マンション投資は長期間にわたる投資になりますので、初めてマンション投資をする方にとっては不安も大きいかと思います。マンション投資は当初のシミュレーション通りに運用できれば、他の投資と比較して安定した投資になります。しかし、シミュレーション通りに運用できないということもあります。
その場合でもポイントを押さえて取り組んでいれば、リスクヘッジできたり、すぐに通常通りの運用に戻したりできる可能性は高くなります。ではどのような点を押さえて取り組めば良いのでしょうか。この記事では初めてマンション投資をする方が、押さえておくと役に立つポイントを8つご紹介します。
目次
- 新築と中古では運用の仕方が違う
1-1.新築マンションは価格帯が高い
1-2.新築マンションは融資条件が良くなる可能性がある
1-3.中古マンションは利回りが良い
1-4.中古でも融資条件が良い物件がある - 不動産会社を探す際に注目しておきたい点
2-1.立地にこだわる会社
2-2.入居率が高い会社
2-3.金融機関の提携数が多い会社 - 利回りに騙されないようにする
3-1.表面利回りと実質利回り
3-2.管理費以外の経費に注意する - 物件を探す際のポイント
4-1.立地は慎重に検討する
4-2.都心部から離れている場合は路線に注意 - 頭金の額には注意
- 毎月の収支は必ずプラスにする
6-1.借り換えをして収支を改善する
6-2.繰上返済をして収支を改善する - 空室リスクは資金的なマイナスが大きい
7-1.退去後の空室と空室リスクの違い
7-2.空室が長期化した場合の損害額の大きさ - 出口戦略は早めに立てる
- まとめ
1.新築と中古では運用の仕方が違う
一括りに区分マンション投資といっても中古マンションと新築マンションでは運用の仕方が異なります。どのような点で異なるのか比較してみましょう。
1-1.新築マンションは価格帯が高い
新築マンションは中古と比較すると価格帯が高くなります。新築マンションは経年劣化していないこと、価格に販売会社の利益が上乗せされていることなどに理由があります。
物件価格が高いとそのぶんローンの返済額が多くなりますので、価格帯が低い中古マンションと比較するとキャッシュフローが悪くなるのが一般的です。そのため、新築マンションを運用する場合は、収支には注意して取り組むことが大切です。
1-2.新築マンションは融資条件が良くなる可能性がある
新築マンションは最新の設備を使っていたり、昔のマンションと比較すると今のニーズに合わせて部屋が広かったりするために、多少家賃が高くても賃借人が付き易いという特徴があります。
この点から新築マンションは、しばらくは安定した収益が見込みやすいため、金融機関からの担保評価が高くなります。担保評価が高いと、金利の低いローンが組めたり、フルローンが組めたりするなど、融資条件が良くなる傾向があります。
新築の場合、仲介手数料がかからないことが多い上に、フルローンが組める場合は頭金もかかりませんので、中古と比較して売買代金以外の初期費用を抑えることができる可能性が高くなります。
1-3.中古マンションは利回りが良い
中古マンションは新築マンションと比較して利回りが良い傾向があります。区分マンションには、家賃下落率より物件価格の下落率の方が大きい傾向があるからです。そのため購入時の段階では中古を購入した方が、新築を購入するより利回りが良い可能性が高くなります。
1-4.中古でも融資条件が良い物件がある
新築マンションは融資条件が良くなる傾向があることに触れましたが、中古でも融資条件が良い物件もあります。中古物件であっても金利1%台で組めたり、長期ローンが組めたりするなど、物件の品質が担保されているとそれだけ金融機関の評価が高くなり、融資条件も良くなります。
その場合、新築マンションと同じように初期費用を抑えられる可能性もあります。また中古マンションを販売している不動産会社や、金融機関によっても融資条件は異なりますので、物件を購入する際は不動産会社のあっせんしたローンの実績や、提携している金融機関なども確認して取り組むようにしましょう。
2.不動産会社を探す際に注目しておきたい点
投資用不動産事業を行っている会社には、立地にこだわっていたり、金融機関との提携数が多かったりと、購入者にとって有利になるような条件を備えている不動産会社があります。どのような条件があるのでしょうか。不動産会社を探す際にぜひ注目して探したい点を見てみましょう。
2-1.立地にこだわる会社
マンション投資を成功させるには立地がとても重要な条件になります。投資用不動産事業を行う会社の中には、自社で開発している物件の8割以上が東京都23区内に建っていたり、駅から徒歩10分以内に建っていたりする会社があります。立地にこだわりたい場合はそのような不動産会社を探すと良いでしょう。
2-2.入居率が高い会社
マンション投資は長期的な投資になりますので、数十年後も賃貸経営がきちんと成り立つことが重要な条件になります。物件が古くなると入居率が落ちる可能性がありますので、賃貸ニーズに注意して物件の立地や不動産会社を選択する必要があります。
入居率を落とさないためには、入居率実績が高い管理会社を選ぶことが重要です。賃貸管理会社には古い物件も含めて入居率99%台の会社もありますので、そういった条件なども調べて会社選びをするようにしましょう。
2-3.金融機関の提携数が多い会社
金融機関の提携数が多い不動産会社ほど、有利な条件でローンが組める確率が高まります。例えば金利が1%違うと返済額がいくらくらい変わるか試算してみましょう。条件を融資額2,000万円、返済期間35年で金利を2%と3%とした場合で比較してみます。
金利 | 月々の返済額 |
---|---|
2%の場合 | 6万6,252円 |
3%の場合 | 7万6,970円 |
*ローン金額2,000万円、返済期間35年で試算
この場合、金利が1%違うと毎月の返済額は1万円以上違ってきます。マンション投資の場合、月々の手残り額が1万円位になる場合もありますので、できるだけ低い金利でローンを組むことが効率的に運用するポイントになります。
できるだけ低い金利でローンを組むには、提携している金融機関が多い不動産会社の方が有利になりますので、金融機関の提携数も見ながら不動産会社を検討することも大切です。
3.利回りに騙されないようにする
中古マンション投資の場合、新築に比べて利回りが高いのが特徴です。しかし、利回りが高いからと言って必ずしも良い物件であるとは限りませんので、注意が必要です。利回りを検討する際に注意しておきたいポイントを見てみましょう。
3-1.表面利回りと実質利回り
まず、利回りには表面利回りと実質利回りの2種類があります。表面利回りは家賃収入を物件価格で割ったものです。
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格
それに対し、実質利回りは収入から諸経費を引いて算出したものです。
実質利回り=(年間家賃収入-経費)÷物件価格
一般的に物件を探す際は表面利回りがどれくらいか、という視点で探しますが、実際に収支をシミュレーションする場合は、経費を算入した実質利回りで試算します。表面利回りが高くても、経費が多くかかる物件は実際に手元に残るお金が少なくなりますので、実質利回りも考慮して物件を検討することが大切です。
3-2.管理費以外の経費に注意する
マンション投資をする際にかかる費用は、管理費だけではありません。マンションを購入する際には銀行の事務手数料や不動産取得税、固定資産税、都市計画税、印紙税などの経費がかかります。
また、賃貸経営をしている途中でも設備が壊れた場合の修理代などの費用が発生することがありますので、シミュレーションの際は忘れずに算入するようにしましょう。
4.物件を探す際のポイント
初めてマンション投資をする方の中には、不動産会社の営業マンが勧める物件をそのまま購入するケースも見られます。しかし、不動産会社によってはいくつかある物件のうちの「先に売りたいもの」から紹介する会社もあります。
不動産会社が早く売りたい物件と、買主の投資対象として条件が良い物件が同じとは限りません。物件を選ぶ際に自分なりの判断ができるように、物件を探す際に注意しておきたいポイントについて見てみましょう。
4-1.立地は慎重に検討する
立地は長期的な視点から見た場合、入居率に影響してくる大切な要素ですので、慎重に検討することが大切です。立地は駅からの距離だけを見れば良いわけではありません。最寄り駅から徒歩で10分以内が望ましいですが、一方で周辺の環境も気にして見ることが大切です。物件の周辺に生活に必要なスーパーやコンビニ、銀行のATM、病院などがあればさらに賃貸ニーズが高まる可能性が上がります。
また、近年は集中豪雨など自然災害による被害が大きくなっていますので、ハザードマップを確認して被害が発生しにくい場所で物件を探すことも、賃貸ニーズを落ちにくくするポイントになります。
4-2.都心部から離れている場合は路線に注意
都心部から離れた場所のマンションを対象に投資を行う場合は、都心までの交通機関を見ることが大切です。不動産情報サイトSUUMOによる「857人に聞いた引越し・住み替えの実態調査2017」によると、家探しの際に重視することは、家賃以外に最寄駅からの時間、通勤時間、路線エリア、間取りという順番となっています。
通勤時間や路線・駅、エリアといった要素が上位にあることから、都心から離れたエリアでも通勤に便利な場所であれば賃貸ニーズが高くなる可能性があると考えられます。通勤に便利な駅を探すには、複数の路線が通っている駅や、急行や特急が止まり、都心に通勤するのに時間があまりかからない駅を探すと良いでしょう。
5.頭金の額には注意
新築マンション投資の場合、フルローンが組めることがあり、その場合頭金がかからないため初期費用を抑えられるメリットがあります。しかし、頭金がいらないということはそれだけ高い金額のローンを組むということになります。そのため、毎月の返済額も大きくなりますので、収支に注意して運用を行うことが重要なポイントになります。
6.毎月の収支は必ずプラスにする
家賃収入からローンの返済をして管理費を支払ったら、収支がマイナスになるというケースもあります。また、マイナスにはならなくてもプラスマイナスゼロだったり、少ししかプラスにならないというケースがあります。
その場合、設備の修繕費用が必要になった場合や空室になった場合の支払いに、今までの貯金を投入しなければいけません。そうなると、運用がうまくいかなくなる可能性もあります。そのようなことにならないように収支には常に目を配り、改善の意識を持つことが大切です。改善の仕方にはどのような方法があるのかを見てみましょう。
6-1.借り換えをして収支を改善する
金利がより低いローンに借り換えをすると、毎月の返済額を減らす効果を得られます。今の金利の低い日本では、最初に組んだローンの金利より低い金利でローンを組める可能性がありますので、収支が悪い場合は検討してみましょう。
ただ借り換えをする場合は、新しく組むローンの審査が行われますし、ローン契約時には保証料や事務手数料などの費用も発生しますので、費用対効果が見込めるかシミュレーションして取り組むことが大切です。
6-2.繰上返済をして収支を改善する
繰上返済をした場合、残債の元金を減らすことができますので、その後の毎月の返済額を減らしたり、返済額を変えずに返済期間を短縮したりすることができます。どちらを選ぶかは、繰上返済の目的を明確にして判断することが大切です。
7.空室リスクは資金的なマイナスが大きい
空室になるとその間は家賃が入りませんので、ローンの返済や管理費をキャッシュフローの蓄積分やオーナーの貯金から支払わなければいけなくなります。そのため、資金的な損害が大きく膨らむ可能性があります。詳しく見てみましょう。
7-1.退去後の空室と空室リスクの違い
入居者が退去した場合、一時的に空室が発生することになります。入居者が退去すると、次の入居者が決まるまでには一般的に2,3ヵ月はかかりますので、その間の損失分を想定してシミュレーションを行うのが一般的です。そのため、その間にローンの支払いをしても、長期的な運用ではマイナスにならない計画となっているはずです。
しかし、その空室期間が4ヵ月以上になり、6ヵ月、7か月と長期になった場合、そこまでの空室は想定していませんので、予定外の支出が発生することになります。この予定外の空室が発生する可能性のことを「空室リスク」と呼びます。
空室が長引いて予定外の支出が増えると、運用がうまくいかなくなる可能性があります。そのため、そうならないように退去後の行動を慎重に計画しておくことが大切です。
7-2.空室が長期化した場合の損害額の大きさ
空室が長期化した場合、その損害は大きな額になります。仮に毎月7万円のローン返済をしている場合、6ヵ月で42万円、7か月で49万円と、毎月持ち出しがが7万円ずつ増えることになります。仮に入居者がいた際に毎月手元に2万円が残っていたとしても、7ヶ月間の空室で2年分のキャッシュフローが無くなることになります。
空室期間を長期化させないように、管理会社とよく相談して対策をしておくことと、万が一長期化した場合も支払いがスムーズにできるように、資金面には余裕を持った運用が必要になります。
8.出口戦略は早めに立てる
出口戦略とは物件を売却したり、ローンを完済して運用方法を変えたりして、一旦今までの運用から脱却することを言います。一般的には売却のことを指すことが多くなります。
売却の際は、売却できるまでに時間がかかったり、思ったような査定価格が出なかったりする可能性があります。そのため、できるだけ早い段階で出口戦略を立てておくことが大切です。
売却する時の査定価格には立地なども影響しますので、できれば購入時点から出口戦略を意識して検討することをおすすめします。
まとめ
初めてマンション投資をする場合に、抑えておきたいポイントを8つご紹介しました。初めてマンション投資をする場合は、どうしても不動産会社の営業マンのすすめで物件を決めたり、ローンを組んだりしてしまいがちです。
詳しいことはわからなくても、物件を選んだり、金利のことで要望を言ったりすることはできると思いますので、物件の立地やローンの金利などは、相場をよく調べて自分なりのモノサシを持って取り組むようにしましょう。
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