三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は7月27日、「SMBC Group GREEN Innovator(SMBCグループ グリーンイノベーター)」を立ち上げたと発表した。サステナビリティ(持続可能性)関連のソリューションの提供と新たなサービス開発やノウハウ蓄積の活動・取り組みの総称で、グループ全体のサステナビリティに関するノウハウ・情報を集約することで他業種との協業を円滑化し、サービス開発力を強化することで、顧客により高度なソリューションを提供する狙い。同グリーンイノベーターのもと、新たに「AI 技術を活用した気候変動シナリオ分析の高度化」「SMBCサステナビリティ優先課題特定ツールの開発」の2件の取り組みを創出した。
脱炭素を始めとするサステナビリティに関する顧客ニーズが多様化、高度化すると見込まれる中、SMBCグループは「ニーズに対するグループ一体となった対応力の強化と社会のサステナビリティの実現に向けた自社のノウハウの蓄積が必要」と考え、また、多様化するニーズや求められるノウハウは金融分野にとどまらず「脱炭素関連分野やエネルギー分野といった非金融分野にまで広がることから他業種との協業が必要になる」という認識から、グリーンイノベーターとして情報とノウハウを集約するに至った。
AI技術を活用した気候変動シナリオ分析の高度化は、株式会社三井住友銀行(SMBC)が、気候変動に関する情報開示の枠組みである「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への対応の一環として、物理的リスクに関する気候変動シナリオ分析を高度化する。米国スタートアップ企業である Jupiter Intelligence社のAI技術を活用し、コンサルティングファームのMS&ADインターリスク総研株式会社との協業で、気候変動シナリオ分析において課題となっていた科学的なデータの不足や対象地域の網羅性の欠如といった課題を解決していく。
AIによる機械学習を行いながら、様々な気候関連データや地形などの衛星画像データを分析することで、水災(洪水)発生時に想定される浸水の深さを、全世界を対象に予測することが可能となった。これにより、公的機関が公表するハザードマップのない地域でも水災発生時のリスクを定量的に把握することが可能となり、新たに海外の事業法人を分析対象に追加できたという。
物理的リスクに関するシナリオ分析では、気候変動シナリオごとの洪水発生確率を活用。国内の事業法人を対象とした従来の分析結果に、海外の事業法人を対象とした分析結果を合算すると、2050年までに想定される与信関係費用の累計は550億~650億円程度と試算される。これは単年度平均値では20億円程度の追加的な与信関係費用の発生となることから、SMBC の単年度財務に与える影響は限定的としている。詳細は今月発表する「SMBCグループTCFDレポート2021」に掲載予定。
2つ目のSMBCサステナビリティ優先課題特定ツールは、SMBCと株式会社日本総合研究所が開発を手掛けた。同ツールは、顧客の「サステナビリティに関する自社の優先課題を検討したい」とのニーズに応えるために、日本総合研究所が有するデータ解析力を活用して開発したもの。具体的には、SMBC の営業員が、顧客の業種や規模などの属性を、対話しながら選択肢から選び、顧客に適したサステナビリティに関する優先課題の候補、他社の取り組み事例、および関連する SDGs(持続可能な開発目標) のゴールなどが自動的に導出される。
【参照リリース】【三井住友フィナンシャルグループ】”SMBC Group GREEN Innovator”の立ち上げについて(1/3)
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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