不動産がなかなか売れない。そんな時に考えるべき6つの原因と対策

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不動産の売却がなかなか進まない場合、固定資産税や修繕費などの経費が引き続きかかってくるため、少しでも早く売却したいと考えている方も多いと思います。しかし、いくら早く売りたいと思っても、不動産は金額が大きいので簡単に買い手が見つかるものではありません。

何らかの原因で不動産がなかなか売れない場合は、原因を追究して対策を練ることが重要です。そこで今回は、不動産がなかなか売れない場合に考えられる原因と対策について解説します。

目次

  1. 不動産売却の期間は2~3ヵ月必要
  2. 不動産がなかなか売れない6つの原因
    2-1.売り出し価格に問題がある
    2-2.立地条件に問題がある
    2-3.物件に問題がある
    2-4.不動産会社に問題がある
    2-5.売主側に問題がある
    2-6.売却時期に問題がある
  3. 不動産がなかなか売れない場合の4つの対策
    3-1.売り出し価格を見直す
    3-2.不動産会社を変更する
    3-3.買主側に歩み寄る
    3-4.売却時期を見直す
  4. まとめ

1 不動産売却の期間は2~3ヵ月必要

不動産を売りに出してから1ヵ月程度で購入希望者が見つかるだろうと思っている方もいるのではないでしょうか?しかし、現実にはもっと長い期間が必要となることがほとんどです。

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した「首都圏不動産流通市場の動向(2018年)」によると、レインズに登録してから(売り出しを開始してから)成約に至るまでの平均日数は以下のような結果になっています。

  • 中古マンション:78.8日
  • 中古戸建住宅:95.3日

売却までの平均日数は中古マンションで2~3ヵ月、中古戸建住宅で3~4ヵ月となっていますが、必ずこの期間内に売れるとは限りません。半年、1年以上経っても売れないというケースもあるので、なかなか売れない場合には原因を追究して対策を練る必要があります。

2 不動産がなかなか売れない6つの原因

不動産を売りに出しているにもかかわらず、なかなか売れない場合は何かしらの原因が潜んでいることが考えられます。不動産がなかなか売れない原因には、以下の6つが挙げられます。

  1. 売り出し価格に問題がある
  2. 立地条件に問題がある
  3. 物件に問題がある
  4. 不動産会社に問題がある
  5. 売主側に問題がある
  6. 売却時期に問題がある

それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

2-1 売り出し価格に問題がある

不動産を売却する場合、自分では適切な売り出し価格がいくらかを把握するのは難しいため、一般的には不動産会社に価格査定を依頼します。少しでも高く売却するため、複数の不動産会社に査定を依頼して、最も納得のいく査定結果を出してくれた不動産会社に売却を依頼するのが一般的です。

しかし、査定結果はあくまで売り出し価格を決める1つの基準であって、必ず売れると保証されている価格ではありません。売主本位で売り出し価格を設定すると、似たような条件の物件でより安いものがあればそちらに購入希望者が集まってしまうため、自分の物件は売れにくくなります。

2-2 立地条件に問題がある

駅から遠い、周辺にコンビニやスーパーなどの施設が揃っていない、駅から近くても主要な駅からは遠いなど、立地条件が悪い場合も不動産はなかなか売れなくなります。マンションと戸建て住宅の成約の平均日数を比べた場合に、マンションの平均日数の方が短くなるのは、マンションの立地条件の方が良いケースが多いためと言えます。

立地条件は購入してから変更できるものではありません。そのため、物件を購入する際は、売却時のことも視野に入れながら物件を選んだ方が良いと言えるでしょう。すでに物件を売りに出している場合は、立地以外のところで物件の魅力を高める必要があります。

2-3 物件に問題がある

建て替えることができない条件付きの物件(再建築不可物件)や、築年数が経過していて旧耐震基準が適用されているような物件は、購入した後のリスクが高くなることから、なかなか購入希望者が見つかりにくいと言えます。

こちらも立地条件に問題がある場合と同様、改善することはなかなか困難です。そのため、物件を購入する際は、そのような条件が付いていない、新耐震基準が適用されている物件を選んだ方が良いと言えるでしょう。

なお、部屋の内装やレイアウトが問題の場合は、売り主に向けて部屋をコーディネートする「ホームステージング」や、部屋の間取りなどを刷新する「リノベーション」などの対策を打つことができます。

2-4 不動産会社に問題がある

物件や売り出し価格に問題がない場合は、売却を依頼している不動産会社に問題があるというケースも。例えば、依頼した不動産会社の営業力が他の不動産会社と比べて低い、囲い込みをしていて購入希望者が現れても勝手に断るなどです。

囲い込みとは、広く購入希望者を募集するのではなく、売主と買主の両方を仲介することで仲介手数料を多く得る販売方法です。他の不動産会社経由で購入希望者が現れても断ってしまうため、不動産がなかなか売れなくなってしまいます。

2-5 売主側に問題がある

なかなか売れない原因は売主側にあるケースも見られます。例えば、購入希望者が内覧に来た場合に、家の中が片付いていない、汚れているなど買主側への配慮が行き届いていないと、いくら良い物件でも印象が悪くなってしまいます。

売主として最低限したほうが良いことを放置しながら、「不動産会社に任せていれば大丈夫」という姿勢で売却に臨んでいては、魅力的な物件でもなかなか売れなくなる可能性が上がるので注意が必要です。

2-6 売却時期に問題がある

不動産は1年中活発に取引されているものではありません。子供の独立や結婚などによる不動産の住み替えや買い替えはどの時期でも発生しますが、まとまった大きな需要が期待できる時期は限られています。

新年度が始まった4月や5月には、新年度に向けた引っ越し需要が落ち着いているため、その時期に売りに出してもなかなか売れないでしょう。

3 不動産がなかなか売れない場合の4つの対策

不動産がなかなか売れない原因には6つありましたが、立地条件や物件そのものに原因が潜んでいるケースでは、購入後に対策を練ることは困難です。そのため、売却を少しでも円滑に進めるには、売却を視野に入れた物件選びも重要と言えます。

それ以外のなかなか売れない場合の対策としては、以下の4つが挙げられます。

  1. 売り出し価格を見直す
  2. 不動産会社を変更する
  3. 買主側に歩み寄る
  4. 売却時期を見直す

それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。

3-1 売り出し価格を見直す

1つ目は売り出し価格を見直すことです。不動産会社の査定結果には、周辺の相場や過去の取引結果が反映されているので、その価格を売り出し価格に設定してもほぼ間違いにはなりません。しかし、なかなか売れないということは、買主側は物件の売り出し価格を割高と判断していると言えます。

売り出し価格を見直して引き下げると、すぐに購入希望者が現れるケースもあります。しかし、一度売り出し価格を下げると基本的に元の価格には戻せないため、売り出し価格を見直す際には不動産会社の意見も取り入れながら慎重に判断をしていきましょう。

3-2 不動産会社を変更する

不動産が売れない原因が不動産会社の営業力の低さや囲い込みが原因と考えられる場合には、不動産会社を変更することですぐに購入希望者が現れるケースもあります。

「不動産会社を変更すると費用が増えるのでは?」と不安に感じる方もいると思います。しかし、基本的には不動産会社に特別な依頼をしていない場合は、売買契約が成立してから仲介手数料が発生するのみのため、売主には費用がかかりません。一定の期限を決めて、それでも売買契約に至らなかった場合には、不動産会社を変更することも選択肢の1つと言えるでしょう。

3-3 買主側に歩み寄る

買主側にとって不動産は大きな買い物であるため、気持ちよく購入に進めるような環境を整えることも重要です。例えば、内覧前にクリーニング業者を手配して部屋をきれいにする、キッチンやトイレなどに修繕が必要な場所があれば、売買契約までに買主負担で修繕するなどです。

売主側の費用負担は大きくなりますが、売り出し価格の値下げや売れるまでに時間がかかって固定資産税や管理費などの負担が増えることを考えると、修繕や清掃費を負担する価値は高いと言えます。ただし、修繕内容に意味がなければ無駄な支出になってしまいかねないため、修繕を行う際は不動産会社に事前に相談することをおすすめします。

3-4 売却時期を見直す

転勤が不動産を売却する理由の場合などでは売却時期を見直すことが困難かもしれませんが、時期の調整が可能なケースでは売却時期を見直すことも選択肢の1つです。不動産売買が活発に行われるのは、新年度を迎える4月に向けた2~3月、転勤による需要が期待できる9月に向けた7~8月です。

長く募集を続けていると、「物件に何か原因があって売れないのでは?」と買い手に疑問を抱かれる可能性もあります。適切な時期に売却を進めていくことも不動産売却では重要と言えるでしょう。

4 まとめ

不動産を売り出してから成約までに至るには、中古マンションで約2~3ヵ月、中古戸建住宅では約3~4ヵ月程度の時間を要します。

しかし、これはあくまでも平均であるため、売却がうまく進まなければ平均日数よりさらに時間を要することになります。もし、なかなか不動産が売れずに困っている場合には、どういった原因が潜んでいるかを追究することが重要です。

なかなか売れないからと放置していても、状況は変わりません。売り出し価格を見直す・不動産会社を変更するなど、なかなか売れない原因に対して何かしらの対策を練ることが重要と言えるでしょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。