近年、経済成長著しい東南アジアが投資先として注目されています。フィリピンの不動産市場は東南アジアの中でも平均年齢が若いことや人口増加率が高く、特に期待値が高いエリアと言えるでしょう。
一方、東南アジアでは、外国人による不動産の保有に規制が設けられている国も多いため、問題なく投資できるのか疑問に感じる人もいるかもしれません。
フィリピンでは、コンドミニアムに限って外国人による所有が許可されています。投資対象が限られますが、フィリピンの不動産マーケットでは値上がり益と利回りの両方を期待できるでしょう。
フィリピン不動産に関する規制の内容や、フィリピンのコンドミニアムが持っている特徴などについて解説します。
目次
- フィリピン不動産の外国人規制
1-1.外国人は土地を所有できない
1-2.法人の土地所有に関する規制 - フィリピンコンドミニアムの特徴
2-1.ディベロッパーによって客層が明確に異なる
2-2.都心部には超高級物件も
2-3.ホテル運用による収益も期待できる
2-4.利回りと値上がり益を両方とも期待できる
2-5.フィリピンの中古不動産情報は少ない - まとめ
1.フィリピン不動産の外国人規制
フィリピンでは、外国人による土地の保有が規制されています。
1-1.外国人は土地を所有できない
多くの新興国と同じように、フィリピンでは外国人の個人による土地の所有が認められていません。また、土地と建物の登記を別々にできないため、実質的に外国人は一戸建て住宅も所有できないことになります。
1-2.法人の土地所有に関する規制
フィリピンでは、法人であれば外国資本が入っていても土地の所有が認められています。しかし、資本比率に規制がかかっており、フィリピン人による株式保有が60%以上であることが条件となっています。
不動産投資を検討する個人が土地の保有を目的として法人設立することは現実的ではありません。また、不動産所有の規制回避のためにフィリピン人の名義借りをした場合は、刑事罰が科されるリスクもあります。(※法務省「法曹有資格者による日本企業及び邦人の支援の方策等を検討するための調査研究」を参照)
これらの事情から、外国人の個人投資家が検討できるフィリピン不動産投資の対象は実質的にコンドミニアムに限られているとも言えます。コンドミニアムであれば土地の保有権を登記しないため、外国人でも問題なく購入し所有することが可能です。
2.フィリピンのコンドミニアム投資の特徴
フィリピンのコンドミニアムには、フィリピン特有の特徴がいくつかあります。代表的なのは、ディベロッパーによる客層の違いやホテル運用による短期賃貸ができることなどです。
フィリピンのコンドミニアム投資の特徴について詳しく見て行きましょう。
2-1.ディベロッパーによって客層が明確に異なる
フィリピンでは経済発展に伴い不動産ディベロッパーも増えており、ディベロッパーごとに客層や品質が大きく異なっています。また、親会社は同じでも、客層が違うためにディベロッパーが別々になっているというケースもあります。
計画に沿った投資をするためには、ディベロッパーごとに客層や実績を確認することが重要です。販売会社から「大手の系列だから安心」という説明しかない場合には、どのような客層を狙った物件を開発しているのか、どのような過去の実績があるのか質問してみましょう。
また、フィリピンを含む東南アジアでの不動産投資には、投資した物件のプロジェクトが中断し完成しない「竣工リスク」があります。ディベロッパーの規模や販売中プロジェクトの売れ行きなどは、竣工リスクを軽減するうえで必ず確認しておくべきポイントです。
低価格帯の物件を開発しているディベロッパーの場合、販売中プロジェクトの売れ行きがよくないと物件が完成しない結果に終わる可能性もあります。
2-2.都心部には超高級物件も
フィリピンでは経済の発展に伴って都市開発も進んでおり、特に首都マニラでは開発用地が郊外へと広がっています。開発範囲の広がりに伴い、都心部では不動産が値上がりしており、用地確保できるディベロッパーが大手に限られる状況となりつつあると言えます。
都心部では用地の値上がりとともに物件価格も上がっており、1億円を超えるような高級物件も増えてきました。
また、フィリピンでは韓国人や中国人の投資家が投資を進めており、すでに資本が大量に流れ込んでいるエリアもあります。競争が激しい都心部では、値上がり傾向も強まっています。
家賃収入に対し物件価格が上がると表面利回りは下がるので、都心部の物件で利回り重視の投資をするならばシミュレーションを入念に確認することが重要です。
また、高級物件では入居者の候補も限られます。入居者募集の方法や設定家賃の妥当性などについて管理会社と入念に打合せし、事前に確認をしておきましょう。
2-3.ホテル運用による収益も期待できる
フィリピンでは多くの物件でAirBnbなどを活用した短期賃貸運用が可能です。また、フィリピンの外国人入国者数は増加傾向にあります。
都心部の高級物件で、長期賃貸による運用では入居者探しの難易度が高いという場合は、ホテル運用による短期賃貸を検討するのも有効です。高級物件の場合は特に、アクセスがよい物件に投資できれば、ホテル運用で大きな収益を上げることも期待できます。
しかし、すべての物件で必ずホテル運用ができるとは限らない点や、2020年に問題が顕在化した新型コロナウイルスの影響により、今後の外国人入国者数の推移も不透明な状況となっている点には注意が必要です。
2-4.利回りと値上がり益を両方とも期待できる
高い人口増加率と経済発展を追い風として、フィリピンの住宅需要は旺盛であると言えます。
一方、フィリピンでも新型コロナウイルスが経済に大きな影響を与えており、特にオフィス市場は大きな影響を受けています。
しかし、政府が政策金利を下げている背景から、住宅ローンの金利は低い状態が続いています。2020年8月時点では、低金利が住宅需要を下支えする形になっており、フィリピンの住宅価格指数の落ち込みは見受けられません。
【関連記事】コロナショックが海外不動産に与えた影響は?不動産価格や金利の変化を検証
フィリピンにおけるコロナの収束時期にもよりますが、このまま住宅市場への影響が最小限に抑えられれば、住宅は値上がり基調を維持する可能性はあると言えます。
2-5.フィリピンの中古不動産情報は少ない
フィリピン不動産には中古物件もありますが、情報があまり公表されていません。各不動産会社が別々に物件情報を公表しており、日本国内からインターネットなどで情報収集するのはやや難しい手段であると言えます。
そのため、海外からフィリピンの中古物件情報を集めるためには信頼できる現地のエージェントを見つけることが大切です。
フィリピンの不動産ライセンスは、販売ライセンスと仲介ライセンスとに分かれています。現地人のエージェントを見つけたら、エージェントの保有ライセンスが販売ライセンスなのかどうか確認しましょう。
また、無資格者がブローカーと自称して取引を持ちかけてくることもあります。言語の問題などもあるので、日本から遠隔で現地のブローカーやエージェントを見極めるのは難しいでしょう。
中古物件の情報収集は難易度が高いため、投資対象物件は新築のプレビルド物件(完成前の物件)が多くなります。プレビルド物件では、事前に物件の稼働実績や建物の品質を見極めることができません。すでに解説したディベロッパーの見極めがとても重要になります。
また、ディベロッパーの見極めにあたっては、現地の不動産市場に精通したエージェントの協力が必要です。
たとえばフィリピンの現地法人と提携しているビヨンドボーダーズという会社は、日本には中々出回ってこないリアルタイムの情報やフィリピンの物件情報を保有しています。また、不動産の仲介から管理、客付け、売却に至るまでをトータルでサポートしてもらえるため、情報収集や相談を検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
フィリピンでは、外国人による土地の保有に規制がかけられているため、日本人の投資対象はコンドミニアムに限定されます。
日本人が投資できるフィリピンのコンドミニアムは主に完成前のプレビルド物件となります。ディベロッパーによって客層と仕様が分かれているので、投資する前にディベロッパーの客層や開発実績を確認することが重要です。
なお、フィリピンのコンドミニアムではホテル運用による短期賃貸できるものもあるなど、高い利回りを期待できる物件もあります。フィリピンの住宅市場は上昇傾向にあり、将来的な値上がり益が期待できる点も大きな強みと言えるでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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