エリア需要と独自リスクを学ぼう。札幌エリアの不動産投資事情

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2050年を過ぎた頃には日本の人口は1億人を下回るという予測値も出ており、立地適正化計画などでコンパクトな街づくりが求められています。そのため、不動産投資を始める際の立地はどこでも良いというわけではなく、継続的に安定した需要が期待できる立地であることが重要です。

今回は、札幌エリアで開催される不動産投資セミナーの情報について解説します。

目次

  1. 札幌の基本情報
    1-1.人口ランキング
    1-2.札幌市の広さ
  2. 札幌の不動産投資事情
    2-1.室内のヒーターが壊れる可能性がある
    2-2.水道管が凍結する可能性がある
    2-3.雪によって建物が傷む可能性がある
    2-4.管理費が高くなる可能性がある
  3. まとめ

1 札幌の基本情報

不動産投資は長期的な家賃収入が期待できるのが魅力の1つですが、需要が低いエリアで不動産投資を始めてもなかなか入居者が付かず、家賃収入が入らない期間が長くなる恐れがあります。また、立地条件が悪い物件は地価の下落が大きい傾向にあり、将来売却を考える際には不利になります。

札幌市は北海道の道庁所在地です。政令指定都市にもなっている人口の多い都市であるため、北海道の中では最も賃貸需要が高く不動産投資に適しているエリアですが、どのような特徴があるのでしょうか?札幌の基本情報について詳しく見ていきましょう。

1-1 人口ランキング

総務省自治行政局が行っている「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数に関する調査」では、2019年1月1日時点における北海道全体の人口は約530万人です。札幌市の人口は約196万人と、北海道全体の人口の約37%を占めています。北海道全体の人口は、全国6位の兵庫県と全国8位の福岡県に挟まれて第7位にランクインしています。

札幌市は、中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区の全部で10区に分かれています。各区の人口をまとめると以下の通りです。

  • 中央区:235,449人
  • 北区:286,112人
  • 東区:261,777人
  • 白石区:212,671人
  • 豊平区:222,504人
  • 南区:137,448人
  • 西区:215,231人
  • 厚別区:127,648人
  • 手稲区:142,130人
  • 清田区:118,985人

区によっては人口が2倍以上異なりますので、不動産投資で安定した需要を求めるのであれば、同じ札幌市でも人口が多いエリアを選んで投資することが重要です。

1-2 札幌市の広さ

北海道全体の広さは83,456平方キロメートルです。日本国内では最も大きい都道府県で、日本全体の約22%を占めるほどの大きさです。83,870平方キロメートルのオーストリアとほぼ同じ大きさで、41,526平方キロメートルのオランダの2倍の大きさです。

札幌市の広さは1,121平方キロメートルとなっており、各区の広さは以下の通りです。

  • 中央区:46.42平方キロメートル
  • 北区:63.57平方キロメートル
  • 東区:56.97平方キロメートル
  • 白石区:34.47平方キロメートル
  • 豊平区:46.23平方キロメートル
  • 南区:657.48平方キロメートル
  • 西区:75.10平方キロメートル
  • 厚別区:24.38平方キロメートル人
  • 手稲区:56.77平方キロメートル
  • 清田区:118,985人

東京23区の広さが619平方キロメートルであることを考えると、札幌市は約1.8倍の面積であるため、いかに大きいエリアであるかが分かるでしょう。

2 札幌の不動産投資事情

札幌で不動産投資を始める際には、以下の4つの点に注意が必要です。

  1. 室内のヒーターが壊れる可能性がある
  2. 水道管が凍結する可能性がある
  3. 雪によって建物が傷む可能性がある
  4. 管理費が高くなる可能性がある

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

2-1 室内のヒーターが壊れる可能性がある

北海道に対して「雪」という印象を抱いている方も多いと思いますが、札幌も冬場の寒さは本格的です。ヒーターやエアコンなどの家電付きの物件を運用している際は、万が一壊れてしまうと入居者が寒さをしのげなくなるため、早急な対応が求められます。

また、電気代込みの物件を運用している際は、ヒーターの使用によって冬場の電気代が高くなりやすい傾向があります。また、ガス設備によっても需要に変化が生じる可能性があるので注意が必要です。

都市ガスとプロパンガスの料金を比べると、プロパンガスの方が高くなります。札幌のように寒いエリアではガスの使用量が多くなりやすく料金差が顕著になるため、物件を選ぶ人も慎重になります。

2-2 水道管が凍結する可能性がある

札幌では冬の寒さの影響で水道管が凍結する可能性があります。水道管が凍結した時は水の供給が滞るだけでなく、水道管の膨張によって水道管が破裂する可能性もあるので注意が必要です。

水道管が凍結しただけであれば使える状況に戻すことによって解決しますが、大変なのは破裂した場合です。水道管破裂によって下の階の居住者に水漏れなどの迷惑がかかる可能性があり、大家は損害賠償を求められる場合もあります。そのため水道管が凍結しないよう、対策を怠らないことが重要になります。

2-3 雪によって建物が傷む可能性がある

寒さの影響は上記2つだけにはとどまりません。想定以上の雪が降った場合には、屋根に積もった雪の重さで建物の構造や屋根に影響を与える可能性があります。そのため、東京や大阪で不動産投資を始めるよりも、将来的な修繕費用が多くかかる可能性もあるので注意が必要です。

特に築年数が経過した物件を購入した場合は、元々構造が劣化していたり、新耐震基準に適合していない旧耐震基準の物件であったりする可能性もあり、耐久性に不安がある場合があります。その場合、最悪屋根の崩落や建物の崩壊といったリスクも生じます。冬の寒さが強いエリアで不動産投資を始める場合には、特に物件選びに慎重になる必要があるでしょう。

2-4 管理費が高くなる可能性がある

不動産投資では、入居者の募集や家賃徴収といった手間がかかるため、不動産会社にそういった管理業務を委託するのが一般的です。管理を委託する際は、不動産会社に管理委託費として賃料の約5%程度を不動産会社に支払います。

札幌の不動産会社には、冬の寒さが強いエリア特有の雪かきなどの業務が、管理業務の中に含まれているケースが多いという特徴があります。しかし、簡単な雪かき程度であることが多いため、本格的な雪かきを希望する場合には別途費用がかかる可能性があります。これにより追加費用で管理委託費が通常よりも高くなる可能性があるので注意が必要です。

3 まとめ

少子高齢化の影響によって日本の人口は徐々に減少しており、2050年には人口が1億人を下回ると言われています。そのため、不動産投資を始める際にどのエリアに投資するかの判断を誤ると、賃貸需要が無く不動産投資が失敗に終わってしまうことになりかねないので注意が必要です。

不動産投資では、人口の減少が少なく需要が安定的に期待できるエリアを選ぶことが重要です。札幌も需要が期待できる主要エリアのうちの1つですが、実際に住んでいない方には、札幌の中でもどのエリアに投資すべきか、またどのような点に注意すべきかといった情報はほとんど入ってきません。

そのため、札幌で不動産投資を始める際は、サイトなどで情報を調べるほか、セミナーなどにも参加して札幌の不動産事情に詳しい専門家のリアルな声を聞くことが必要です。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。