利回り10%を超える中古マンションの5つのリスクとは?それぞれ対策も

利回りの差がキャッシュフローに与える影響は大きいため、不動産投資家であれば少しでも高い利回りのマンションに投資したいと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、利回りが10%を超える中古マンションは比較的高い利回りであるといえ、その分リスクも高い傾向があります。中古マンションにはどのようなリスクがあるかを予め知っておき、対策を講じておきたいといえます。

本記事では、中古マンションの利回りの意味と相場、10%を超える利回りの中古マンションのリスクとその対応策について解説していきます。

目次

  1. 中古マンション投資の利回り相場
    1-1.中古マンション投資の利回りとは
    1-2.中古マンションの利回り相場
  2. 利回り10%を超える中古マンションのリスク
    2-1.空室リスク
    2-2.家賃下落リスク
    2-3.修繕リスク
    2-4.マンション価格下落リスク
    2-5.災害リスク
  3. 中古マンションのリスク対策
    3-1.入居率の高い管理会社を選ぶ
    3-2.定期的にメンテナンスをおこなう
    3-3.設備投資をおこなう
    3-4.災害リスク対策として保険に加入する
  4. まとめ

1.中古マンション投資の利回り相場

中古マンション投資をおこなう上で、利回りは購入の大きな判断指標といえます。購入にあたっては、利回りの意味内容を正確に理解し、相場と照らし合わせて判断したいところです。
以下では、一般的に言われる利回りの意味を確認し、中古マンションの利回り相場について説明していきます。

1-1.中古マンション投資の利回りとは

利回りは、収益物件の価格に対する年間家賃収入の割合を示す数値です。不動産業者の販売資料やサイトに掲載されている利回りは、修繕費や税金などの経費を考慮していない「表面利回り」であることが多いといえます。

実際の購入判断にあたっては、経費も推計した実質利回りで比較し、利用する不動産投資ローンも考慮してのキャッシュフローを見積もることが必要になります。

また、利回りには不動産投資に伴うリスクの発生可能性(リスクプレミアム)が含まれていると考えられ、利回りが高いほど修繕リスクや空室リスクも高い傾向にあります。

1-2.中古マンションの利回り相場

「不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家(けんびや)」が2022年4月に発表した、「収益物件市場動向 四半期レポート 2022年1月~3月期」 によれば、2022年1月~3月に同サイトに登録された区分マンションの表面利回りは、全国平均で7.48%となっています。

地域別にみると、首都圏6.85%に対して、最も高い信州・北陸では14.43%であり、地域差を考慮に入れると、全体的な相場は、7~12%程度といえるでしょう。

また、マンションは築年数が経過するにつれて、建物価値が大きく下落し、修繕リスクも増えることから、表面利回りは築年数にも左右されます。首都圏の区分マンションにおける築年別の相場は、築10年未満が4.31%、築10年~20年が4.77%、築20年以上が7.57%となっています。

2.利回り10%を超える中古マンションのリスク

利回りが10%を超える中古マンションは、相場からすると比較的高い利回りであるといえます。利回りが高いと、不動産投資に伴うリスクも高い傾向がありますが、それでは、高利回りの中古マンションには、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。

2-1.空室リスク

中古マンションでは、外観や内装、設備の経年劣化や設備性能・室内デザインの陳腐化などにより、他の築浅物件と比較して入居需要が減少することがあります。

また、そもそも賃貸需要が少ない立地のマンションの場合、比較的に築年数の浅い期間には、新しさを求めて入居者が入ったとしても、古くなることでエリアが持つ賃貸需要の弱さが顕在化する場合もあります。

特に、高利回りの中古マンションは物件価格に対して高い家賃設定が行われているという背景があります。市場環境によっては入居需要が少なくなることがあり、空室が発生するリスクが高まります。

2-2.家賃下落リスク

上述したように、築年数が経過すると中古マンションの入居需要は減少していくため、空室を埋めるための対策として家賃を下げる対策が行われます。入居者を確保するために、家賃を引き下げることで競争優位性を確保し、入居需要を掘り起こすためです。

このように、中古マンション投資には家賃下落リスクがありますが、高利回りの中古マンションにおいては購入時に想定していた高い利回りが期待できなくなることに繋がり、シミュレーション通りの収益性を保つことが出来ない可能性があります。

2-3.修繕リスク

中古マンションでは、修繕費支出が増大しやすい傾向があります。

マンションの共用設備や室内のキッチン、ユニットバスなどの設備の耐用年数は、建物よりも短く、経年とともに劣化して故障しやすくなります。生活に必要なこれらの設備が故障した場合、原則として賃貸物件のオーナーに修繕義務があります。

また、設備や内装が老朽化・陳腐化すると、入居需要の減少につながるため、入居需要を確保するために修繕する必要が生じることがあります。高利回りの背景には、売主のオーナーに修繕を行う資金が無かったというケースもあり、この場合は修繕費支出が大きくなりやすいといえるでしょう。

2-4.マンション価格下落リスク

中古マンションの建物部分は、経年とともに劣化し、市場価値が下落していきます。

マンションは、価格総額のうちに建物価格の占める割合が高いため、価格の下落リスクが大きくなります。築浅時の価格と比較すると3分の1程度まで下落することもあるので注意が必要です。

不動産投資は、収益物件を売却し、投資した資金を回収することによってトータルの収益が確定します。中古マンションに投資した場合、家賃収入による運用益がプラスであっても、マンション価格の下落によって投資した資金が目減りしてしまうリスクがあります。

2-5.災害リスク

不動産投資では、自然災害や火災などによって投資対象の不動産が損傷したり滅失したりするリスクがあります。築年数の経過した中古マンションでは、このような災害に対するリスクが、築浅物件と比較して高い場合があります。

昭和56年の建築基準法改正によって耐震基準が強化される前に建てられたマンションの場合、現行の耐震基準を満たしていないこともあるため、大地震に対するリスクが比較的高いといえるでしょう。

また、中古マンションでは、老朽化により、地震や台風などの自然災害、火災に対する耐久性が低下している可能性もあります。

3.中古マンションのリスク対策

中古マンションで発生する可能性が高くなるリスクについてお分かりいただけたかと思います。そこで、それぞれのリスクに対して、どのような対策や回避策が考えられるかを、以下でみていきましょう。

3-1.入居率の高い管理会社を選ぶ

空室リスクへの対策としては、入居率の高い管理会社を選ぶことが有効です。

管理会社の中には、入居者の募集業務については専門外であったり、マンションの所在する地域の賃貸需要には詳しくなかったりする管理会社もあります。そのような場合、管理会社を変更することで、入居者の募集業務が進み、空室が埋まるケースもあるでしょう。

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3-2.定期的にメンテナンスをおこなう

修繕リスクやマンション価格下落リスクへの対策として、定期的にメンテナンスをおこなうことが有効です。

マンションの外壁や屋上などは、塗装や防水工事を定期的におこなうことで、経年劣化を軽減できる場合があります。

また、マンションの給排水設備や電気設備などの共用設備も、定期的に点検し、不具合の生じている箇所を修繕していくことで、大規模な故障などによる修繕リスクを軽減することができるでしょう。

共用設備のみならず、内装や室内設備などの維持管理状態が良くない場合、マンション価格の下落にもつながります。定期的にメンテナンスをおこなうことは、価格下落リスク対策としても有効であるといえるでしょう。

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3-3.設備投資をおこなう

家賃下落リスクは、入居者の需要に訴求するような設備投資をおこなうことで、ある程度防ぐことができる可能性もあるでしょう。築年数が経過したマンションであっても、入居者のニーズに合った、競合優位性のある設備やデザインを導入すれば、家賃の下落を回避できることがあります。

収益物件の価格を構成する要素として、家賃に対する利回りの影響は大きいため、家賃を維持することができれば、物件価格の下落の回避にもつながる可能性があります。

また、災害リスクに備えるにあたっても設備投資は有効です。旧耐震基準で建築されたマンションでは、大地震対策として、新耐震基準に沿うような耐震改修をおこなうことが効果的です。

3-4.災害リスク対策として保険に加入する

災害リスクに備えるには、火災保険や地震保険に加入することが効果的です。

火災保険は、契約オプションによっては、火災のみならず台風などの風災や洪水による水災雪災なども補償対象とすることが可能です。

所有するマンションの状況や立地環境に応じて、発生する可能性が高いような災害についてオプション追加を検討するなど、費用対効果を考慮して加入すること検討してみましょう。

まとめ

中古マンション投資の利回り相場は7~12%程度であり、利回りが10%を超える中古マンションは、比較的高い利回りであるといえます。利回りが高いマンションは、リスクも高い傾向があります。

中古マンションのリスクには、空室リスクや家賃下落リスク、マンション価格下落リスクなど収益性や資産性を損なうリスクの他、修繕リスクや災害リスクのような実際に現金支出を伴うリスクがあります。

これらのリスク対策としては、管理会社の変更や、定期的なメンテナンスなどが有効である場合もあります。より積極的な対策をおこなうのであれば、設備投資を検討するという手段もあります。

その他、万一に備えて保険加入のオプションを増やすなど、それぞれのリスクに対して発揮する費用対効果を考慮して検討してみましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。