海外には、人口増加や経済発展を背景とした、将来性豊かな不動産市場を持つ国も多く存在しています。将来性豊かな市場で投資することによって、利益の拡大を狙えるのが海外不動産投資のメリットです。
しかし、投資を検討するのであれば、海外不動産投資ならではのリスクについても注意しておくことが大切です。海外不動産投資には日本国内での不動産投資と比較してどんなメリットがあるのか、何のリスクに注意すれば良いのか気になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、海外不動産投資のメリット・デメリットに加え、リスクや税制上の注意点などについて解説します。海外不動産投資を検討している方はご参考下さい。
目次
- 日本と比較した海外不動産投資のメリット
1-1.物件価格の値上がりを期待できる
1-2.人口増加中の国では空室リスクの低い投資ができる
1-3.資産分散の手段として有効 - 海外不動産投資のデメリット
2-1.賃貸管理の難易度が高い
2-2.不動産投資ローンを使いにくい - 注意すべき海外不動産投資のリスク
3-1.新興国ではカントリーリスクに要注意
3-2.利益が目減りする可能性もある為替リスク - 海外不動産投資における税制上の注意点
4-1.減価償却費は計上できなくなる
4-2.税金還付のタイミングに要注意 - まとめ
1.日本と比較した海外不動産投資のメリット
日本国内の不動産投資と比較した海外不動産投資のメリットは、人口増加中のエリアで投資することによって利益の拡大を狙えることや、資産分散の効果などが挙げられます。それぞれ詳しく見て行きましょう。
1-1.物件価格の値上がりを期待できる
日本では2021年時点ですでに人口減少が始まっています。人口が減少すると住宅需要は減少するため、日本国内の不動産投資で物件の値上がり益を狙う難易度は高まっていると言えます。
しかし、マレーシアやフィリピンといった東南アジアの新興国やアメリカなど、海外では人口が増加中の国も少なくありません。
人口が増加している国では、住宅需要の増加を見込め、日本国内の不動産投資よりも将来的な物件価格の値上がりを期待できる可能性が高いと言えるでしょう。
1-2.人口増加中の国では空室リスクの低い投資ができる
人口の増減は住宅の購入に関する需要のみならず、賃貸需要にも影響を及ぼします。日本では人口が減少している地方都市も多く、空室リスクに備えるためには複数の対策が必要です。
しかし、海外不動産投資では首都など人口が集まっている都市で投資できれば、賃貸需要の増加も期待できます。豊富な賃貸需要があり住戸の供給が少ないエリアでは、空室リスクの低い投資が可能です。
1-3.資産分散の手段として有効
不動産投資のリスクを分散するためには、投資するエリアを分けることが有効です。
日本国内では、人口減少による空室リスクのほか、地震や台風など災害のリスクも考慮することが重要です。日本国内でエリアを分散させていても、広範囲に影響のある災害の場合、同時にダメージを負う可能性があります。
災害が少ないエリアなどの海外不動産を投資対象として取り入れることで、災害リスクを軽減することが可能です。そのほか、海外不動産投資では各国の通貨で家賃を得られるため、通貨を分散することによってもリスクヘッジを図れます。
2.海外不動産投資のデメリット
海外不動産投資のデメリットとしては、日本国内の不動産投資と比較すると賃貸管理が難しいことや、自己資金が必要になる場合も多いことなどが挙げられます。メリットだけでなく、デメリットについても確認しておきましょう。
2-1.賃貸管理の難易度が高い
海外の商習慣は日本と違うことも多く、海外の賃貸管理会社に対して日本国内の不動産業者と同じような対応を期待していると、上手くコミュニケーションがとれず、思わぬトラブルが発生してしまうことがあります。
賃貸管理会社の対応力は投資不動産の入居率に影響します。海外不動産投資では賃貸管理会社を慎重に選ぶことが重要です。空室リスクや賃貸管理に関するリスクを排除するためには、日系の賃貸管理会社を選ぶことも有効と言えます。
しかし、海外不動産投資で利用できる日系の賃貸管理会社は、あまり選択肢が多くありません。少ない選択肢の中から賃貸管理会社を見極めるためには、海外現地へ足を運ぶなどして、直にコミュニケーションを取ることも重要です。
2-2.不動産投資ローンを使いにくい
海外不動産投資では、ローンを利用できる金融機関の開拓が課題となります。日本国内の金融機関で海外不動産投資に融資しているところは多くありません。
大半の金融機関は海外不動産の取引実績がなく、海外現地の物件に抵当権を設定するのが難しいためです。なお、仮にローンを利用できるとしても、日本国内の不動産を担保に入れるよう求められることもあります。
そのほか、融資限度額にも要注意です。海外不動産投資で利用できるローンは、融資限度額が物件評価額の50%などに設定されていることも少なくありません。海外不動産投資ではローンを利用できても自己資金を求められることが多くなります。
ローンの利用可否は不動産会社の伝手に左右される部分もあるため、ローンの利用を希望する場合は、まずは不動産会社に問い合わせてみることを検討してみると良いでしょう。
3.注意すべき海外不動産投資のリスク
日本国内の不動産投資と比較して注意すべき海外不動産投資のリスクには、環境的な変化によるカントリーリスクと、為替変動によって発生するリスクがあります。詳しく見て行きましょう。
3-1.新興国ではカントリーリスクに要注意
カントリーリスクとは、急な政治・経済・環境の変化によって損失を被るリスクのことです。新興国では、例えば2021年2月にミャンマーでクーデターが起きており、そのほかにもタイでは度々デモによる民衆と軍部との衝突が起きています。
このような急な政治・経済の変化が起こると、不動産価格が下落する傾向があるため要注意です。また、現地に進出していた海外企業が撤退することもあり、入居率に対する影響もあります。
カントリーリスクを軽減するためには、投資対象国に政治的な不安が無いか確認し、思わぬトラブルが発生してしまった場合に備えて資金に余裕を持った投資を検討することが有効です。
3-2.利益が目減りする可能性もある為替リスク
為替リスクとは、為替の変動によって見込んでいた利益が目減りしたり、増加したりするリスクのことを指します。
海外不動産投資では、投資先の国で使われる通貨によって収益が入ってきます。収益を日本国内で使う場合は、現地の通貨から日本円への両替が必要です。為替リスクにより、両替するタイミングによっては利益の目減りも起こります。
そのほか、日本国内の金融機関でローンを利用した場合にも為替リスクに要注意です。日本国内の金融機関から融資を受けると、日本円で返済することになります。また、融資元の金融機関で口座を開設し、当該口座から引き落とされるケースも多く見られます。
この場合は、海外不動産投資の収益とは別に返済用の資金を用意するか、収益を毎月日本へ送金することが必要になります。収益を日本へ送金してから返済する場合は、為替変動の影響を受けるため要注意です。
為替リスクを排除するためには、現地通貨は現地で二次運用するか、現地銀行のデビットカードを作っておくなどの対策を検討してみましょう。
4.海外不動産投資における税制上の注意点
海外不動産投資では、節税に関するポイントと税金還付のタイミングに要注意です。それぞれの詳細を解説します。
4-1.減価償却費は計上できなくなる
日本国内における不動産投資のメリットの一つに、減価償却費の計上を利用した所得税の控除があります。
しかし、税制の改正によって、2021年に実施する確定申告からは海外不動産投資で発生した減価償却費は計上できなくなります。
物件の管理費や修繕費などは従来通り計上できますが、従来よりも控除額は小さくなります。従来はアメリカ不動産投資による減価償却費の計上が節税に有効でしたが、同様の手法は使えなくなるため要注意です。
※参照:財務省「令和2年度税制改正の大綱:3 租税特別措置等」
4-2.税金還付のタイミングに要注意
日本は多くの国と租税条約を締結しているため、海外不動産投資では国をまたいで同種の税金を満額払うケースは多くありません。
しかし、例えば購入時にローンを利用した物件を売却する場合などは要注意です。日本を含む多くの国では不動産の譲渡所得税が課税されます。また、ローンを利用して購入した物件を売却する場合は、売却と同時に金融機関へ一括返済しなくてはなりません。
物件売却の前に海外現地で税額控除の申請をした場合、一旦納税してから物件売却後に還付されることもあります。還付のタイミングが確定申告の後になる場合は、物件売却してから還付までに間が空くことになるので要注意です。
また、還付のタイミングが後になることでローンの返済資金が足りなくなることもあります。返済資金が足りない場合は、自己資金の投下が必要です。
海外不動産投資で物件を売却するときには、譲渡所得税がいくらなのか、事前に税控除を申請できるのか、後で税還付される場合の還付時期などについて確認することが重要になります。
まとめ
海外不動産投資では、人口が増加中の国で投資することによって、日本国内の不動産投資にはないメリットを享受できます。一方で、ローンや賃貸管理の難易度に関しては要注意です。そのほか税制上の注意点もあります。
海外不動産投資に関するデメリットやリスクを軽減するためには、信頼できる不動産会社を探すことが重要です。例えばローンや税金などに関するポイントごとに、専門家に相談することも検討しておきましょう。
良い不動産会社は、ローンや税金に関する専門家ともつながりを持っていることも多く、各種の悩み事に対してワンストップで対応可能なことがあります。海外不動産に強い不動産会社をご紹介する記事もありますので、そちらもご一読ください。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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