投資用のマンションを売却する際は、家賃が売却価格に影響してきます。そのため、少しでも高く売却したい場合は、家賃を下げないようにすることがとても重要な要素になってきます。しかし、一般的に築年数が経過するたびに少しずつ家賃は下落していきます。できるだけ家賃を下げないようにするためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この記事では投資用マンションの家賃を下げない5つのコツについてご紹介します。
目次
- 売却価格に家賃が影響する理由
1-1.投資用マンションの価格査定方法
1-2.簡易査定の際の計算方法
1-3.直接還元法の計算方法 - 訪問査定の際の確認点
2-1.駅からの距離
2-2.物件の周辺には生活に必要な施設があるか
2-3.物件の管理状況 - 家賃を下げない5つのコツ
3-1.入居率の高い管理会社に管理を委託する
3-2.募集の際にフリーレントを付けるなどして工夫をする
3-3.空室の際の家賃設定は慎重にする
3-4.家賃相場を把握して運用する
3-5.設備の見直しをする - まとめ
1.売却価格に家賃が影響する理由
投資用マンションの家賃はどのように売却価格に影響するのでしょうか。確認してみましょう。
1-1.投資用マンションの価格査定方法
投資用マンションを売却する際は、不動産会社に査定を依頼するところから始まります。不動産会社が査定し価格を決め、その価格で良ければ買主を募集します。
査定は簡易査定と訪問査定の2回に分けて行われます。簡易査定は机上で物件情報をもとに算出する方法です。その後物件を見て価格を算出する方法を訪問査定と言います。マンションを売却する際の査定にはこのように、2回の査定に基づいて価格設定が行われます。
1-2.簡易査定の際の計算方法
簡易査定で不動産の価格を算出する方法には、原価法、収益還元法、取引事例比較法の3種類があります。投資用マンションの価格を算出する際は主に収益還元法が使われます。
収益還元法には直接還元法とDCF法がありますが、ここでは、直接還元法に絞って見てみましょう。
1-3.直接還元法の計算方法
直接還元法の計算式は以下のようになります。
物件価格=(年間の家賃収入-年間の経費)÷還元利回り
例えば、年間の家賃収入が120万円、年間経費が30万円、還元利回りを6%とした場合、上記の式に当てはめると、以下のように価格を算出することができます。
(120万円-30万円)÷0.06=1,500万円
この場合の物件価格は1,500万円ということになります。では年間の家賃収入が96万円で経費が同じ30万円、還元利回りも同じ6%とした場合は、いくらになるかを見てみましょう。
(96万円-30万円)÷0.06=1,100万円
この場合の物件価格は1,100万円となりました。このように直接還元法では、家賃収入が低くなるほど物件価格も低くなります。ただし、物件価格の査定はこのような計算をもとにした簡易査定だけではなく、訪問査定もあります。訪問査定についても触れておきましょう。
2.訪問査定の際の確認点
訪問査定では主にどのようなことを確認するのでしょうか。訪問査定において重要なポイントについても見てみましょう。
2-1.駅からの距離
賃貸の部屋探しで重要視されるのが駅からの距離です。以下は賃貸住宅情報サイト「マイナビ賃貸」が発表した「大学生・社会人お部屋探し白書2019」の調査結果です。この調査は「直近1年以内に引っ越しを伴うお部屋探しを行った大学生(18歳~22歳)、社会人(27歳・28歳)」1,000人を対象に行われました。
*マイナビ賃貸調査「大学生・社会人お部屋探し白書2019」から引用
この図では「部屋を決める際の決め手になったこと」が確認できます。立地面では「学校から近かったから」という理由と「駅から近かったから」という理由が挙げられています。
このことから一つの傾向として、駅から近い方が賃貸ニーズは高いことが考えられます。賃貸ニーズがあればその分空室が少なくなり、安定して家賃収入が入ってくるため、駅からの距離は近い方が物件価格は高くなる傾向にあります。
2-2.物件の周辺には生活に必要な施設があるか
駅からの距離だけでなく、物件の周辺に生活に必要な施設があるかどうかも、査定結果に影響してきます。上記の資料では、学生が部屋を選ぶのに重要視した項目の1位は「学校から近かったから」という回答になっています。
周辺にスーパーやコンビニ、金融機関や学校などがあることで、そこで暮らしたいという人が多くなる傾向にありますので、周辺に生活に必要とされる施設などがあるかも賃貸ニーズを左右し、査定にも影響してくるものになります。
2-3.物件の管理状況
立地のほかに、修繕がしっかり行われているか、設備が老朽化していないか、部屋の中が汚れていないかといった、建物の管理状態についても査定価格に影響する要素になります。また、現入居者がいる場合は、家賃を滞納していないか、近隣住民とトラブルを起こしていないか等、入居面での管理状況も調査対象になります。
建物の状態が悪ければ、それだけ修繕やリフォーム費用がかかったり、賃貸ニーズが低くなったりすることが考えられますので、そのぶん査定価格は低くなります。また、現入居者に何か問題があれば購入側が敬遠してしまうため、価格を下げないと売れないだろうと判断されてしまう可能性も考えられます。
3.家賃を下げない5つのコツ
売却価格は家賃や立地などがもとになって決まることが確認できました。立地は購入後には変えることができませんが、家賃を維持することは工夫次第で可能です。家賃を下げないようにするためには、どのような点に注意すれば良いのかを見てみましょう。
3-1.入居率の高い管理会社に管理を委託する
家賃を下げる判断に至る要因として、入居率の悪さが考えられます。入居者が安定して付く状況が続いている間は家賃を下げる必要はありませんが、空室期間が長引いている場合には家賃を下げないとなかなか成約しないという状況にもなりかねません。
管理会社の中には、管理物件の入居率が99%以上ある会社もあります。そういった会社を選んで管理を委託することで、なるべく空室期間が長くならないような運用を行ってもらえ、高い入居率を維持できる可能性があります。
3-2.募集の際にフリーレントを付けるなどして工夫をする
入居率を下げない方法として、賃貸の募集内容などを工夫することも必要です。フリーレント(入居から〇ヶ月は家賃無料、といったもの)期間を設けたり、礼金をゼロ円にしたりといったように、入居者にメリットがある条件を提示することも、家賃を下げずに入居者を確保するコツの一つです。
募集の際は、どのようにしたら家賃を下げずに賃借人を付けることができるかを、常に検討して取り組むようにしましょう。なお上述のように、入居率実績の高い管理会社に管理業務を委託し、よく相談しながら募集を行うことも良い選択肢でしょう。
3-3.空室の際の家賃設定は慎重にする
空室になった際に、家賃を下げて次の入居者を募集することがありますが、安易に家賃を下げない努力も必要です。家賃は一度下げると上げるのが難しくなります。空室期間が続く場合も、家賃以外に空室になっている原因がないかなどをきちんと検討して、運用に取り組むようにしましょう。
3-4.家賃相場を把握して運用する
相場の家賃はインターネットで調べたり、不動産会社に聞いたりすれば分かりますので、近隣類似物件の家賃相場を定期的に把握して運用することが大切です。相場家賃を把握することで、現行の家賃が高いか安いかの判断ができるようになり、募集の際の家賃設定に役立ちます。
所有している物件の家賃が、近隣の類似物件と比較して低くないかといったことを常に意識するようにしましょう。家賃が低い水準にある場合は、設備を新しいものに交換したり、リノベーションをしたりして家賃設定をアップできないかを検討する必要があります。
3-5.設備の見直しをする
上でも触れましたが、設備が古くなっていたり、うまく作動しなかったりした場合、家賃を低く設定せざるを得ない可能性がありますので、定期的に設備の見直しをしましょう。入居者が物件を決める際に、他の物件との比較材料になる可能性もありますので、時には最新のものに入れ替えたり、新設したりすることも家賃を下げないためには必要な作業となります。
まとめ
投資用マンションの売却価格には立地や物件の状態、家賃などが影響します。今回は特に家賃に着目して解説しました。投資用不動産の売却の際には、家賃をもとに売却価格が算出されますので、運用の際は家賃が下がらないように工夫することが求められます。
家賃が下がらないようにするには、入居率を下げない工夫が大切です。そのためには、物件をきれいに維持したり、設備を新しいものにしたりといったような日常の管理がとても重要になってきます。日頃から細かいことに注意しながら、マンションの運用を心掛けるようにしましょう。
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西宮光夏
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