不動産の建設には多くの資材の活用や加工に伴うエネルギーの消費、また周辺エリアでの住環境の変化など、様々な影響を及ぼします。
改善できる余地の大きさ、また範囲の広さから、不動産業界はESGや脱炭素への取り組みも活発化している領域であり、投資判断の一つのポイントとしてESGへの取り組み内容が重要視されてきています。
そこで今回のコラムでは、ESGに関して先進的な不動産投資会社であるグローバル・リンク・マネジメントの取り組みについて紹介します。また、環境に配慮した物件の環境性能についても解説していきます。
目次
- グローバル・リンク・マネジメントの特徴
1-1.グローバル・リンク・マネジメントの業績・実績
1-2.グローバル・リンク・マネジメントが供給するマンションブランド - グローバル・リンク・マネジメントのESGへの取り組み
2-1.新築物件はすべてBELSやZEH-M Orientedなどを標準仕様に - 環境性能に優れたデザイナーズマンション「アルテシモ」
3-1.アルテシモ中野(仮称)の特徴
3-2.2023年1月以降にリリースが予定されている物件 - 運営方針からみるESGへの取り組み
4-1.対面型投資セミナーのオンライン化
4-2.契約や管理プロセスでペーパーレス化 - まとめ
1 グローバル・リンク・マネジメントの特徴
グローバル・リンク・マネジメントは、東京都内を中心に不動産の開発から販売・管理までワンストップで行っている東証プライム上場のマンション投資会社です。「アルテシモ」というデザイナーズマンションブランドを保有しており、入居率99.47%(2020年6月時点)、オーナーのリピート・紹介率が71.3%(2019年度実績)など、入居者とオーナー双方からの顧客満足度がトップクラスとなっています。
1-1 グローバル・リンク・マネジメントの業績・実績
2005年3月に設立されたグローバル・リンク・マネジメントは、投資用不動産の企画・開発・販売などを手掛ける不動産ソリューション事業を主事業とする不動産投資会社です。SAGLアドバイザーズ株式会社など複数のグループ企業を持ち、2022年6月末時点の資本金は5億3,900万円となっています。
2017年12月に東証マザーズに上場し、その翌年の2018年12月には東証一部に市場変更しています。また2022年4月には、東京証券取引所が再編されたことに伴い、東証プライム市場に市場を変更しています。業績は右肩上がりを続けており、売上高の推移は下記のようになっています。
年月期 | 売上高(百万円) |
---|---|
2018年12月期 | 22,644 |
2019年12月期 | 25,086 |
2020年12月期 | 26,840 |
2021年12月期 | 30,675 |
また、2021年12月期の竣工実績は884戸、2021年首都圏年間総供給戸数の約12.8%(同社調べ)のシェアを獲得しています。
1-2 グローバル・リンク・マネジメントが供給するマンションブランド
グローバル・リンク・マネジメントが企画・開発を手掛けている投資用マンションが、自社ブランドの「アルテシモ」シリーズです。アルテシモシリーズは25㎡〜50㎡の単身世帯向けレジデンスで、2022年12月末までに104棟を供給しています。長期にわたって安定した利回りが期待できるように、次の3つの「チカ」をコンセプトとしています。
- 駅から徒歩10分圏内(駅からチカい)
- ターミナル駅まで30分前後(都心からチカい)
- 高い地価(チカ)
アルテシモシリーズの年間入居率は、2021年平均で98.3%となっています。11年連続で98%を超えており、高い水準で資産価値が維持されていることがわかります。なお、2023年時点では東京23区を中心としていますが、首都圏の1都3県、関西エリアにも物件供給を行っていく予定となっています。
2 グローバル・リンク・マネジメントのESGへの取り組み
グローバル・リンク・マネジメントでは、地球環境への負荷を軽減するために積極的な取り組みを実施しています。この項目では、環境に配慮した物件の特徴について解説していきます。
2-1 新築物件はすべてBELSやZEH-M Orientedなどを標準仕様に
グローバル・リンク・マネジメントでは、2021年12月にZEH-M(ゼッチ・マンション)の導入を進めています。
投資用不動産分野でも資産価値と地球環境の保全を両立する物件へのニーズが増えると見込み、新たに企画・開発を手掛ける新築物件はすべてBELS4つ星以上やZEH-M Orientedなどの環境対応を標準仕様とするというのが具体的な内容です。
BELSとは
BELSとはBuilding-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの略称です。第三者評価機関が建築物における省エネ性能を評価して認定する建築物省エネルギー性能表示制度のことで、最高位は5つ星となっています。
ZEH-Mとは
一方、ZEH-Mとは、断熱性能の向上や高効率な設備システムの導入などによって、大幅な省エネルギーを実現させたマンションの認証システムのことです。ZEH-M Orientedはその一つで、共用部を含むマンション全体で一次エネルギー消費量を20%以上削減することを目指すことが条件となっています。
【関連記事】ESG不動産投資の関連指標「ZEH」「BELS」「GRESB」「LEED」の違いは?
このZEH-Mを建築するために、グローバル・リンク・マネジメントでは2022年2月に経済産業省が実施する「ZEHデベロッパー」への登録も果たしています。次の項目では、具体的にどのような環境性能を持ったマンションが今後供給されるのか、詳しく紹介していきましょう。
3 環境性能に優れたデザイナーズマンション「アルテシモ」
グローバル・リンク・マネジメントでは、2023年4月末竣工予定の「アルテシモ上十条(仮称)」が、同じ条件下の物件と比較してエネルギー消費量を20%程度(100MJ/㎡・年)削減できる見通しであることを公表しています。
また、同社として初めてZEH-M Orientedの認証を取得したのが東京都中野区の「アルテシモ中野(仮称)」です。次の項目では、このアルテシモ中野(仮称)の環境性能について詳しく見ていきましょう。
3-1 アルテシモ中野(仮称)の特徴
「アルテシモ中野(仮称)」は、地上11階建ての鉄筋コンクリート造り、延べ面積2,164.77㎡の投資用マンションです。2021年12月には、グローバル・リンク・マネジメントが開発する物件として初めてZEH-M Orientedを取得しています。大規模な再開発が予定されているJR中野駅周辺に位置しており、竣工予定は2023年8月末です。
間取りはメゾネットを活用した開放感のある造りになっていますが、断熱性能を高めることで外壁や開口部から逃げる熱量を減らす効果があります。
また冷暖房設備を高効率の機種に変更し、照明にはLEDを採用することで、同じ条件の物件に比べて単位面積当たりの一次エネルギー消費量を26%程度(583MJ/㎡・年)削減する見通しになっています。認証システムであるBELSは最高位の5つ星を獲得しています。
アルテシモ中野(仮称)の物件概要
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | 東京都中野区中野5丁目 |
階数 | 地上11階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
延べ面積 | 2,164.77㎡ |
竣工予定 | 2023年8月末 |
評価結果 | BELS5つ星(最高位) |
特徴 | 単位面積当たりの一次エネルギー消費量を26%程度(583MJ/㎡・年)削減 |
3-2 2023年1月以降にリリースが予定されている物件
グローバル・リンク・マネジメントでは、自社開発物件における環境対応比率を2024年12月期までに100%とすることを目指しています。このような目標のもと、今後、供給される予定の物件について、どのような環境性能を備えているのか公表されている資料から見てみましょう。
物件名 | 物件概要 | 環境性能 |
---|---|---|
アルテシモ上十条(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が20%程度(100MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
アルテシモ西早稲田(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が17%程度(128MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
アルテシモ浅草三丁目(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が18%程度(140MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
アルテシモ石原一丁目(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が17%程度(142MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
立川2丁目ⅢPJ(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が22%程度(167MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
亀戸5丁目PJ(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が26%程度(186MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
王子1丁目PJ(仮称) |
|
同じ条件の物件に比べて、単位面積当たりの一次エネルギー消費量が22%程度(159MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。 |
アルテシモ綾瀬一丁目(仮称) |
|
光熱費削減のため、主に給湯器や照明で消費エネルギーを抑制する機器を導入しており、同じ条件の物件に比べて、エネルギー消費量が20%程度(200MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。これにより外部機関からは、一般的な省エネ基準の住宅よりも年間光熱費を約9,000円〜21,000円削減できると評価されています。 |
(仮称)アルテシモ豊町二丁目 |
|
光熱費削減のため、主に給湯器や照明で消費エネルギーを抑制する機器を導入しており、同じ条件の物件に比べて、エネルギー消費量が20%程度(170MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。これにより、一般的な省エネ基準の住宅よりも年間光熱費を10,000円〜18,000円程度削減できると外部機関から評価されています。 |
川口幸町二丁目PJ(仮称) |
|
光熱費削減のため、主に給湯器や照明で消費エネルギーを抑制する機器を導入しており、同じ条件の物件に比べて、エネルギー消費量が20%程度(178/MJ/㎡・年)削減される見通しとなっています。また、物件の性能を評価する外部機関からは、一般的な省エネ基準の住宅よりも年間光熱費が6,000円〜17,000円程度削減できると評価されています。 |
4 運営方針からみるESGへの取り組み
環境性能に優れた物件を供給する以外にも、管理業務、あるいは契約業務などでも環境負荷の軽減に向けた施策を行っています。詳しく見ていきましょう。
4-1 対面型投資セミナーのオンライン化
これまで対面で行っていた不動産投資セミナーをオンラインで開催することにより、ペーパーレス化を図っています。具体的には2021年1月〜3月に実施したオンラインセミナーでは月間平均2,207名が視聴しており、紙資源の消費削減を実現しています。セミナー参加特典として「不動産投資入門ガイド」を無料でもらうことができます。
グローバル・リンク・マネジメントのセミナー例
- 0からはじめる不動産投資セミナー
- 日本一わかりやすい投資不動産セミナー
- 不動産投資を決断する前に知っておくべき5つのコト
- 頭金0!年収500万円台から始める不動産投資セミナー
- 最後の分岐点!不動産投資の決断前に知っておきたいこと
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4-2 契約や管理プロセスでペーパーレス化
通常、不動産の申し込みやローン審査の申し込みの際には書類を提出することになりますが、グローバル・リンク・マネジメントではWEBで対応しており、紙資源の消費を抑制しています。また、物件購入後の入居管理状況に関するオーナー向けのレポートもメールで共有されることになっています。
まとめ
グローバル・リンク・マネジメントでは、今回紹介した環境負荷を軽減した投資用マンションの供給をはじめ、さまざまな取り組みを実施することで、同社が掲げる企業理念である「不動産を通じて、豊かな社会を実現する」というミッションの達成を目指しています。
また、不動産のような数十年のスパンを必要とする投資対象において、サステナビリティの観点から資産評価を行うことの重要性は高く、今後も注目される分野であると推測されます。入居者の環境意識も高まっており、環境性能に配慮したマンションであることがスタンダードになっていく可能性はあると言えるでしょう。
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倉岡 明広
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