中古不動産投資は、新築不動産への投資よりも投資額を抑えられるだけでなく、入居者がいる状態で運用を始められる可能性も高いため、運用リスクを低く抑えることが期待できます。一方、元本が保証されているわけではないので、万が一の失敗に備えて対策を練っておくことが重要です。
そこで今回は、中古不動産投資のよくある失敗例5選と、そこから学ぶべき対策について解説します。
目次
- 中古不動産投資のメリットとは
- 中古不動産投資のよくある失敗例5選
2-1.高く購入してしまう失敗
2-2.運用できる期間が短くなる失敗
2-3.設備が古いことによる失敗
2-4.災害リスクが高くなることによる失敗
2-5.修繕費用が増えることによる失敗 - 中古不動産投資での失敗を防ぐための対策とは
3-1.居住用物件としての価値も確認する
3-2.築年数が経過しすぎていない物件を購入する
3-3.入居者需要が高い設備が整っているか確認する
3-4.火災保険や地震保険に加入する
3-5.ランニングコストを多めに想定しておく - まとめ
1 中古不動産投資のメリットとは
新築不動産の方が「新しい・設備がきれい」などの理由で需要が期待できそうですが、中古不動産への投資にはどんなメリットがあるのでしょうか?中古不動産投資の主なメリットは以下の4つです。
- 物件価格を抑えられる
- 利回りが高い
- キャッシュフローが良い
- 過去の運用結果が分かる
中古不動産投資は、物件価格が安く、購入価格を抑えられるため、不動産投資のハードルが低くなります。また、価格が安いことで利回りが高くなり、キャッシュフローも良くなるので安定した運用が期待できます。
居住用としてではなく、投資用として売りに出されている中古物件を購入する場合には、過去の運用結果がどうだったのか知ることが可能です。また、入居者がいる状況で購入した場合は、最初から家賃収入が得られるため、安心して運用を始められるでしょう。
2 中古不動産投資のよくある失敗例5選
中古不動産投資は、不動産投資における最初のハードルが低くなる分、経験や知識の少ない不動産投資の初心者でも始めやすいと言えます。しかし、失敗に繋がるケースに備えてあらかじめ対策を練っておく必要があります。
そのには、中古不動産投資のよくある失敗例を事前に確認しておくことが重要です。中古不動産投資のよくある失敗例として、以下の5つをご紹介します。
- 高く購入してしまう失敗
- 運用できる期間が短くなる失敗
- 設備が古いことによる失敗
- 災害リスクが高くなることによる失敗
- 修繕費用が増えることによる失敗
2-1 高く購入してしまう失敗
不動産投資でよくある失敗例の一つは、物件を高く購入してしまうことです。居住用不動産と投資用不動産を比べると、投資用不動産の価格の方が高くなる傾向があります。特に投資用中古物件が入居者のいる状態で売りに出されている場合には、長期的な家賃収入が期待できることから価格が相場より高く設定されていることもあります。
「少し高いけれど既に入居者がいて、最初から長期的な家賃収入が得られるので買い!」と購入しても、入居者が契約を解除して出ていった後で次の入居者にも同じ家賃で貸せるとは限りません。
入居者がなかなか現れない状態が続いた場合や、安い家賃で再募集をしなければならなくなった場合には、キャッシュフローが悪化して物件を手放さなければならない可能性もあるので注意しましょう。
2-2 運用できる期間が短くなる失敗
2つ目の失敗例は、不動産を運用できる期間が短くなることです。新築不動産投資の場合は投資額を回収可能な運用期間(耐用年数)がある一方、中古不動産投資の場合は築年数次第では運用期間が短くならざるを得ない可能性があります。
築年数が経過している物件は価格が安く初期投資を抑えられるため、利回りが高いことが魅力です。しかし、耐用年数に近づけば近づくほど建て直しなどを視野に入れなければならないため、運用期間が短くなることがあります。また、中古不動産の中には、借地上に建てられていて借地の期限の到来とともに建物を潰して土地を明け渡さなければならないものもあります。
せっかく中古不動産を購入して運用を始めても、運用できる期間が短い場合は、投資額を回収できない可能性もあるので注意しましょう。
2-3 設備が古いことによる失敗
中古物件は設備が古いことがあり、それによる失敗事例もあります。新築不動産投資の場合は同様に設備も新しく、またオートロックや食洗機、浴室乾燥機、IHクッキングヒーターなどの便利な設備が標準装備されている物件もありますが、中古不動産投資の場合は設備が古い、もしくは全く備わっていない物件の方が多くあります。
最新設備が整っていることよりも家賃の安さを重視する方もいるかもしれませんが、少し家賃が高くても設備を重視する方もいます。特に女性は設備を重視する傾向が強く、需要の低下によって安定した入居者の確保が困難になる可能性もあります。
設備を新しくすることによって需要を高めようとしても、費用が膨らんで利回りの低下やキャッシュフローの悪化を招く可能性があります。
2-4 災害リスクが高くなることによる失敗
築年数が経過している物件の中には、旧耐震基準に基づいて建てられているものもあります。旧耐震基準の建物は新耐震基準の建物より耐震性が低いため、地震の影響を大きく受けやすいと言えます。
旧耐震基準の物件では、大きな地震が生じた場合に構造体に損傷が生じて貸し出せなくなる可能性があるので注意が必要です。また、物件を探す際に安全性を重視して、新耐震基準の物件を探している方も多い傾向があります。そのため、旧耐震基準では需要が期待できず、安定して入居者を確保できない可能性もあります。
また、築年数が経過している物件の中には、電気系統が劣化していたり耐火性能が低かったりするなどで火災リスクが高い物件もあります。そうした災害リスクが高い物件は、運用途中にトラブルが生じて貸し出せなくなる可能性もあることを覚えておきましょう。
2-5 修繕費用が増えることによる失敗
また築年数が経過している物件では、設備の古さや耐震性の低さなどが目立ってくるほか、あちこちが傷んでくるため、つど修繕して物件を良い状態に維持する必要があります。
しかし、修繕は一度実施すれば当分はしなくて良い、というものではありません。基本的に築年数の経過とともに修繕箇所が増えるため、年々修繕費用が右肩上がりに増えていくと考えておいた方が良いと言えます。
築年が経つごとに修繕費用は増加する一方で家賃収入は下落していく傾向にあるため、修繕費用の増加はキャッシュフローの悪化に直結します。築年数の経過とともに返済が厳しくなる可能性もあるので注意しましょう。
3 中古不動産投資での失敗を防ぐための対策とは
中古不動産投資は価格が安い、既に入居者のいる物件に投資できる可能性もあるといった点でリスクが低いと言えます。しかし上記のような失敗例もあるため、中古不動産投資特有のリスクを想定しながらあらかじめ対策を練ることが重要です。
上記で挙げた失敗を防ぐための対策は以下の5つです。
- 居住用物件としての価値も確認する
- 築年数が経過しすぎていない物件を購入する
- 入居者需要が高い設備が整っているか確認する
- 火災保険や地震保険に加入する
- ランニングコストを多めに想定しておく
3-1 居住用物件としての価値も確認する
中古不動産に投資する場合は、居住用物件としての価値も確認することが必要です。投資用の中古不動産の価格が高いかどうか判断する際は、利回りを基準に判断するのが一般的です。
例えば東京都心部のマンション投資であれば、新築で利回り3~5%、中古で利回り5~8%を1つの目安として、利回りがこの目安の高い方、もしくはそれ以上であれば、物件価格が安いと言えます。
しかし、都心の物件と比べると郊外の物件の方が利回りが高くなるほか、築年が経過するほど利回りが上がる傾向もあるため、利回りだけでは物件価格が高いか安いかを正確に判断できない場合があります。そのような場合は、居住用不動産としての価値を確認することも重要です。
マンションや戸建は、入居者がいない状況なら投資用不動産ではなく居住用不動産としても売却できます。そのためポータルサイトで類似物件を調べるなどして居住用不動産としての価値を確認しておけば、その物件が高いか安いかを判断しやすくなります。そうすれば、高く買いすぎてしまう失敗を防げるでしょう。
3-2 築年数が経過しすぎていない物件を購入する
2つ目の対策は築年数が経過しすぎていない物件を購入することです。中古不動産投資では、リフォームやリノベーションを繰り返しながら入居者を募集できますが、構造体の劣化は修繕が困難です。
劣化が深刻な場合は建て直さなければならないので、購入時以上の投資が必要になる可能性もあります。そのため築年数が経過しすぎていない物件を購入した方が良いと言えます。
例えば、築年数が20~30年程度の物件ではなく、築年数が浅い物件を購入するなどです。新築不動産は価格が高いのですが、築1年経過しただけでも中古扱いになり物件価格は大幅に下がります。築10年以内の物件を購入すれば、長期間の運用が期待できるでしょう。
3-3 入居者需要が高い設備が整っているか確認する
また、入居者の需要が高い設備が整っているか確認することも必要です。中古不動産は入居者の需要に合った設備が整っていない可能性も高いのですが、中にはリフォームなどを行いそれらの設備が整っている物件もあります。
また、築年数が経過しすぎていない中古不動産であれば、リフォームされていない場合でも入居者需要が高い設備が標準装備されている可能性もあります。それらを事前に確認しておけば、ある程度の需要が期待できるでしょう。
3-4 火災保険や地震保険に加入する
災害リスクの対策としては、火災保険や地震保険に加入することが一般的です。不動産は築年数の経過とともに構造体や設備の劣化が起こることによって、火災リスクや地震リスクが高くなります。しかし、火災保険や地震保険に加入しておけば、火災や地震が発生した際に修繕費用を賄うことが可能になります。
地震や火災で建物が損傷を受けた場合や滅失した場合は、修繕または建て直している間は家賃収入が得られませんが、保険に加入していれば、修繕や建て直しの費用を補えるほか、契約内容によっては賃貸収入が入らない損失まで補填してくれるため、安心して運用できるでしょう。
3-5 ランニングコストを多めに想定しておく
中古不動産の運用にあたっては、ランニングコストを多めに想定しておくことも重要だと言えます。築年数の経過とともに修繕費用などのランニングコストが多くなる可能性が高いため、「ランニングコストは増えるもの」と考えて計画を組むことが必要です。
そのため、返済計画を立てる際も返済期間を短くして1回の返済額を多くするのではなく、なるべく1回の返済額を抑えて長めの返済計画を立てた方が良いと言えます。また、返済計画だけでなく、増える修繕費用に備えて家賃収入を貯蓄しておけば、キャッシュフローの悪化を抑えられるでしょう。
4 まとめ
中古不動産投資は、新築不動産投資より物件価格が安く初期投資を抑えられるため、不動産投資のハードルが低くなります。しかし、中古不動産投資は、運用できる期間が短くなる・設備が古いことによる失敗などの新築不動産投資にはないリスクを伴います。
これらのリスクは事前に対策を練っておけば損失を十分に抑えられるため、築年数が経過しすぎていない物件を購入する・火災保険や地震保険に加入するなど、対策をしっかり練ることを忘れないようにしましょう。
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矢野翔一
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