総合不動産サービス大手のJLL(本社:米国 JLL)が5月21日に発表した投資分析レポートによると、2019年第1四半期(1月~3月)の世界の商業用不動産投資額は前年同期比8%減の1560億ドルとなった。アメリカ大陸とEMEA(欧州、中東、アフリカ大陸)で投資額が減少したことが要因で、通年投資額は前年比5~10%減の約6900億ドルを予測する。
アメリカ大陸の同期の投資額は、前年同期比8%減の620億ドル。米国での投資意欲は引き続き堅調だが、今後の経済動向が投資活動に影響すると予測される。EMEAの投資額は前年同期比22%減の500億ドル。英国のEU離脱問題による投資活動の鈍化や、18年第1四半期の投資額5億ドル以上を記録した15市場のうち12市場で投資額が減少したことが地域全体の減少につながった。
アジア太平洋地域の投資額は前年同期比14%増の450億ドルとなった。大型取引やクロスボーダー投資がみられた中国での投資額が増加し、韓国、シンガポールでも投資活動は堅調だった。
都市別投資額は、東京が65億ドルで18年第1四半期以降4四半期ぶりに1位となった。国内の事業会社及びJ-REITなどの国内プレーヤーによる投資が多く、全体の83%を占めた。2位は、2億ドル以上の大型取引が7件あった上海(63億ドル)。上海では活発な国内プレーヤーに加えて海外投資家の投資活動も活発で、同期のクロスボーダー投資額ではロンドンに次いで2番目の投資額(26億ドル)となった。続いて3位ニューヨーク(58億ドル)、4位ロンドン(55億ドル)、5位ソウル(45億ドル)の順。
レポートは「EU離脱の行方や米中の貿易摩擦など、世界的な先行き不透明感によりマクロ経済の成長は低迷する」と予測する一方で、世界の商業用不動産投資市場は安定的に推移するとして、19年通年の投資額を前年比5~10%減と見込む。
JLLは、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社。19年3月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約91000名を擁し、売上高は163億米ドル。投資分析レポートは四半期ごとに刊行、世界における不動産投資マネーの動きを解説する。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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