投資用マンションの利回り相場、エリア別でどう違う?背景も解説

マンション投資を行うにあたって、自分が取得予定の投資用マンションの利回りが相場と比べて高いか低いか気になるという方も多いと思います。

利回りの高さとリスクの大きさは相関するので、一概に利回りが高い投資用マンションが良いとは言い切れませんが、利回りが高いとキャッシュフローが安定しやすいメリットがあります。

この記事では、投資用マンションの利回り相場をエリア別に見ていきたいと思います。

目次

  1. 投資用マンションの利回り相場をエリア別に解説
    1-1.北海道地方
    1-2.東北地方
    1-3.関東地方
    1-4.中部地方
    1-5.関西地方
    1-6.中国地方
    1-7.九州地方・沖縄
  2. 利回りが高ければ良いというものではない
  3. まとめ

1 投資用マンションの利回り相場をエリア別に解説

投資用マンションを取得して運用を始める際は、購入を検討中のマンションの利回りが周辺の利回り相場と比べて高いかどうかという点が一つのポイントになります。

例えば、利回りが相場と比べて低い場合は、売却価格が高く設定されている可能性があるため、値下げ交渉の余地があります。逆に利回り相場と比べて高い場合は、物件に何らかの瑕疵(かし:欠陥のこと)が潜んでいる可能性があるので注意が必要です。

不動産ポータルサイトの1つLIFULL HOME’Sが不動産投資家向けに公表しているメディア「見える!賃貸経営」には、アパート・マンション経営に役立つ不動産市場分析、空室率といった情報などが掲載されています。

情報の1つに物件種別・都道府県別の想定利回りがあります。今回はその情報からエリア別利回り相場(2019年11月12日時点)と各エリアの特徴について見ていきましょう。

1-1 北海道地方

北海道地方の区分マンションの利回り相場は11.1%となっています。札幌市にスポットを当てて利回りを比べると以下の通りです。

  • 札幌市中央区:9.9%
  • 札幌市北区:10.7%
  • 札幌市白石区:12.6%
  • 札幌市豊平区:11.7%
  • 札幌市西区:9.1%

これらの数値を見ると、同じ札幌市でも中央区や西区は低く、白石区や豊平区は高いことが分かります。通常、人気が高いエリアは利回りが低くなり、逆に人気がないエリアだと物件価格を安くしないと売りにくいため、利回りが高くなる傾向にあります。そのため、西区・中央区は人気が高く、一方で白石区や豊平区は人気が低いぶん物件価格が手頃であると言えます。

また、札幌駅など主要駅周辺のエリアは人気が高いため利回りが低くなり、街外れになるほど高利回りになるなど、区の中でもより細かく利回り相場が存在します。そのため、市区町村単位の利回りを見るだけではなく、そのエリアの特徴をよく調べてから投資用マンションを取得することが重要と言えるでしょう。

1-2 東北地方

東北地方の区分マンションの利回り相場は以下のような結果になっています。
※青森県と山形県はデータがありません。

  • 青森県:-
  • 岩手県:15.2%
  • 宮城県:10.0%
  • 秋田県:20.5%
  • 山形県:-
  • 福島県:11.2%

同じ東北地方でも、宮城県と秋田県の利回り相場を比べると2倍以上の差がついています。「宮城県よりも秋田県で投資用マンションを購入した方が安定した利益が期待できる」と考えた人も多いと思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。

上述のように、利回りの高さの裏には、マンションの需要が少ないために平均価格帯が低いといった実情があります。利回りだけで投資エリアを決めるのではなく、実際に現地を確認する、入居状況を確認するということが大切です。

1-3 関東地方

関東地方の区分マンションの利回り相場は以下のような結果になっています。

  • 茨城県:12.1%
  • 栃木県:27.1%
  • 群馬県:16.0%
  • 埼玉県:9.7%
  • 千葉県:11.1
  • 東京都:5.3%
  • 神奈川県:7.1%

東京都と栃木県の利回り相場を比べると5倍以上の差がついています(あくまでLIFULL HOME’S掲載物件を基にした平均値のため、必ずしも実情に即した数値ではない点に留意する必要はあります)。関東地方は利回り相場の差が顕著に表れており、東京都からの距離が離れるほど利回りも高くなっています。

2020年に東京オリンピックの開催も控えている東京都は、日本経済の中心地ということもあり、不動産需要も他地域に比べて非常に高くなっています。特に南関東においては、東京への通勤需要と不動産需要が強く関連しているため、利回り水準にも明確な傾向が見られます。

1-4 中部地方

中部地方の区分マンションの利回り相場は以下のような結果になっています。
※富山県と岐阜県はデータがありません。

  • 新潟県:18.5%
  • 富山県:-
  • 石川県:10.9%
  • 福井県:13.6%
  • 山梨県:13.7%
  • 長野県:16.6%
  • 岐阜県:-
  • 愛知県:7.1%
  • 静岡県:13.8%

中部地方では、東京都と大阪府の中継地点である名古屋を有する愛知県の利回り相場が低くなっており、それ以外のエリアとは2倍程度の差があります。また、石川県も利回りが他のエリアと比べて低い傾向にあります。北陸新幹線の開業を機に観光などで注目が集まり、賃貸需要や地価が上昇したことが背景にあると考えられます。

1-5 関西地方

関西地方の区分マンションの利回り相場は以下のような結果になっています。
※三重県はデータがありません。

  • 三重県:-
  • 滋賀県:12.2%
  • 京都府:6.5%
  • 大阪府:6.4%
  • 兵庫県:8.5%
  • 奈良県:11.9%
  • 和歌山県:13.7%

関西地方は関東地方と似た傾向があり、企業や大学の多い大阪府、京都府、兵庫県からの距離が離れるほど利回りも高くなっていきます。しかし、全体的に利回り相場が低くなっており、関東地方のように利回りの低い地域と高い地域の差がそこまで大きくありません。そのため、関西地方は全体的に需要が高めの水準にあると言えるでしょう。

1-6 中国・四国地方

中国・四国地方の区分マンションの利回り相場は以下のような結果になっています。
※鳥取県と島根県、徳島県、高知県はデータがありません。

  • 鳥取県:-
  • 島根県:-
  • 岡山県:14.1%
  • 広島県:11.5%
  • 山口県:19.2%
  • 徳島県:-
  • 香川県:16.5%
  • 愛媛県:10.4%
  • 高知県:-

東京都、愛知県、大阪府などの主要都市が地価の上昇などで利回りが低下していることから、利回り水準が高く需要も期待できる政令指定都市を新たな投資先に選ぶ不動産投資家も出てきています。岡山県や広島県などはそのうちの1つです。

人口が集中している政令指定都市を選ぶことで、少子化で人口が減少している昨今でも、比較的高い利回りかつ安定した需要が期待できる物件を見つけやすくなるでしょう。

1-7 九州地方・沖縄

九州地方・沖縄の区分マンションの利回り相場は以下のような結果になっています。
※佐賀県と長崎県、鹿児島県はデータがありません。

  • 福岡県:8.8%
  • 佐賀県:-
  • 長崎県:-
  • 熊本県:13.5%
  • 大分県:16.0%
  • 宮崎県:9.7%
  • 鹿児島県:-
  • 沖縄県:7.3%

福岡県は九州方面に向かう新幹線の開通によってアクセスが良くなったことや、中国・台湾など成長しているアジア各国への利便性が良いことから不動産需要が高くなっており、東京・大阪・名古屋に次ぐ主要エリアの1つとも言える状況になりました。

また沖縄県は人口増加計画を掲げており、実際に人口が増えていることから安定した需要が期待できます。しかし、今後は人口増加に合わせて物件が不足したり、不動産投資家が次々と参入することで地価が上昇したりする可能性もあるため、今よりもさらに利回りが低下するリスクは考えられます。そのため運用を始めるタイミングが重要と言えるでしょう。

2 利回りが高ければ良いというものではない

利回りが高いということは、物件価格に対する家賃収入の割合が高いということを意味するため、月々のキャッシュフローを維持しやすいというメリットがあります。しかし、利回りが高いということが必ずしも良いとは言い切れません。

利回りが高いということは、そのぶん物件価格が安く、何かしらのリスクを抱えているということに繋がります。例えば建物が劣化していたり、賃貸需要が低く空室期間が長引いていたり、といった懸念事項が考えられます。これにより修繕費が多く発生したり、得られる家賃収入が少なかったりする状況になる可能性があります。

また、空室期間が長い場合は、安定した家賃収入が得られず、ローンの返済だけが生じる期間が長くなってしまうので注意が必要です。安定した不動産経営を目指しているのであれば、想定利回り(表面利回り)を確認するだけでなく、修繕費といった支出などを考慮した実質利回りで物件を選ぶことをおすすめします。

3 まとめ

不動産投資では、利回りの高い物件を購入した方が効率良く家賃収入を得ることができます。しかし、一方で修繕や空室期間に対するリスクも大きくなるため、経営の難易度が上がる点にはくれぐれも注意する必要があります。

マンション投資を始めるには、まず投資に見合う物件を探して購入する必要がありますが、主要な検討ポイントの一つになるマンションの利回りは、エリアや築年数によってそれぞれ相場が異なります。そのため、マンションの良し悪しをうまく見極めるためには、各エリアや築年数による利回りの違いを把握しておくことが重要です。

東京都や愛知県、大阪府などは賃貸需要が高く安定した需要が期待できることから、投資先として注目している人も多いと思います。しかし、これらの地域は地価が高いため、利回りが低いというデメリットがあります。

一方、最近では、福岡県や岡山県、広島県などの地方都市で安定した需要が期待できるエリアへの投資も活発に行われています。今後それらの地域では、さらなる人気の上昇で不動産価格が上昇し、利回りがさらに低くなる可能性もあります。

不動産市況は順次変わっていくため、より安定したマンション投資を実現するためには、早めに投資するエリアや条件の選別を行って参入することが望ましいでしょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。