マンション投資を検討するにあたり、東京・名古屋・大阪はいずれも選択肢に取り上げられることの多いエリアです。しかし、それぞれどのような特徴があるのか、実際のデータを参考に、より詳しく知りたい方も少なくないのではないでしょうか。
そこで本記事では、3都市の人口予測、県民経済計算、不動産価格の推移などのデータから、それぞれのエリアの特徴を比較し、エリア選びの判断材料について解説します。
目次
- マンション投資におけるエリア選びの重要性
- 東京・名古屋・大阪の特徴をデータで比較
2-1.人口予測
2-2.県民経済計算
2-3.収益区分マンションの価格推移 - マンション投資、データからみる注目エリア
- まとめ
1.マンション投資におけるエリア選びの重要性
マンション投資のリスクには金利上昇リスクや家賃下落リスク、空室リスクなどがあります。中でも、家賃下落リスクと空室リスクに大きな影響を与えるのが、そのエリアの賃貸需要です。
日本全体の人口は減少傾向にありますが、将来的に人口が大きく減少するエリアは賃貸需要も減少が見込まれます。将来的に人口減少が見られないエリアや、転入者が多く人口増加が見られるエリアを見極めることが重要になります。
都道府県単位におけるエリアの経済規模を貨幣価格で表した「県民経済計算」も、賃貸需要は経済規模に影響を受けるため、参考となるデータといえます。
不動産価格の推移についても、賃貸需要が安定しているエリアは賃貸用不動産の価格も堅調であると考えられ、一定の相関関係があります。
これらのデータをもとに、間接的に賃貸需要の多いエリアを予測し、投資対象エリアを選択する際の参考にしてみましょう。
2.東京・名古屋・大阪の特徴をデータで比較
東京・名古屋・大阪の3都市圏は、日本国内でも特に賃貸需要が多いエリアとして知られています。これらのエリアの賃貸需要について、人口予測、県民経済計算、不動産価格推移などのデータを取り上げ、その特徴を比較していきます。
2-1.人口予測
まず、人口予測のデータを3都市圏について比較して見て行きましょう。
東京都
東京都の「予測結果の概要」によると、東京の人口予測は、23区については、千代田区、中央区、港区(以下、都心3区)が2040年まで増加すると予測しており、他の区を入れた23区全体では、2030年にピークを迎え、2040年までにピーク時から約3.5%減少傾向になると予測してます。
大阪市
大阪市「大阪市人口ビジョン」によると、大阪市の人口は1965年がピークでした。それ以降、2000年まで減少傾向であったものの、底を打ち、2015年まで微増傾向に転じています。ただし、その傾向も2020年~2025年頃には止まり、それ以降は微減傾向が続くと予測しています。
なお、大阪府全体では、2010年頃をピークに減少傾向が始まっている状態で、近年の変化は、ほぼ、全国の人口推移と近似した傾向となっており、今後も全国の人口減とともに減少していく可能性があります。
ただし、大阪市の減少度は2040年までにピーク時から約7%とされており、全国の減少度約13%に比べると、緩やかなものに留まるとの予想になっています。
名古屋市
名古屋市の「名古屋市将来人口推計」によると、名古屋市の人口は、現在は微増傾向となっており、2025年頃がピークでその後は微減傾向になると考えられています。ただし、こちらも、2040年までに約2.7%の緩やかな減少に留まると予測されています。
2-2.県民経済計算
次に、県民経済計算のデータを3都市圏について比較して行きましょう。
東京都
東京都「都民経済計算年報(平成29年度)」によると都内総生産(名目)は2017年度で106兆2382億円となっており、対全国比は約20%を占めています。
一人当たり都民所得は2011年度で530万円となっており、全国平均の280万円と比べて約2倍となっています。東京都の数値はいずれも突出しているといえます。
大阪府
大阪府「平成29年度 大阪府民経済計算」によると、府内総生産(名目)は2017年度で40兆700億円です。東京都と比較すると低い数値ですが、大阪府の府内総生産は国内総生産の約7%を占めており、他県と比較して高い数値であると言えます。
名古屋(愛知県)
愛知県「2017年度あいちの県民経済計算」の県民総生産(名目)は2017年度で40兆2998億円であり、大阪府と同水準となっています。対全国比は大阪とほぼ同じ約7%ですが、一人当たり県民所得は、368万円と全国平均と比べて高い数値になっています。
2-3.収益区分マンションの価格推移
収益物件の不動産価格の推移を、3都市で比較してみましょう。※以下、不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「四半期レポート2020年7月~9月期」を参照
東京都
東京23区の収益区分マンションの登録価格は2017年から2020年まで2,000万強でほとんど変化が見られません。問い合わせ価格についても、1,800万前後でこちらも大きな変化が見られていません。
また、収益物件価格に間接的に関係するデータとして、地価動向も確認すると、住宅地の地価は、東京23区では、2016年以降、2020年まで毎年3%~4.5%上昇しています。
大阪市では0.5~1%、名古屋市では1.5~2%の上昇にとどまっているので、地価上昇率からすると、比較して東京23区の上昇率は突出しているといえます。
大阪市
これに対し、大阪市では、登録価格は2017年から2020年にかけて1,300万程度でほぼ変わりはないものの、問い合わせ価格は2017年に1,000万程度だったものが、2020年には1,200万前後まで上昇しています。
名古屋市
名古屋市では、登録価格が2017年から2020年にかけて1,100万程度から1,400万程度まで上昇しているものの、問い合わせ価格は700万から800万程度を季節変化で行ったり来たりしており、ほぼ横ばいといえます。
このように3都市を比較すると、東京23区が高い物件価格を維持している状況であるといえるでしょう。なお、大阪市の問い合わせ価格が上昇していますが、供給価格の上昇は見られていません。
3.マンション投資、データからみる注目エリア
東京・名古屋・大阪、3つの都市圏のデータを比較すると、人口予測の観点からは、名古屋の人口減少幅が小さいことがわかりました。また、東京23区のうち都心3区は特に人口増加が見込まれていました。県民経済計算の観点からは、東京都が突出していました。
このようなデータから考えると、マンション投資のエリアとして堅調な推移をしているのは東京23区であると言う事が分かります。ただ、今後は新型コロナウイルスの影響で、今後は都心から郊外や地方都市へと人が移動する可能性もありますので、最新のデータなども詳しく見ながら慎重に判断することが大切です。
まとめ
東京・名古屋・大阪は、いずれも賃貸需要が多いエリアですが、人口予測、県民経済計算、不動産価格推移などのデータを検証すると、特に堅調な推移をしているのは都心3区を含む東京23区であると言えます。
また、今後の価格上昇による売却益を期待するのであれば、中長期的には人口も増加傾向である大阪・名古屋の動向にも注目してみましょう。
本記事でご紹介したように、東京・名古屋・大阪の大都市であっても、それぞれのエリアによって物件価格の変動に大きな違いが見られます。それぞれのエリアの特徴を比較しながら、自身に合った投資エリアを検討してみましょう。
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佐藤 永一郎
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