アパートがなかなか売却できない原因は?売れない時の5つの対策も

アパート経営における出口戦略の一つは売却ですが、アパートの状態によってはなかなか売れないこともあります。不動産売却は3カ月〜6カ月が目安で、それ以上時間がかかっていると何らかの原因があると推測できます。

そこで今回のコラムでは、アパートがなかなか売却できない原因に焦点を当てて解説していきます。また売れないときの対策や戦略についても紹介します。

目次

  1. アパートがなかなか売れない5つの原因
    1-1.入居率が低下している
    1-2.価格設定が適正ではない
    1-3.築年数が経っている
    1-4.売却活動がうまくいっていない
    1-5.周辺地域の生活環境が整っていない
  2. アパートがなかなか売れない時の5つの対策
    2-1.広告戦略を見直す
    2-2.販売価格を見直す
    2-3.修繕工事を行う
    2-4.売却活動を一時的に中断してみる
    2-5.不動産会社を変更する
  3. まとめ

1 アパートがなかなか売れない5つの原因

一戸建てや住居用マンションとは違って、中古アパートは買主候補が不動産投資家になります。つまり、事業性や将来性も検討材料になり、なかなか売却できないという事態になる可能性もあるのです。

このことを踏まえて、アパートが売れない原因について5つ紹介します。

1-1 入居率が低下している

中古アパートを購入する際、利益がいくら見込めるかが検討材料になり、特に入居率については重視されます。

入居率が低下しているアパートでは、期待する家賃収入が得られなかったり、将来的な賃貸ニーズを確保するのが難しいと見なされてしまう可能性があります、アパートを売却する際はできるだけ入居率を高めておきましょう。入居率が高い方が多くからの問い合わせが期待でき、価格交渉でも優位に立つことができます。

ただし、家賃設定を下げるかどうかについては慎重に検討することが大切です。表面利回りが低くなり売買価格に悪影響が出てしまうため、まずは家賃を下げずに入居率を高めることが可能かどうか検証してみると良いでしょう。代表的なのは下記のような方法です。

  • 敷金や礼金を免除する
  • フリーレント期間を設ける
  • 室内のリフォームを行う
  • 入居祝金を進呈する
  • 家電をプレゼントする
  • 管理会社を変更する、など

1-2 価格設定が適正ではない

売主としてはできるだけ高値で売却したいため、相場価格よりもやや高めに販売価格を設定して売り出しをかけている方も多いでしょう。一方、不動産投資家の方はできるだけ収益性が高く、担保評価が高い物件を探しているため、販売価格が高いと反響が少ないこともあるのです。

特に注意しておきたいポイントとして、金融機関の担保評価があります。金融機関の融資を活用して購入検討する方が多いため、販売価格が高く担保評価と差がありすぎると融資利用のハードルが上がり、購入できる方の層が限定的になることがあります。

なお、高めの価格設定で売却活動をスタートするのは、価格交渉が起きやすい不動産売却では重要な戦略です。反響がなくても焦らずに状況を判断し、不動産会社からアドバイスを受けながら価格の見直しを検討しましょう。

1-3 築年数が経っている

アパートの購入で融資を利用する際の返済期間は、15~20年程度が目安になります。つまり、築20年以上の中古アパートでは、ローンの返済が終わる頃には築年数が40年以上になってしまいます。こうした築古アパートは価格が低く抑えられるなどのメリットがありますが、老朽化が進むことで下記のようなデメリットもあります。

  • 入居者の確保が難しくなる
  • 設備の交換が必要になる
  • 家賃収入が減少する
  • 入居者の属性が下がる
  • 建物の構造に不具合があると大規模修繕工事が必要になる
  • 売却しにくくなる、など

ローンの完済時期を計算に入れると、築年数が経っている物件はややハイリスクな投資対象と言えます。また、木造アパートの法定耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって22年と決まっており、法定耐用年数内でしか融資を行わない金融機関も多いことから、築年数が経っているアパートは金融機関の融資審査に通らない可能性もあります。

価格を下げる、リフォームを行う、不動産会社に買い取ってもらう、土地として売却する、などの方法も視野に入れて検討してみると良いでしょう。

1-4 売却活動がうまくいっていない

住宅の場合、例えば2LDKの築浅中古マンションや郊外型の一軒家であれば、若い夫婦に絞って訴求するといったことができます。

一方、アパートなどの賃貸用物件を売却する際、買主候補を絞り込みづらいという特徴があります。賃貸用物件は買主候補がどこで情報を待っているのか判断がつきづらく、ポスティングなど直接的な訴求はしにくいものです。

アパートの売却活動としては不動産ポータルサイトへの掲載が考えられますが、うまく投資家向けにアピールされていない可能性もあります。載せる写真を変更したり、前面に押し出す強みを変えるなど広告戦略を見直してみるのも良いでしょう。

反響の改善が見込めないようであれば、閲覧数の多い自社サイトを展開していたり、購入意欲のある投資家のリストを多く持っている専門の不動産会社などに仲介業者を変更することも検討しましょう。

1-5 周辺地域の生活環境が整っていない

最寄り駅やスーパーマーケット、学校などの生活利便施設からの距離が近いと、入居者は確保しやすくなります。反対に、最寄り駅から遠い、生活利便施設が揃っていないなどの条件であれば、入居率の低下につながり、買い手がつきにくくなることがあります。

このように立地や周辺環境で強みが出せない物件の場合、下記のようなアパート独自の強みを活かす対策をすることもできます。

  • ペット可にする
  • シニア世帯入居可にする
  • 駐車場を完備する
  • 太陽光発電を導入する
  • 外国人入居可にする
  • シェアハウスにする
  • 短期間の入居を可にする、など

売却がなかなか進まない場合は、こうした強みを前面に押し出して売却活動をするほか、販売価格を下げたり、更地にしてから売却するなど、売却活動の見直しを検討することになります。

2 アパートがなかなか売れない時の5つの対策

アパートがなかなか売れない場合、どのような状態で売れないのかによって対策の仕方が異なるものです。そこでこの項目では、アパートが売れないときにできる5つの対策について解説していきます。

2-1 広告戦略を見直す

不動産ポータルサイトなどでの反響が少ない場合、考えられるのが物件の魅力が伝わっていないことです。物件情報がどのように表示されるのかを確認して、物件の強みとなることを前面に押し出すように、不動産会社とともに広告戦略の見直しを検討しましょう。

例えば、築年数が経っている物件であれば、修繕実績や設備の交換履歴などを表記して、築年数では分からない情報を積極的に伝えると良いでしょう。最寄り駅からの距離がある場合には、「静かな環境に囲まれている」「インターチェンジからすぐ近く」といったように、プラス要素を付け加えることも検討してください。

掲載する物件の写真を撮り直したり、変更することで反響が多くなるケースもあります。

2-2 販売価格を見直す

市場での反響が少ない場合は、販売価格が高いことも推測されます。この場合、相場価格を改めて確認し、利回りを見ながら販売価格の見直しも検討しましょう。

不動産ポータルサイトで、所有しているアパートと「築年数」「敷地面積」「最寄り駅」などが同じような物件の情報を検索することで、相場価格をある程度把握することができます。競合になりそうな物件と比較して、販売価格が適正か判断していくと良いでしょう。

新しく価格をつける際のコツは、検索の価格帯を変更することです。買主候補が不動産ポータルサイトで物件の検索をする場合、自身の予算に合わせて価格帯を設定することがあります。

例えば、「3,000万円〜4,999万円」の価格帯で検索していた方には、販売価格が5,000万円の物件情報は表示されません。しかし販売価格を4,980万円にすると、物件情報は表示されるようになります。

このように価格帯を見ながら新価格を設定することで、より多くの人に物件情報を見てもらうことに繋がります。

2-3 修繕工事を行う

築年数が経っていたり、物件の状態が悪い場合は、外壁の修繕などをしてみる方法もあります。状態が良くない部分が改善されることで見た目の印象も良くなり、修繕履歴が更新されることで金融機関の評価も付きやすくなることが期待できます。

またインスペクション(建物調査)をしておくと、さらに信頼感は増します。費用はかかりますが、その分を販売価格に反映できる可能性もあります。

2-4 売却活動を一時的に中断してみる

不動産ポータルサイトでは数多くの物件情報が表示されるため、掲載期間が長くなると売れ残り感が出てしまい、余計に反響が出にくくなることがあります。物件探しをネットで行っていると、何度も同じ物件情報を目にするため、新鮮味が薄れてしまうからです。

販売期間が長くなり、反響が少ない場合は一度売却活動をやめて、数カ月後に改めて売り出しをかけるのも一つの方法です。不動産ポータルサイトでは「新着物件」として扱われるため、新たな買主候補が気に留めてくれる可能性があります。

2-5 不動産会社を変更する

不動産会社の売却活動がうまくいっていない場合は、不動産会社を変更することも検討してみましょう。不動産会社によって得意な物件タイプにも違いがあり、実際に売却活動が始まると想定通りに売却活動が進んでいかないこともあります。

不動産会社を変更する際は、まずは媒介契約の内容を確認しましょう。複数の会社へ依頼ができる一般媒介契約であれば変更する必要はありませんが、専任・専属専任媒介契約の場合には、途中解約ができるか、残りの契約期間はいつまでか確認する必要があります。

【関連記事】不動産売却の途中で媒介契約を解約する方法は?手順や注意点を解説

複数の不動産会社に改めて査定をし直してもらう際は、不動産一括査定サイトが便利です。一度入力するだけで、複数の不動産会社に査定をしてもらうことができます。下記の表は、不動産一括査定サイトをまとめたものです。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
すまいValue 不動産仲介大手6社による共同運営 査定は業界をリードする6社のみ。全国900店舗。利用者の96.3%が「安心感がある」と回答
SUUMO(スーモ)不動産売却 株式会社リクルート 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。
リガイド(RE-Guide) 株式会社ウェイブダッシュ 16年目の老舗サイト。登録会社数800社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス 株式会社LIFULL 全国3694社以上の不動産会社に依頼できる。匿名での依頼も可能
HOME4U 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国1800社から6社まで依頼可能。独自審査で悪徳会社を排除

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

まとめ

不動産売却の中でも、アパートの売却は買主が投資家に限られてしまうため、時間がかかってしまうことがあります。なかなか売れない場合でも、焦らずに原因を分析し、対策を立てて仕切り直しをするようにしましょう。

今回のコラムでは、アパートがなかなか売れない5つの原因を取り上げました。それぞれの原因と対策を知り、不動産売却の仲介会社とも相談しながら、売却戦略を練り直してみましょう。

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倉岡 明広

倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。