不動産売却の途中で媒介契約を解約する方法は?手順や注意点を解説

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不動産の売却活動中に、不測の事態や予期せぬ出来事が起こり「媒介契約を解除したい」という方もいらっしゃるでしょう。

媒介契約を解除することは可能ですが、売却活動でかかった費用や違約金を請求される可能性があります。媒介契約を解除する際は、契約の種類を確認したうえで、慎重に検討することが大切です。

本記事では、不動産の媒介契約について、媒介契約を解除する手順や違約金、解除する際の注意点を解説していきます。

目次

  1. 不動産の媒介契約とは
    1-1.媒介契約は解除できる?
  2. 不動産売却の途中で媒介契約を解約する手順
    2-1.不動産会社に契約解除を告げる
    2-2.契約解除通知書を作成
    2-3.書面で契約を解除する
  3. 売却の途中で媒介契約を解除する際の違約金について
  4. 売却活動の途中で媒介契約を解除する際の注意点
  5. まとめ

1.不動産の媒介契約とは

不動産売却での売主と不動産会社における媒介契約は、購入希望者を探す、契約条件に関する調整を行うなど、売却活動内容について定めるものです。

不動産の媒介契約には3種類があり、主に以下のような違いがあります。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

3つの媒介契約にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

一般媒介契約は期間の定めや報告義務が無く最も自由度が高い契約となります。専任媒介契約は契約期間が3ヶ月、指定流通機構(レインズ)への登録義務などの規定がありますが、自身が発見した購入希望者と直接契約を行うことが可能です。

専属専任媒介契約は最も制約の多い契約内容で、専任媒介契約と大きく異なる点は自身が見つけた購入希望者と契約を交わす際に不動産会社を通さなければいけない点です。

専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合は物件を指定流通機構(レインズ)に登録、広告を出すことで情報を拡散します。

購入希望者が見つかった所で条件を調整、売買契約を締結し、売買契約書を交付します。決済・引き渡しは売主が立ち会いますが、不動産会社は事務補助を行います。

なお、契約前には物件の売却価格査定が行われますが、不動産会社の多くはサービスの一環として無料で行っています。

1-1.媒介契約は解除できる?

一般媒介契約は法律により契約期間が定められていないため、いつでも解除する事が可能です。専任媒介契約や専属専任媒介契約は3ヶ月という期間の定めがありますので、3ヶ月を経過した時に契約を更新しない旨を伝えることで契約が解除できます。

3ヶ月の期間内で契約を解除したい場合でも、契約解除の意思を告げる事によって可能となります。民法第540条において「契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。」と定められています。

ただし場合によっては、解除の際にこれまでの売却活動で使った費用といった違約金を請求される可能性があります。

不動産会社が契約を守らなかった時や契約したことを行わなかった場合に指摘しても改善されなかった時、売却活動において重要な報告を故意や過失によって行わなかった又は嘘をついた時、不正行為を行った際にも解除を行う事ができます。

ただし不履行である事項が「社会通念上軽微であるとき」には例外となっていますので、ケースバイケースでの判断が必要となります。

2.不動産売却の途中で媒介契約を解約する手順

不動産売却の途中で媒介契約を解約する手順は以下の通りとなります。

  • 不動産会社に契約解除を告げる
  • 解約通知書を作成
  • 書面で契約を解除する

2-1.不動産会社に契約解除を告げる

電話又は対面で、不動産会社に口頭で契約解除の意思を告げます。会社によっては契約解除に関する規定や手順を告げられる事がありますので、流れに沿った対応を行いましょう。

2-2.契約解除通知書を作成

媒介契約の解除は金銭に関わる契約ですので念のために書面で通知しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

契約解除を申し出たい場合には、契約解除通知書を作成します。不動産会社が作成した書類・フォーマットがある場合には、用意された書類に押印や署名を行いましょう。

契約解除通知書に定められたフォーマットはありませんが、書類を作成した年月日や不動産会社の住所と企業名、自身の住所・氏名、物件名などを記載しておきましょう。

不動産会社に契約違反があった場合には、冒頭の文章を「○年○月○日付で契約締結した媒介契約については貴社が○○業務を履行されなかったことから下記の通り契約を解除します。」と守られなかった契約の内容と不履行があった旨を書き加えます。

2-3.書面で契約を解除する

不動産会社に通知書を手渡し又は郵送します。郵送の場合は万が一の配達事故に備えて、レターパックなどの配達の履歴が分かる方法で送付しましょう。

3.売却の途中で媒介契約を解除する際の違約金について

不動産会社との媒介契約を解除する時、不動産会社に問題がある場合には基本的に違約金は発生しません。ただし、売主の都合で解除する場合、これまでの売却活動でかかった費用を請求される可能性があります。

例えば物件の広告費用や売主や不動産業者との連絡に使用した通信費、物件見学の際にかかった交通費などが該当します。

国税庁に寄せられた専任媒介契約の解除に関する質問においては、専任媒介契約の締結中に自己発見取引を行った売主に対して「媒介者が媒介契約履行のために要した実費相当額の費用償還金又は違約金を支払わなければならない」旨が明記されています。

違約金の上限は仲介手数料となりますので、売却価格に応じて以下のようになります。

  • 売却価格が200万円以下:売却価格×5.5%
  • 売却価格が200万円超400万円未満:売却価格×4.4%
  • 売却価格が400万円以上:売却価格×3.3%

4.売却活動の途中で媒介契約を解除する際の注意点

不動産会社に契約違反がある際には売主から媒介契約の解除ができますが、売却活動中に売主に「義務違反」があった場合には不動産会社側から契約を解除されるケースがあります。

義務違反とは売主が媒介契約に関する決まりを守らなかったケースで、不動産会社は仲介手数料相当額を上限とする費用を売主に請求することができます。

契約の種類 主な違反内容
一般媒介契約 他にどの不動産会社と契約しているかを通知する「明示型」でありながら通知しなかった
売買契約を締結した後に報告を行わなかった
専任媒介契約 契約の期間中に他の不動産会社に重ねて仲介を依頼した
自分で見つけてきた買主と契約することを報告しなかった
専属専任媒介契約 契約の期間中に他の不動産会社に重ねて仲介を依頼した
自分で見つけてきた買主と直接契約を行った
全ての媒介契約に共通する事項 媒介契約の終了後2年の間で、契約の期間内に不動産会社から紹介を受けた購入希望者と、不動産会社を通さずに売買契約を締結する

まとめ

不動産の媒介契約は解除する事が可能ですが、売却活動にかかった費用や違約金を請求される可能性があることをおさえておきましょう。違約金の上限は仲介手数料と同額となります。

不動産会社と契約を解除する際には、この記事を参考に契約解除の流れや契約解除通知書の作成方法を把握しスムーズに手続きを行いましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。