【元トレーダーが解説】初心者でも戦略的に取り組める、暗号資産の積立投資とは?

今回は、暗号資産の積立投資について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 暗号資産の積立投資とは
  2. 価格が下落した月だけ積立を行う投資法
  3. 下落時にのみ積み増す投資手法の利点
  4. 積立投資の注意点
  5. CoincheckやGMOコインの積立サービスの利用も検討

2020年は暗号資産(仮想通貨)市場が再度盛り上がる年となりました。機関投資家の参加が加速し、規制のフレームワークも整備されているなど、2017年のバブル期と比べてこの市場は健全な成長を迎えています。

2017年は規制が未整備のマーケットであり、機関が利用できる先物市場も少なく、買いを助長する形でのバブル相場となっていました。しかし、2020年までに各国の規制の枠組みが強化され、資産の保管業務を担うカストディアンを含む機関向けプラットフォームが整い、ヘッジファンドやアセットマネジメント等の参入が進んでいます。

日本でも暗号資産投資に対する個人投資家の意欲も高まっており、取引所の口座開設数が増加傾向にあります。ここでは暗号資産を投機目的ではなく、資産形成のための商品として利用してもらうために、「積立投資」手法について解説したいと思います。

①暗号資産の積立投資とは

まずは、一般的な暗号資産の積立投資についてご紹介します。現在、暗号資産取引所のCoincheckやGMOコインが暗号資産の積立サービスを提供しており、資産形成のために利用する投資家も増えてきているようです。

この2社が提供している積立投資は「ドルコスト平均法」というものであり、シンプルに毎月決まった金額を購入していくというものです。(※Coincheckでは毎日積み立てを行うサービスもあります。)

積立金額を固定するため、価格が下落していればより多く購入できますが、価格が上昇すると購入量は減少します。ドルコスト平均法はリスクとリターンを抑制し、平均購入単価を収斂させるような効果があります。

CoincheckもGMOコインも多くの暗号資産の積立投資が可能ですが、基本的には時価総額一位のビットコインが選択されるケースが多いようです。ビットコインは暗号資産市場全体の約7割のシェアを占めており、暗号資産市場の中で最初の投資対象となっています。機関投資家や富裕層にとって、流動性が十分に大きいことも投資条件の一つです。

②価格が下落した月だけ積立を行う投資法

筆者が考案した積立投資は、ビットコインだけではなくイーサリアムやライトコイン、XRPなど、複数に分散する方法です。購入時期は毎月1回としますが、その実行を「前回比で価格が下落している時のみ」という条件に照らして判断します。

この条件により、ドルコスト平均法と比較して平均購入単価を大きく低減できるため、含み損を被る可能性を低下できます。

しかし、「上昇し続けた場合はどうするの?」と思われる方もいるでしょう。もちろんその場合はポジションを増加させることはできません。損失を被る確率を低下させている反面、そのようなデメリットが生じるのは必然です。

しかし、投資対象を分散させており、全部の資産が上昇し続けることはほとんどありません。

また、資産形成のための長期投資を目的としているため、1か月2か月の短いスパンで投入金額の増減を気にする必要はありません。長期的に利益を得るためには、より保守的な投資手法が適しています。

③下落時にのみ積み増す投資手法の利点

この手法がなぜドルコスト平均法よりもベターと考えるのか、筆者の見解を説明します。

まず相場は上昇する時期もあれば下落する時期もあり、一辺倒に上昇し続けることはありません。長期的な上昇トレンド中でも、一時的に下押する調整局面が訪れることがあります。

そして、暗号資産は伝統的なアセットクラスと比較して値動きが激しいため、調整局面に数十%の大きな値幅で下落することもあります。

暗号資産マーケットは成長したとはいえ、全体の時価総額でも80兆円前後(2020年12月29日執筆時点)です。この規模は、大手SNSのフェイスブックの時価総額(7000億ドル:72兆円)と同水準です。つまり、暗号資産市場の投資家は、単一企業の時価総額規模の中でビットコインやイーサリアム、その他の資産を売買しているのです。個別資産の流動性は乏しくなり、値動きが激しくなるのは当然の道理です。

そのため、毎月の基準日に前月対比で下落していれば購入するという余裕のあるスタンスで十分だと思います。最初にポジションを保有しておけば、少なからず評価益は出ています。下落幅を考慮すれば、上昇したときに無理に購入する必要はありません。

また下落局面から反転して上昇したときのリターンは大きく取れるため、リスクリワードの面でもドルコスト平均法よりもいいのではないかと考えています。

④積立投資の注意点

次に積立投資の注意点について解説します。積立投資はあくまで「長期的には上昇することを前提として投資している」ということが大きなポイントです。

FXで行うドルコスト平均法による積立と同義で暗号資産の積立を解説している記事もありますが、個人的にはかなりその説明は無茶なのではないかと考えています。

同じ積立投資でも、FXと暗号資産とでは条件が異なります。暗号資産はまだ歴史が浅い投資商品であり、価格レンジがまだ作られていないため、上昇も下落もどこまで振れるかわからないという点は、必ず認識しておきましょう。

外国為替のFXの場合は、長い歴史が作り上げた価格レンジが存在しますし、取引対象が法定通貨、その法定通貨が先進国のものである場合は無価値になる可能性はかなり低いと言えるでしょう。国の通貨の場合、その国の経済や景気に影響を与えるため、為替レートが行き過ぎた場合は各国の中央銀行が修正するようなオペレーションを行います。

日本で言えば、輸出企業が多いため円安の方が良いと言われています。リーマンショック以降にドル円が一時80円を割れた際、日銀や政府などが懸念を示し、市場を円安方向に誘導しようとした事例があります。

つまり、ある程度のレンジで収まりやすいのが法定通貨の特徴です。一方で暗号資産はそもそも国の通貨ではなく、その価値が数億円になっても0になっても経済に影響はないものです。暗号資産市場は投資家の需給のみで成り立っており、誰かがレートを操作しないといけない理由もないので、無価値になっても不思議ではないと言えます。

そのため、積立を行う際はビットコインの価値がどれだけ下落するまで許容するのか、考えておくようにしましょう。

⑤CoincheckやGMOコインの積立サービスの利用も検討

今回筆者がおすすめした積立投資は自動的に行えるものではなく、毎月決まった日に価格をチェックして購入判断をするなど、手動で行う必要があります。

忘れやすいという方や、自動的に積立投資を行いたいと思う方はCoincheckやGMOコインが提供している積立投資サービスを利用することも検討しましょう。

昨今、暗号資産が盛り上がりを見せる中でビットコインだけでなくイーサリアムやその他の暗号資産にも注目が集まりつつあります。この機会に少額からでも積立投資をスタートさせて見てはいかがでしょうか。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12