金融庁は8月26日、「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」の結果を公表した。国内運用会社の投資運用力を測るデータで、昨年は「資産運用業者の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」として実施。金融情報の株式会社QUICKが2016年4月に社内に設立したQUICK資産運用研究所が調査を委託されている。
データ概要は、2019年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、2月から3月にかけ、それまで堅調に推移していた世界の金融市場が急変。全ファンドの5年平均リターンがマイナスになった結果、投資信託の運用パフォーマンスを示す共通の指標であるシャープレシオの平均(運用効率)も、前年度(2018年度)末のプラスからマイナスに転じた。分類別では「国内株式型」「国内債券型」「国内REIT型」と「バランス型」のシャープレシオ平均がプラスを維持したが、その水準は前年度から軒並み縮小。その他の分類のシャープレシオ平均はマイナスとなっている。こうした中で、アクティブ運用を主体にする独立系運用会社の一部や、DC専用とつみたてNISA対象ファンドでは、シャープレシオ平均がプラスとなっている分類もあり、健闘が目立った。
DC専用とつみたてNISAに着目すると、「国内株式型」と「先進国株式型」のつみたてNISAや「新興国株式型」のDC専用などでアクティブ運用が上位に立っているが、他は総じてインデックス運用が優位。今回集計に加えた5年間の計算期間の期末と期初残高を見比べると、19年度末の全ファンドの残高は5年前に比べ20兆円あまり減少。インデックス型は全体で2兆円弱増加した一方で、アクティブ運用型で残高が大幅な減少。集計対象は5年以上運用しているファンドであるため、期間途中の解約による資金流出の規模が大きいことがわかる。
ファンド分類別・運用会社別・信託報酬平均に関しては、投資信託は年を追うごとに低コスト化に進んできた傾向がみられる。インデックス型とDC専用、つみたてNISA対象ファンドは分類によらず信託報酬の低さが鮮明になっている。特に、大手運用会社はインデックス型での信託報酬の低さが目立つ。19年度末時点の全ファンドではアクティブ型の信託報酬平均1.45%に対し、インデックス型の平均は0.4%と3分の1の水準だった。外資系運用会社は総じて信託報酬が比較的高い傾向が見られた。
運用コストと運用パフォーマンスの相関関係の定量分析では、18年末時点での分析結果とほぼ同様の状況となり、アクティブ運用ファンドでは「ファンドによる相関度合いのばらつきはあるが、多くの分類において、運用コストと運用パフォーマンスとの間に統計的に有意なマイナス相関が認められる」と分析。一方、「新興国株式型」などでは統計的に有意なマイナス相関関係が認められなかった。この点に関しては「株式の保管コストなど信託報酬以外の費用を含む総経費率の運用パフォーマンスに与える影響度合いの大きさが関係している可能性もある」と見立てた。
【参照URL】金融庁『「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」の公表について」
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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