米国シカゴに本社を置く総合不動産サービス大手のJLL(ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッド)は7月25日、2018年版の「グローバル不動産透明度インデックス」を発表した。
同インデックスは世界各国の不動産市場に関する透明度を数値化したレポートで、2018年版では世界100ヵ国、158都市が調査対象となっている。
今回の調査の結果、世界の不動産市場は投資家や企業、政府など各ステークホルダーからの透明度向上に対する圧力や不動産テックの活用などを背景に、全体として透明度が高まっていることが明らかになった。
国別に結果を見てみると、2018年で最も透明度が高いと評価されたのは英国で、続いてオーストラリア、米国と英語圏が続く。
また、2018年版から新たにESG投資に対する要求の増加に合わせて評価指標の一つに「サステナビリティ(環境不動産ストックの形成)」が加わった結果、日本の不動産市場は前回の19位から14位へと順位を高める結果となった。
日本では建築物の省エネルギー性能表示制度をはじめ、不動産オーナーやテナントによる任意のグリーンリース条項に関する具体的指針、エネルギー効率基準の導入など環境不動産ストック形成に対する取り組みが従来から積極的に進められており、それらが評価に反映された形だ。
世界的に環境や社会、ガバナンスを重視するESG投資の動きが活発化するなか、株式や債券だけではなく不動産投資の分野でも同様の動きは進みつつある。
たとえば、環境負荷の低い高エネルギー効率の商業ビルは運営コストも低いうえ、テナントの満足度も高まりやすいことから収益性の観点から見ても魅力的な投資と考えられており、最近では不動産価値の向上を目的としてグリーンビルディングに関する認証を取得する企業も増えてきている。
また、テクノロジーの活用により不動産業界全体の透明度が高まっていけば、ガバナンスという観点でも投資家の要求に応えやすくなる。
かねてよりビルの省エネシステムや緑化などを推進してきた日本の不動産業界にとって、こうした世界的なESG投資の拡大は大きな追い風となりそうだ。
【参照サイト】JLL、「2018年版グローバル不動産透明度インデックス」を発表
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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