今日は現在仮想通貨取引所でトレーダーを行っており、取引所で日々仮想通貨のマーケットと対峙している立場から仮想通貨の選び方や注意点について記載したいと思います。
筆者は前職では3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。今回はこうした投資全般の経験も踏まえてご説明していきたいと思います。
仮想通貨を始めようと思われる方や気になっている方は多いのではないかと思います。仮想通貨と一括りに言っても通貨の種類は何千とも言われており、どの通貨に投資すべきなのかわからない方も多いと思います。今日は初心者の方でもどの通貨に投資すべきかイメージがつきやすいように解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。
目次
- 仮想通貨の値動きの幅をチェック
- 日本の仮想通貨取引所にある仮想通貨からスタート
- 何に使われているかを理解しよう
3-1.決済用通貨とは
3-2.送金用通貨とは
3-3.スマートコントラクト通貨とは - 価格の多寡で購入を決めないようにしよう
- まずは少額から、親しみやすいものを対象に、実際にトレードしてみましょう
仮想通貨の値動きの幅をチェック
まず最初に一番気をつけるべきことは「仮想通貨の値動きの幅(ボラティリティとも呼びます。)」です。
投資初心者の方が最初投資した時に一番気になるのは「評価損益」です。最初はどうしても投資した後どのくらい増えているのか、減っているのかがとても気になるものです。筆者自身、最初投資を始めた時はずっと携帯を見ていた記憶があり、これは値動きの癖や人間の損をしたくないという感情がどうしても働いてしまうことからこのようなことが発生します。
しかし常にチェックするというこの行動は一番よくありません。その理由は「自分自身の精神面に相当な負荷がかかっているため」です。言い換えると、自分自身に余裕がなくなっているためトレードも冷静な判断が下せない環境に自分を追いやっているとも言えるでしょう。そのため投資初心者が一番大事なことは「値動きを小さいものから選びトレードに慣れること」です。
値動きが小さいと言っても仮想通貨の中で値動きが小さいものを選ぶということであり、仮想通貨自体は相当値動きがあるものなので注意してください。資金に無理のない範囲で自分の財布の余裕資金で少額から始めるようにしましょう。心の余裕こそがトレードで勝つための一番必要なことなのです。
では、値動きの小さい(ボラティリティの小さい)仮想通貨はどれなのかをまとめてみたいと思います。
図:CoinMarketCap、2018年8月〜11月データより筆者作成
この表をご覧頂くとわかる通り、まずは値動きの小さいBTC(ビットコイン)を取引することがおすすめでしょう。
実はこの値動きの幅は、流動性(どれだけ取引が世界でされているのかという取引量)が厚い通貨ほど値幅が狭いという傾向があります。流動性とこの値幅が必ずしも一致するわけではないですが、取引量が多いほど売り買い両方の取引がされているため両方向ともに値は動きにくくになります。流動性が厚いというのは悪いことではなく、色々な市場参加者が世界でいるため流動性が増加していることからある程度信頼がある通貨とも言い換えることができるでしょう。
日本の仮想通貨取引所にある仮想通貨からスタート
次の選び方としては、日本の仮想通貨に口座を開いてそこにある仮想通貨を取引することから始めましょう。その理由としては、日本の仮想通貨取引所に上場(リスティングとも呼ばれています。)している通貨は日本の仮想通貨交換業協会(JVCEA)、そして金融庁が厳正なチェックを行った上で認められているものになるからです。金融庁の最優先事項は「利用者・消費者の保護」です。つまり、仮想通貨取引所のサイドとしては、詐欺まがいの通貨は上場して顧客に対して提供することができないのです。
現在、仮想通貨のマーケットは海外取引所を利用するユーザーが多く、その海外取引所が取り扱う通貨数には何百という種類があります。その中には全く仮想通貨やトークンとしての意味を成していないものを数多く存在します。そのため、初心者の方で資産運用として仮想通貨を行ってみたいという方であれば、海外取引所を利用するのはあまりおすすめできません。
もちろん、海外取引所にはメリットも数多く存在します。そのため、まず仮想通貨取引に慣れるまでは日本の仮想通貨取引所を利用し、理解が深まった段階で海外取引所を利用するという段階を踏むと良いでしょう。
何に使われているかを理解しよう
仮想通貨は様々な種類があるのは理解できたかも知れませんが、実際にそれぞれにどのような特徴があるのか理解できると中長期的に保有していいものかどうか判断がつくため、勉強しながら調べることをおすすめします。まずは、主要な仮想通貨どのような特徴があるのかを理解するために下記の図をご覧ください。
図:国内で取り扱いのある主要な仮想通貨別の特徴
仮想通貨と一括りにまとめていても、実はこのように種類が大きく分けることができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
決済用通貨とは
これは名前の通り、「決済を行うために誕生した通貨」です。
BTCが最初に決済用として成立したのは2010年5月、アメリカで10,000BTCとピザ2枚と交換したことが始まりです。今の金額レートで考えると、大雑把に1BTC100万円としても約100億円というとんでもなく高額なピザとなってしまいました。話は少し横道にそれましたが、決済用通貨はこのように日本円や米ドルを代替する目的持っていると言えるでしょう。
では現在、BTCをはじめとする仮想通貨がなぜ普及していないのかというと、最初にご説明したように値動きが大き過ぎるからです。翌日に価値が半分になったり2倍になったりするようなものを通貨としては利用しにくいのは想像しやすいと思います。そのため、様々な仮想通貨取引所において「ステーブルコイン」という、米ドルと等価で交換できるようなトークンを決済用通貨として発行する取引所も出てきています。
送金用通貨とは
次に、日本人が大好きと言われるXRPをはじめとする送金用の通貨についてご説明します。
送金用通貨の大きな目的は「国際送金等送金スピードを早く、低コストで実現すること」を目的に開発されています。決済用通貨はブリッジ通貨と呼ばれることもあり、ネットワーク上で国際送金をブロックチェーンを搭載しているネットワークに転送することからそのように呼ばれています。
つまりXRPはビットコインと全く違うものとも言えるのでが、仮想通貨の世界ではそれぞれを同じ仮想通貨として分類しているため、役割が違うことに気づきづらくなってしまっています。
スマートコントラクト通貨とは
最後にイーサリアム(ETH)が代表となるスマートコントラクトの通貨についてご説明します。
スマートコントラクトと、ブロックチェーン上で契約やお互いの決まりごとをあらかじめプログラミングで組み込んでおき、条件が成立したら自動的に実行する仕組みを意味しています。この代表格がイーサリアム(ETH)であり、その他上記の通貨が代表通貨として存在します。
このように仮想通貨と言ってもそれぞれ開発された経緯があり、目的があります。仮想通貨にはホワイトペーパーと呼ばれる通貨の概要書が用意されているため、こうしたドキュメントを読んで頂くとさらに理解が深まるでしょう。
中長期的に保有する通貨を選ぶときは、必ずその通貨が本質的に世界で必要とされるものなのか見定める能力が必要です。これはある意味、株式投資で会社の成長性を見極めることと同じようなものでしょう。
価格の多寡で購入を決めないようにしよう
このポイントを参考にするべき人は特に多いのではないでしょうか。具体的に見ていきましょう。
日本で流行している通貨は2種類あります。まずXRPと呼ばれる送金系の通貨です。BTCは現在100万を超えている水準ですが、XRPは1XRP=33円程度となっています。そして次に流行っているのがネムと呼ばれるスマートコントラクト系の通貨です。このネムというのはなんと1XEM=7円弱です。
1BTCが100万円する中、この2通貨は数円や数十円で購入できるので安く感じるでしょう。そのため、「たくさん買える=お得」という感覚からこの2通貨が日本では流行したとも言われています。しかし、実際にはこの2通貨は「安い」のではなく「単価が低い」というだけなのです。さらに言うと、BTCは1BTC以下から取引をすることが可能です。0.001BTC(1BTC100万円で換算すると1,000円)という無理のない金額から最も有名な仮想通貨を購入することも可能です。
仮想通貨の価格の多寡で購入通貨を決めるのではなく、まずは「通貨として何がいいのか?」という本質に着眼して投資をするようにしましょう。「安く見えて買いやすいから買う」という選び方は絶対にしてはいけない投資方法のひとつです。
まずは少額から、親しみやすいものを対象に、実際にトレードしてみましょう
最後に、まとめとして上記の3つの注意点をきちんと把握しながら、最後は自分が親しみやすい応援できるものを購入するということもおすすめです。仮想通貨の中でも値動きはそれぞれ全く違うため、値動きが大きいものと小さいもので分散して資産配分を考えて投資するとよいでしょう。
逆に、仮想通貨投資でおすすめできないのは全資産を1つの通貨につぎ込むことです。1通貨に全資産を投資すると、運が悪く価格が暴落しただけでも(仮想通貨ではよくあることです)すべての資産を失うことになりかねません。仮想通貨は他の投資商品と違い値動きが大きいため、資産を失うスピードも速くなってしまうのです。
仮想通貨の選び方は初心者の方にとっては難しいものかもしれません。しかし、慣れてくるとここにこの程度投資したりと考えながら行うこともできますし、値動きが大きい分、ポートフォリオの一部としても有用な投資商品です。値動きの大きさは「悪」とも誤解されやすいのですが、値動きが無さすぎても投資商品としては成り立ちません。もちろん、値動きが大き過ぎても良くはないのですが、資金をしっかりとコントロールしてリスクとリターンのバランス調整さえ取れば仮想通貨は非常に魅力的と言ってもいいでしょう。
まずは仮想通貨取引所にどのような通貨があるのか、値動きはどのくらいなのか、足元のチャートを見ながら勉強してみることがおすすめです。
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中島 翔
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