英国に本拠を置くサーキュラーエコノミー推進団体のエレン・マッカーサー財団と大手デザインエンジニアリング会社のアラップは2月26日、共同で「From Principles to Practices: Realising the value of circular economy in real estate(原則から実践へ:不動産業界におけるサーキュラーエコノミーの価値を知るために)」と題したレポートを公表した。不動産業界がサーキュラーエコノミーの原則にのっとったビジネスモデルを導入すれば、カーボンフットプリントを低減し、脱炭素化に貢献しながら、収益を大幅に向上させることができるとしている。
同レポートでは、不動産業界における5つのビジネスモデルを開発し、欧州5都市で実際に進んでいる建設プロジェクトの収益パフォーマンスへの影響を調べた。レポートは、実際にサーキュラーエコノミーの原則が実現し、多種多様な建設プロジェクトの収益パフォーマンスを改善できる可能性があることを示している。
その際に核となるのは、空間の変更を活かす新しいビジネスモデルを採用することだ。より柔軟に改造、解体できる建物で、モノではなくサービスを調達するように運用することで、投資家は一時的な利益のためではなく、新たな収益源とより快適な居住価値を提供できる、より生産的で有害性の少ない資産を保有するようになる。
アラップのグローバルアドバイザリーサービスリーダーのCarol Lemmons氏は「サーキュラーエコノミーが、その原点である素材をめぐる戦略から、ビジネスと投資の世界にとってより本質的なものへと変わってきたのは素晴らしい。サーキュラーエコノミーは、ビジネスを成長させながら、より持続可能なものにできる自由を与えるものだ」とコメントした。
一方で、サーキュラーエコノミーへ移行することは、挑戦を抜きにしては不可能だ。サーキュラーエコノミーによる恩恵は、既存のシステム内部や政策決定者、政府機関、バリューチェーンを超えたビジネス界全体における協働、さらには公的部門と民間部門との協働によってもたらされるものだとしている。
【参照記事】Circular economy brings value for real estate businesses
【参照レポート】From Principles to Practices: Realising the value of circular economy in real estate
木村 麻紀
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