東南アジアREIT(不動産投資信託)のメリット・デメリットは?日本やアメリカと比較

海外不動産投資が広がってきている近年では、東南アジアREITも1つの選択肢となっています。しかし、東南アジアREITは日米のREITと比較すると新しい投資対象であるため、特徴が分かりにくいと感じる方も多いでしょう。

この記事では、東南アジアのREITが持つメリットやリスクなどについて、日米のREITと比較しながら解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 東南アジアREITのメリット・デメリット
    1-1.メリット:高利回りや値上がりの期待が高い
    1-2.メリット:資産分散の効果が高い
    1-3.デメリット:急激な値動きのリスクが大きい
    1-4.デメリット:通貨変動のリスクや政治的なリスクが大きい
  2. 東南アジアREITと日本・アメリカREITの特徴を比較
    2-1.日本のREITは分配金目的の方が適している
    2-2.日本のREITは流動性が高い
    2-3.アメリカのREITは運用先が多様化している
    2-4.アメリカのREITは時価総額が世界最多で流動性が高い
  3. まとめ

1.東南アジアREITのメリット・デメリット

東南アジアのREITが持つ強みや弱みについて見て行きましょう。特徴的なポイントは利益の期待が大きい一方で、相応のリスクも内包しているという点です。

1-1.メリット:高利回りや値上がりの期待が高い

REITの収益源は、ファンドが運用する不動産から発生した賃料などのインカムゲインと不動産の売却によって発生したキャピタルゲインです。

つまり、物件の取得費や管理費に対して高い収益を生み出す不動産に資金を充当して運用する銘柄であればREITの利回りは高くなり、不動産の値上がり期待が大きければ、REITの将来的な値上がり期待も大きくなります。

不動産の期待利回りと値上がりについては、各国の経済成長の影響を受けます。そして、東南アジア各国の経済成長率は、先進国である日本やアメリカなどよりも高く、高い収益性が期待されているのです。

日本やアメリカのGDP成長率は1%を切ることが多い一方で、東南アジア各国のGDP成長率は大半の国で2%~8%などの高い水準になっています。

また、東南アジアの不動産はその多くが日米よりもまだ低価格であり、価格の面から見ても期待利回りと値上がり期待が高いと言えるでしょう。

1-2.メリット:資産分散の効果が高い

日本のREITやアメリカのREITでは、日本またはアメリカといった一ヶ国の中で複数の不動産を運用するケースが多い一方、東南アジアREITには、購入する銘柄によるものの、東南アジアにある複数の国で不動産を運用している銘柄がある点も特徴的です。

運用先が多くの国や不動産にまたがるような銘柄であれば、1ヵ国単位の政情リスクが分散され、資産分散の効果は高まると言えるでしょう。どこか1つの運用先で運用損益が出たとしても、別の運用益でカバーできるため、損益が出たときのリカバリーがききやすいと考えられます。

そのほか、東南アジアではREITの仕組みが市場に導入される国が今後増えていくという期待もあります。例えば、2020年にはフィリピンで初めてREITが上場したニュースが大きく取り上げられました。(※参照:Ayala Land Investments「Understanding the REIT」)

そのほか、シンガポールやマレーシアでは既にREIT市場が形成されていますが、この動きが今後さらに別の国へ拡大していく可能性もあるでしょう。将来的に選択肢が増えていく可能性を持っている点も、東南アジアREITが持つ特徴の1つであると言えます。

1-3.デメリット:急激な値動きのリスクが大きい

REITに限らず現物不動産投資においても同様のことが言えますが、東南アジアREITは日本やアメリカのREITと比較して急激に値下がりするリスクが高いと考えられます。

東南アジアの新興国では、中国や韓国に加えてアメリカなど様々な外国からの投資マネーが不動産市場に流入しています。不動産市場が急激に冷え込んだ時や、国全体の景気が悪化した時などは、外国人投資家が投資マネーを自国に戻してしまうことも多いものです。

新興国が市場を大きくするために海外マネーの取り込みは必要であるものの、海外マネーは市場や経済の動きに敏感なため、見通しが悪くなると一気に国外へ流出してしまうリスクがあるのです。

東南アジアREITに投資する場合は、他のREITと比較してある程度ハイリスク・ハイリターンの投資になることも理解したうえで、分散投資などのリスクヘッジを図ることが必要です。

1-4.デメリット:通貨変動のリスクや政治的なリスクが大きい

海外REITの運用は現地の国の通貨で行われるのが基本であり、この点は東南アジアREITにおいても変わりません。このため、投資先の国で通貨の価値が下がれば、REITの運用益も減少することになります。

東南アジア各国の通貨は日本の円やアメリカドルと比較して不安定な点に要注意です。経済成長中の国では通貨価値も上がっていくため、経済成長に伴う利益の増加を見込めるものの、何かのきっかけで大幅な下落が起こる可能性もあります。

そのほか、東南アジアにも多い新興国では、外国人向けの規制が急に変更されることもあります。ファンドが規制変更の影響を受けることもあるため、規制内容も含めて各国の市場状況に注視する必要があるでしょう。

2.東南アジアREITと日本・アメリカREITの特徴を比較

ここからは、日本のREITとアメリカのREITが持つ特徴を、東南アジアのREITと比較した観点から解説します。

2-1.日本のREITは分配金目的の方が適している

東南アジアのREITは国全体の経済成長や不動産市場の拡大に伴う値上がり益の期待も大きい一方で、日本のREITは長期保有に伴う分配金目的の投資が適していると言えます。

近年、低金利を背景に東京の住宅が値上がり傾向にありますが、日本のREIT運用先は、住宅よりオフィスや物流施設の方が多くなっています。

また、先進国である日本の経済成長率は、新興国の多い東南アジア各国と比較してあまり高くありません。経済成長による不動産の値上がりが起こらないとは言い切れないものの、東南アジアの不動産と比較すれば、日本の不動産に対する値上がり期待は小さいと言えるでしょう。

これらの事情から、短期間での売買による利益確保というよりは、購入後は数年単位で保有して物件の運用益による分配金を狙った投資戦略が、日本のREIT投資に向いているスタイルであると考えられます。

2-2.日本のREITは流動性が高い

東南アジアを中心とした海外REITは、既に解説したリスクの高さなどから敬遠する投資家もいることは事実です。現物不動産投資と同じく、東南アジアのREITよりは日本国内で運用されるREITの方が、確実性が高くリスクも小さいと考える投資家は多くなっています。

また、市場規模についても東南アジアと日本では大きな違いがあります。2021年3月時点のJ-REITの時価総額は、163,485億円と世界各国の上場REITの時価総額比率が6.87%(2位)となっています。(※参照:一般社団法人不動産証券化協会「世界のREIT市場 2021」)

東南アジアで最大規模のシンガポールが88,988億円(5位、時価総額比率:3.74%)であることからも、市場参加者の母数に大きな違いがあると言えます。

上場投資信託の流動性の低さは、取引価格のボラティリティが大きいことを意味しています。長期的に保有し分配金を得つつ、ある程度運用した後の売却も見越して考えると、東南アジアのREITより日本で運用されるREITの方が買手を見つけやすく流動性も高いと言えるでしょう。

2-3.アメリカのREITは運用先が多様化している

アメリカのREITは基本的にアメリカ国内で運用されるものですが、運用先の不動産を住宅や商業施設などの種別に分類すると、東南アジアや日本などと比較して多様化が進んでいます。

例えば東南アジアのREITはオフィス・商業施設・住宅の3つに運用先が集中しています。また、日本のREITはオフィス・物流施設・商業施設・住宅・ホテルの5つに運用先が集中しているのが実態です。

他方、アメリカのREITは日本で多い運用先に加えてIT関連のデータセンターや医療施設、通信施設やエネルギー関連施設などインフラ関連の運用先も増えています。アメリカのREITは、東南アジアや日本と比較して新産業の発展や時代の変化に合わせた運用先も増えているのが特徴的です。

2-4.アメリカのREITは時価総額が世界最多で流動性が高い

アメリカのREITは日本や東南アジアの各国と比較して国土とともに経済規模が大きく、時価総額についても世界最多です。

アメリカREITの2021年3月時点の株式時価総額は1,495,474億円、時価総額比率は62.81%となっており、アメリカ一国のREITで世界各国のREIT市場の半分以上を占めていることになります。(※参照:同上)

運用先が多様化しているほか運用規模も非常に大きい点は、アメリカのREITが持つ大きな特徴です。また、運用通貨も世界の基軸通貨であるアメリカドルになります。アメリカのREITは為替リスクや通貨分散の観点からも、低リスクの投資対象として選ばれやすいセクターであると言えます。

まとめ

東南アジアのREITは制度や市場が作り上げられている最中であるとも言え、日本やアメリカのREITと比較すると、投資先の多様性やリスクの観点でデメリットがあると言えます。

その一方で、REIT運用による利益は不動産の利回りや値上がり期待などに依存するため、比較的利回りが高く将来的な値上がり期待も大きい点が、東南アジアREITの持つ利点です。

長期的な保有による分配金を狙った運用や、市場分析のやりやすさは日米のREITが優れている一方で、利回りや値上がりの期待感を重視したい場合は、東南アジアREITを投資先の一つとして検討されてみるのも良いでしょう。

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