イギリスポンドの見通しは?FXで利益を出すためのポイントや注意点を解説

※ このページには広告・PRが含まれています

2022年10月現在、イギリス経済はインフレが進行する中、新政権が打ち出した政策が混乱を巻き起こしています。ポンドも急落から急騰と上下に激しい展開が続いています。

そこで今回は、プロトレーダーである筆者が、ポンドは今後どのような値動きとなるのかを、シナリオ別に解説します。また、ポンドをトレードする際の注意点も紹介します。参考にしてみてください。

※本記事は10月9日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ポンド安が急速に進行している理由は?
  2. シナリオ別に分けたポンドの行方
    2-1.トラス新政権が現在発表している政策を修正しない場合
    2-2.トラス新政権の経済政策が大幅修正となった場合
  3. ポンドをトレードする際の注意点2つ
    3-1.ポンドは値動きが大きい
    3-2.イベント時はテクニカル分析が効かなくなる場合も
  4. まとめ

1.ポンド安が急速に進行している理由は?

2022年10月現在、イギリスはポンド安が急速に進行しています。新しく誕生したトラス首相が発表した、大型減税策を中心とした成長プランが背景にあります。

イギリスは高インフレに見舞われています。しかし、大型減税策を中心とした成長プランは、進行中の高インフレを抑制させるための政策とは逆行する内容でした。世界から不信感が募り、株安、ポンド安、金利急騰の動きとなっています。

減税は5年間で約7兆円という金額に及ぶと想定されています。過去50年で最大規模の減税策となっています。法人税の引き上げ中止、国民保険料の再値下げ、所得税の最高税率の引き下げ等様々な部分で減税を行う予定になっています。

また家庭において光熱費の負担が大きくなっていため、上限を年間2,500ポンドまでとします。

これらの政策は景気刺激策です。消費者の消費を喚起させる効果をもたらすため、現在続いているインフレ抑制には繋がらず、むしろインフレを加速させます。

また国債発行で減税の財源を調達するとしており、国債の金利が急騰しています。

イギリス中央銀行は市場を安定させるために緊急措置として国債買い入れを発表しました。一旦はポンド安が止まったものの、多くの市場関係者は一時的な効果しかないと見ています。

2.シナリオ別に分けたポンドの行方

ポンドのトレードを進める上で、想定しておきたいシナリオは大きく2つに分けられます。

2-1.トラス新政権が現在発表している政策を修正しない場合

トラス新政権の経済対策が断行されるとなった場合は、現在イギリス中央銀行が行っている国債買い入れによる市場安定化の効果は剥落するでしょう。長期的にはイギリスの代表的な株価指数であるFTSEが下落し、ポンドは下落する動きになると考えられます。

FXでは通常、金利が上がれば通貨も上がります。しかし、今回の場合は、イギリス国債の金利は上昇するものの、ポンドは金利を無視して下落するという動きになる可能性があります。

過去のポンドの動きを振り返ってみましょう。1992年に、為替市場でジョージソロス率いるヘッジファンドが行ったポンドの売り浴びせにより、中央銀行が介入してポンドを買い支えするも、下落は止まりませんでした。

ポンドの急落時には、過去の値動きに似た動きとなる可能性があります。投機的なフローが入る可能性もあるでしょう。

現在トラス首相も財政計画は変更しない姿勢を示しています。すると、再度ポンドが売られる可能性があります。

ポイントは、イギリス中央銀行の介入によって一時的な安心感と短期的なショートカバーから現在の水準に戻している点です。現在の水準には、持続性がないと判断ができます。

2-2.トラス新政権の経済政策が大幅修正となった場合

トラス新政権が経済対策の修正を余儀なくされた場合は、ポンド売りは止まる動きとなる可能性があります。

現段階では経済対策は修正しないとトラス首相はコメントしています。しかし、既に大きく支持率が低下しており、辞任すべきとの声も大きくなってきています。S&Pも、イギリスの格付け見通しを「ネガティブ」に変更しています。

このまま新しい政策を、世論を無視して断行するのかに着目が集まっています。政策変更の可能性も考慮してトレードしましょう。

ポンド売りで攻める場合でも、ネガティブな材料が変更されるニュースが出た場合は、目線を変えてみてください。

3.ポンドをトレードする際の注意点2つ

3-1.ポンドは値動きが大きい

ポンドは「殺人通貨」ともいわれるほど値動きの幅が大きく、すぐに大きな損失を被る可能性もあります。

現在は通常よりもさらに値動きが大きくなっています。値動きは利益の源泉になります。一方で、使い方を間違えてしまっては、ただの博打になります。

トレードでは、リスクコントロールが大事です。エントリーの細分化は、リスクコントロールのための手段の一つです。プロトレーダーである筆者も、値動きが激しくなればなるほど、細かくエントリーを分散してトレードをしています。

値動きが激しい場合は、プライスの底や天井をピンポイントで当てることは、困難です。まずは最小lotからエントリーしてみてください。損切りラインを事前に定めておき、ポジション量は相場のトレンドに合わせて変化させましょう。

3-2.イベント時はテクニカル分析が効かなくなる場合も

普段の相場であれば、テクニカル分析で、買われ過ぎ・売られ過ぎの水準を判断できます。しかしイベント時には、テクニカルがほとんど効かなくなる場合があるため、注意してください。なぜ今相場が動いているのか、背景や材料を理解した上で、テクニカル分析に頼り過ぎないトレードを心掛けましょう。

イギリス情勢は、マーケットが短期的に一喜一憂する可能性があります。急変した場合の対応は、エントリー前に整理しておきましょう。

4.まとめ

今回は、2022年10月現在のイギリス情勢と、シナリオ別に分けた今後のポンドの見通しについて解説しました。ポンドの取引に興味を持った方は、解説したシナリオを今後のFXトレードの参考にしてみてください。

ポンドは、値動きの激しい相場が予想されます。随時ニュースをチェックし、急変時に早く対応できれば、損失を抑えることができます。相場が想定と逆の値動きをした場合の対応も考えておきましょう。

The following two tabs change content below.

中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12