タイは日本人の旅行先として人気のある国の一つです。海外不動産投資においても、タイ不動産を検討する人は多いのではないでしょうか。
現地在住の日本人も多いなど、投資しやすい環境が整っているタイですが、実際に物件を購入する場合には、確認を要するポイントも少なくありません。
そこでこの記事では、タイ不動産を購入する手順や注意点について解説します。タイの不動産投資を検討している方はご参考下さい。
目次
- タイ不動産を購入する手順
1-1.エージェントを探す
1-2.候補物件を探す
1-3.物件視察をする
1-4.購入申込および申込金の支払い
1-5.エージェントとコンサルティング契約を締結する
1-6.不動産売買契約を締結する
1-7.手付金および中間金を支払う
1-8.インスペクションの実施および家具家電の選定
1-9.物件引渡しおよび登記
1-10.賃貸運用を開始する - タイ不動産を購入する際の注意点
2-1.エリア選定の注意点
2-2.土地の所有権を確認する - まとめ
1.タイ不動産を購入する手順
タイ不動産の購入を進める上では、購入資金の支払方法や登記手続きの詳細など、確認を要するポイントが複数あります。トラブル防止のためには、可能な限り早い段階で各ポイントを確認することが重要です。
1-1.エージェントを探す
タイ不動産投資を進めるためには、最初に現地の不動産情報を提供できるエージェントを探します。
物件購入に関わる手続きは全てエージェントを介して行うため、タイ不動産投資を成功させるためにはエージェント選びはとても重要なポイントとなります。
なお、タイは他の東南アジア諸国と比較して現地在住の日本人が多く、エージェント探しに有利と言えます。例えば、外務省の在留邦人数調査によると、2020年時点の在留邦人数はタイには約80,000人、マレーシアは約27,000人と、タイのほうが圧倒的多数となっています。
タイでは現地にて不動産業を営む日本人も少なくありません。言語の壁や現地との商習慣の違いが課題となる海外不動産投資において、コミュニケーションを円滑にするために日本人エージェントを選ぶことは有効な手段と言えるでしょう。
※参照:外務省「海外在留邦人数調査統計」
1-2.候補物件を探す
エージェントを見つけたら物件情報をリクエストします。リクエストするときに重要なポイントは、希望物件の条件を可能な限り具体的に伝えることです。
例えば、投資目的・予算・立地・利回りなどについて考えておくと、リクエストの内容が具体的になります。
曖昧な希望条件を伝えると「エージェントが売りたい物件」を案内されてしまうこともあります。エージェントが売りたい物件は、必ずしも優良な物件とは限りません。投資対象の物件が自身の目的に沿っているかどうか判断するためにも、希望条件を明確に伝えておくことが重要です。
1-3.物件視察をする
エージェントから候補物件の情報を受け取ったら、現地視察することを検討しておきましょう。タイではバンコクやパタヤなどが主な候補地となりますが、特にバンコクでは、駅からの距離も重要なポイントです。
バンコクでは鉄道網の整備が進んでおり、通勤に鉄道を利用する人も少なくありません。日本の都心と同様に、駅から極端に遠い物件は入居者探しに苦労することも考えられます。
最寄駅からの距離は遠くないか、距離がある場合はバイクタクシーなどを利用できるかなど、現地で確かめることが重要です。現地へ行ける時間を取れない場合は、エージェントへ周辺環境を確認することが必要になります。
1-4.購入申込および申込金の支払い
購入する物件を決めたら、物件を押さえておくために申込金を支払います。多くの場合、申込金は物件価格の1%などに設定されます。
なお、日本国内の金融機関から送金する場合は、申込金の支払いをスムーズに進めるために、物件選びの段階で金融機関へ相談しておくことが必要です。
事前確認をせずに窓口へ行くと、窓口担当者が海外送金の経験を持っていないなどの理由で、当日の対応を断られることもあります。
1-5.エージェントとコンサルティング契約を締結する
タイ不動産の購入について引き渡しまでサポートを受けるためには、コンサルティング契約が必要な場合もあります。契約の要否について事前に確認しておくと良いでしょう。
コンサルティング手数料は物件価格の3%に設定されていることが多いものの、エージェントによって異なります。契約の要否とともに手数料率の確認も必要です。
1-6.不動産売買契約を締結する
購入申込および申込金の支払いが完了したら、売主と売買契約を締結します。タイ不動産の売買契約書は、タイ語または英語で書かれており、外国語で書かれている契約書を読解するのは手間がかかります。
しかし、多少面倒であっても、契約書へサインする前に内容を一通り把握しておくことが重要です。特に、購入契約のキャンセル規定やアフターサービスに関する内容などは、後でトラブルが起きた場合に大きく関わってきます。
そのほか、賃料保証つきの物件を購入する場合は、賃料保証の詳細についても確認が必要です。
1-7.手付金および中間金を支払う
売主と売買契約を締結したら、申込金とは別に手付金を支払います。
多くの場合、手付金は物件価格の10%〜20%程度に設定されますが、正確な金額についてはあらかじめエージェントへ確認しておきましょう。
また、「プレビルド」と呼ばれる竣工前の物件を購入する場合は分割払いで資金を支払っていくこともあります。購入契約時に支払方法を選べることもあるので、支払時期や支払割合などを選べるか、契約前に確認しておくと良いでしょう。
1-8.物件確認(インスペクション)の実施および家具家電の選定
物件が完成したら仕上がり具合を確認します。投資家自ら現地で確認するのが最良ですが、現地へ行けない場合はエージェントに委託するのも1つの方法です。
なお、インスペクションを実施する際には、補修箇所などについて写真を撮っておくことが重要です。写真を撮っておけば、実際に補修されたかどうか、後で確認するときに役立ちます。
また、タイ不動産投資の多くのケースでは、家具家電を入れた状態で賃貸することになります。
新築物件の場合は売主側から家具家電付きのオプションを提示されることもありますが、オプションを利用しなかった場合は、家具家電の選定と設置が必要です。購入契約前に、オプションの利用可否や利用有無について、エージェントと相談しておくと良いでしょう。
1-9.物件引渡しおよび登記
インスペクションで指摘した補修箇所の対応が終わったら、物件の引き渡しおよび登記に移ります。なお、登記に際して現地での手続きを求められることもあるので、手続きの要否についてあらかじめ確認しておきましょう。
タイでは、手続きが進めば比較的スムーズに登記済証が発行されます。ただし、登記済証の発行時期には売主とエージェントの対応スピードが関わるので、受け取り時期の目安を確認しておくと良いでしょう。
1-10.賃貸運用を開始する
物件の引き渡しと登記が完了したら、実際の賃貸運用に移ります。エージェントが賃貸管理まで対応可能か、対応可能であればいつから入居者募集を開始するか、あらかじめ打ち合わせすることが重要です。
なお、エージェントとは別に賃貸管理会社を入れる場合は、物件引き渡しまでの間に探しておく必要があります。
2.タイ不動産を購入する際の注意点
タイは東南アジアの中で比較的発展が進んでいる国です。しかし、タイの首都バンコクであっても、エリア選定を誤ると空室リスクが上がります。それぞれの注意点を詳しく見て行きましょう。
2-1.エリア選定の注意点
タイ不動産投資では、バンコクの中心地をはじめとした様々なエリアが投資対象となりますが、このエリア選定は特に注意をしておきたいポイントと言えます。
例えば、2021年時点ではバンコク中心部から鉄道の延伸工事が進んでおり、中心部以外のエリアも投資対象として注目することができます。しかし、どの程度の賃貸需要が獲得できるのか不透明な段階では、より慎重に投資判断をすることが重要です。
その他、新駅の近くに建設される物件も見られていますが、タイを含む東南アジアでは、公共交通機関も含めて建物の建設工事が遅れてしまうケースも少なくありません。
建設工事が遅れてしまった場合、どの程度遅れるのか、遅れた時にどのような状況となるのか、予測するのも難しいと言えます。バンコクでエリア選定をする際は、このようなエリアごとのリスクについてもあらかじめ想定しておくことが重要です。
2-2.土地の所有権を確認する
タイ不動産投資では、コンドミニアムの土地の所有権も確認しておきましょう。タイの外国人事業法では、外国人は原則として土地の所有はできず、日本人投資家が購入できるのは建物部分に限定されているためです。
土地の所有者が開発会社となっている場合は大きな問題とはなりませんが、所有権が他者にあり、長期リース契約になっている場合には注意が必要です。
長期リース契約の期限が切れてしまった時、契約の延長が必ずしも保障されていません。また、コンドミニアムを売却する場合に購入時よりも残存リース期間が少なくなっており、想定した価格で売却が難しくなるという点がリスクとなります。
まとめ
タイは東南アジアの中でも比較的に日本人が多く、日本人駐在員を狙った投資もしやすい環境が整っていると言えます。また、周辺諸国と比較すると登記制度などの整備も進んでいるのがタイの特徴です。
しかし、タイ不動産投資では注意しておきたいポイントもあります。特に、投資目的にあった物件選びや、エリア選定、土地の所有者の確認などは重要な注意点です。
日本国内とは異なる商習慣や言語の壁によって、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。日本国内からタイ不動産投資を検討する場合は、現地の情報を豊富に持つ不動産投資会社への相談なども検討してみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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