビングを広く、というところでしたが、今は3LDKにする人が増えています。共働きで共にテレワーク、そこに子供も、となるとそれぞれが独立して作業できる個室が必要な家庭が増えているようです。

また、コロナ禍を踏まえて立地選びの意識も変わっています。例えば、職場に出社しなくていいということで湘南など都心部から少し離れた場所の物件を希望する方や、一定割合で出社しなければならない方の場合『満員電車に乗りたくない』という理由でかえって都心部を希望する方など、立地条件もニーズが多様化していると言えます。」

4-4 不動産価格の高騰は、リノベーションにどのような影響を及ぼしていますか?

「大前提として、さまざまな資源や施工費の高騰により不動産価格が高騰しています。これ自体は新築も中古、リノベーション工事も変わりはありません。

ただし、もともと新築の方が価格が高く、首都圏都心部で新築マンションを購入できる層が限られてきています。物件にもよりますが、たとえば、年収1,000万円超同士(世帯年収2,000万円以上)のパワーカップルであっても、都心部となると新築購入が難しくなってきている時代です。

中古物件も高騰はしていますが、新築と比べれば価格は抑えられます。そのため、従来であれば新築を検討していた層が、積極的に中古リノベーション物件を検討しています。これが、リノベーション物件の需要が増えている一因です。」

まとめ

今回は中古マンションのリノベーションについて、グローバルベイスのインタビューも交えながらご紹介しました。

中古マンションというと、つい物件購入したのちにリノベーション依頼というプロセスを思い描きがちですが、中古マンションの構造や管理規約によっては希望のリノベーションが行えないこともあります。今回紹介したグローバルベイス社のように物件探しから行ってくれるサービスを活用することも一案です。

都市部では中古マンションの価格も高騰しており、自身の生活環境に合った物件選びにはエリアごとの知見も必要になってきます。家族間で住宅購入に関してなかなか話し合いをする機会がないという方や、リノベーションマンションの購入を検討していた方は、まずは情報収集から検討されてみると良いでしょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。