世界の不動産投資の動向は?3ヵ国の市場のトレンドを比較して解説

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2020年以降世界中で拡大したコロナウイルス感染症は、日本において感染症としての位置づけが格下げされるなど、2023年8月時点ではほとんど終息しつつあります。

世界中の経済活動に影響を与えたコロナウイルスの影響が終息しつつある中で、海外の不動産市場はどのような動きを見せているのかを検証するため、アメリカ全体とハワイに加え、東南アジアの代表的な2ヶ国について不動産市場の動向を分析します。

目次

  1. アメリカ不動産投資の動向・トレンド
    1-1.アメリカの政策金利推移
    1-2.アメリカ全体の不動産市場動向
    1-3.ハワイの不動産市場動向
  2. フィリピン不動産投資の動向・トレンド
  3. タイ不動産投資の動向・トレンド
  4. まとめ

1.アメリカ不動産投資の動向・トレンド

アメリカの不動産市場には、コロナ禍による影響が特に大きく表れました。コロナ禍の影響によって世界各国で利下げが起こりましたが、アメリカの不動産市場では利下げに対する反応が特に大きく表れたためです。

1-1.アメリカの政策金利推移

アメリカで中央銀行の役割を担うFRBは、コロナ禍の拡大を受けて2020年3月中旬からほぼゼロ金利となる0.25%まで利下げを実施しました。その後、2022年に入りインフレの傾向が顕著になったため、2022年3月からは低金利の方針を転換し、段階的な利上げに踏み切っています。

特に2022年6月から11月にかけては、ほぼ1ヶ月に1度のペースで0.75%の利上げが繰り返されました。2022年12月からは利上げ幅を縮小し、2023年5月と6月の政策金利は5.25%で据え置きとなっています。

アメリカの政策金利は2018年12月から2019年6月まで2.5%だったので、2023年8月時点ではコロナ禍以前の倍以上まで政策金利が上がっている状況であり、2023年中に0.25%×2回の利上げを行う可能性がFRBによって示唆されています。

1-2.アメリカ全体の不動産市場動向

アメリカの不動産ポータルサイトRedfinによると、政策金利が0.25%まで引き下げられた2020年の春以降、アメリカの不動産市場では半年程度の期間で大きく値上がりするサイクルが繰り返されてきました。

一方で、利上げ幅が大きくなった2022年6月以降は2023年1月まで値下がりしています。しかし、2023年2月以降は、直前の値下がりに反発する形で値上がり傾向が続いている状況です。

アメリカ全体の不動産市場動向としては、政策金利の動きに連動している傾向が見受けられます。利上げ幅が0.75%まで拡大された2022年6月以降は、それまでの値上がりから値下がりに転じました。一方で、利上げ幅が縮小された2023年初頭以降は再び値上がりしているためです。

2023年8月時点では、政策金利は高い状態である一方、FRBが利上げに慎重な姿勢を見せており次の利上げ時期を明示していないため、今後の見通しは不透明であると言えるでしょう。アメリカの不動産市場動向を読むためには、政策金利に関する情報を逃さずキャッチすることが重要になるでしょう。

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1-3.ハワイの不動産市場動向

続いてアメリカの中でも人気の高いハワイ不動産について市場の動向を解説します。ハワイ不動産についても、アメリカの不動産ポータルサイトRedfinから価格を調査することが可能です。

ハワイの不動産市場では、2022年4月の745,000ドルをピークとして、その後は短期間で値下がりと値上がりを繰り返しています。アメリカ全体の市場動向と比較すると、2023年におけるハワイの不動産市場は不安定な状態であると言えるでしょう。

2022年5月に0.5%の利上げがありましたが、ハワイの不動産市場はアメリカ全体の不動産市場よりも少しだけ早く利上げに反応しています。ハワイ不動産投資をしている、または検討しているのであれば、より一層政策金利の動向に注意を払う必要があるでしょう。

一方で、2022年4月以降に繰り返されている値上がりのピークは少しずつ右肩下がりになっています。ハワイの不動産はアメリカの中でも高額なこともあり、2023年に入っても緩やかな値下がり傾向を見せる可能性はあるでしょう。

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2.フィリピン不動産投資の動向・トレンド

東南アジアの投資先として人気のあるフィリピンについて、首都圏のコンドミニアム価格指数推移を検証します。フィリピンの中央銀行であるBANGKO SENTRAL NG PILIPINASが発表している不動産価格指数の資料によると、フィリピン首都圏のコンドミニアム価格指数推移は以下グラフの通りです。

※BANGKO SENTRAL NG PILIPINAS「Residential Real Estate Prices Increase in Q4 2022」を参照し筆者作成

コロナ禍前後の値動きを見ると、コロナ禍前の2019年第2四半期から大幅な値上がりが始まっており、2020年第2四半期にはそれまでの最高値となる213.2を記録しました。2019年第2四半期の価格指数は156.3だったので、1年間で約1.36倍まで値上がりしたことになります。

しかし、コロナ禍の影響が本格化した2020年第3四半期には、値上がり前と同等の156.1まで急降下しました。その後は少しずつ値上がりを続け、2022年第3四半期には219.4まで値上がりし過去最高値を記録しています。その次の四半期には204.3と少し値下がりしており、2023年以降の推移については統計の発表が待たれるところです。

フィリピン不動産は比較的に値動きが少ない時期と、急激な値上がり・値下がりを見せる時があり、先の値動きを明確に見通すのは困難です。

アメリカやハワイの不動産価格推移と比較すると、フィリピンの不動産は1度大幅な値下がりをしている点が異なります。長期的な目線で見て値上がり傾向にある点はどちらも同じですが、フィリピン不動産の価格指数の最高点は210~220の間となっており、どのタイミングでこの価格指数を超えるのかが注目のポイントとなるでしょう。

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3.タイ不動産投資の動向・トレンド

続いて、タイの不動産価格推移を検証します。タイの中央銀行であるBank of Thailandが発表している統計によると、首都バンコクとその周辺エリアにおけるコンドミニアム価格指数の推移は以下グラフの通りです。

※BANGKO SENTRAL NG PILIPINAS「Residential Real Estate Prices Increase in Q4 2022」を参照し筆者作成

アメリカやフィリピンと比較すると、タイ不動産の値動きは緩やかになっているように見受けられます。2019年下半期以降の値動きでは、最も低い価格指数は2019年10月の154.9でした。

その後2020年初頭にかけて値上がりするものの2020年の秋にはまた値下がりし、その後は再び上昇という動きを見せています。しかしながら、2021年は全体的に横ばいの傾向が強く、夏から秋にかけて一旦値上がりが起きたものの、その後すぐに値下がりして元の水準に戻っていました。

目立った変化が起きたのは2022年秋以降です。2023年春頃まで値上がりが続き、2023年3月には直近4年弱の最高値である194.7を記録しています。

タイ不動産が長期的に見て値上がり傾向にある点は、アメリカ全体・ハワイ・フィリピンと同様です。その一方でタイ不動産の値動きは比較的緩やかな変化を見せている点が特徴的です。

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まとめ

2023年8月時点では、世界各国で経済活動がコロナ禍前の状態に戻りつつあります。海外不動産市場のトレンドとしては、各国ともコロナ禍を経て値上がり傾向を見せており、比較した中ではハワイだけが少しずつ値下がりの気配を見せている状況です。

経済活動が正常化しつつある中では、今後いつ値下がりが起こるかは不透明ですが、もしコロナ禍の影響が拡大するよりも前に購入した不動産があるのならば、一つの売り時と見ることもできるでしょう。

ただし、海外不動産は日本国内の不動産と比較して売却期間が長期化することも多く、売却活動中に市場が値下がり傾向に傾くことも考えられるので要注意です。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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