CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)が8月23日に発表した2018年第2四半期の投資市場動向(Japan Investment MarketView)および第60回「不動産投資に関するアンケート」によると、世界の事業用不動産投資額は2310億ドルで前年同期比3.2%減。2018年上期の投資額としては第1四半期が前年同期を3.8%上回ったため前年同期並みの4430億ドルとなった。米州における物流施設・ホテルの取引、企業買収が市場をけん引した。
日本での事業用不動産投資額は5010億円で同7.2%増加。J-REITと海外投資家によるオフィス投資が伸びをけん引した。
上期の投資額としては欧州・中東・アフリカ(以下EMEA)とアジア太平洋地域(以下APAC)が前年同期よりそれぞれ1.9%減、3.2%減少だったのに対し、米州では2.2%増の2320億ドル(約25兆円)となった。企業買収や物流施設、ホテルへの投資が伸びた。
日本での事業用不動産の投資額(10億円以上の取引)はJ-REITと海外投資家が前年同期を上回り、投資額はそれぞれ同43%増の1880億円、同23%増の 1230億円となった。一方、J-REIT以外の国内投資家は同20%減の1890億円。J-REITと海外投資家によるオフィス取引が伸びをけん引した。
オフィス投資額は同48%増の2660億円で、全投資額の53%を占めた。このうちJ-REITによる投資額は同95%増の1260億円、海外投資家は同296%増の990億円で、いずれも大型取引が散見された。地方都市での投資も引き続き活発だ。
大阪、名古屋を含む地方都市の投資額が全投資額に占める割合は28%となり、17年通年の26%を2期連続で上回った。今期は名古屋の投資額が前年同期の3倍に当たる200億円に増加、福岡では200億円を超える商業施設の大型取引がマーケットの注目を集めた。
投資家調査による東京の期待利回りは、賃貸マンション(ワンルーム、ファミリー)と物流施設(首都圏湾岸部)が前期から低下し、調査開始以来の最低値を更新。その他のアセットタイプは横ばいだった。東京以外の都市のオフィス期待利回りは、3都市(札幌、広島、福岡)で低下、いずれも調査開始以来の最低値を更新した。
投資家調査による東京の期待利回りは、賃貸マンション(ワンルーム、ファミリー)と物流施設(首都圏湾岸部)が前期から低下、調査開始以来の最低値を更新した。その他のアセットタイプは横ばいだった。
CBREの短観は、Aクラスオフィスは「金融機関の貸出態度」のDIが悪化するも、「良好な資金調達環境に大きな変化は見られない」としている。物流施設(マルチテナント型)は、「空室率」のDIが4期ぶりに改善。「賃貸マーケットの堅調なテナント需要が投資家心理を改善させた」と分析する。
また、日銀が7月の金融政策決定会合後の声明で金利の上下変動を容認する考えを示す一方、政策金利に関するフォワードガイダンスを導入し、当分の間は現在の金融緩和を続けるとした点を指摘。「今後しばらくは長・短金利ともに極めて低い状況が続く」と見る。
調査は今年6月20日~7月18日、対象者数160名(社数157社)に実施、回答者数141 名(社数139 社)から回答を得た。回答者の属性はアレンジャー、シニア、メザニンを主とするレンダー、デベロッパー・不動産賃貸、アセットマネージャー(J-REITを主とする)、アセットマネージャー(J-REIT以外を主とする)、エクイティ投資家など。
【参考記事】「CBRE Japan Cap Rate Survey 第60回調査結果|2018年7月」
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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