クラウドバンクの第5期決算を分析、黒字化の達成状況や財務内容は?

日本クラウド証券が運営するソーシャルレンディングサイト、クラウドバンク。累計応募金額は600億円に近づいており(2019年6月時点)、これはmaneoマーケット、SBIソーシャルレンディングに続く数字になっています。

国内でも第3位の規模を誇るクラウドバンクですが、そのクラウドバンクが第5期の決算を発表しました。その内容を見ながら現在のクラウドバンクがどのような状況にあるかを確認してみましょう。

目次

  1. クラウドバンクの第5期決算内容
    1-1.前期との数字を比較
    1-2.大幅に改善されたポイント
    1-3.コンサルティング事業の売上をソーシャルレンディング事業が上回る
    1-4.利益剰余金が黒字化
  2. クラウドバンクが考えるソーシャルレンディングのリスクとは
    2-1.事業環境に関するリスク
    2-2.事業内容に関するリスク
    2-3.事業体制に関するリスク
  3. まとめ

1.クラウドバンクの第5期決算内容

クラウドバンク
サイト名 クラウドバンク
URL https://crowdbank.jp/
運営会社名 日本クラウド証券株式会社
本社所在地 東京都港区六本木七丁目4番4号 六本木Artshell 5F
設立 1993年(旧 ディー・ブレイン証券)
代表取締役 橋村 純
資本金 1億円(2017年3月28日現在)
売上高 7億4,120万円(2018年3月期実績)
社員数 20名(平成29年8月31日時点)
上場有無 非上場
サービス開始年月 2013年12月
参考利回り 6.99%(※2019年3月末までの3年間に運用したファンド実績)
投資金額 1万円から
投資実行額・応募総額 応募総額577億7,831万円(※2019年7月5日時点)
運用期間の目安 最短2ヶ月~最長36ヶ月
元本毀損実績など 融資回収率100%、デフォルト率0%(2019年7月5日時点、2014年12月サービス開始以降の償還済ファンド)

※2019年7月時点の情報となります。最新情報に関しては上記サイトを御覧ください。

クラウドバンクの決算内容はこちらのリンクから確認できます。

この数字はクラウドバンク株式会社の決算の内容であり、子会社としてソーシャルレンディングサイトのクラウドバンクを運営する日本クラウド証券および子会社すべてを含んだものとなっています。

1-1.前期との数字を比較

クラウドバンク・連結の経営指標
まずは連結の経営指標を確認します。これは2018年4月1日から2019年3月31日までの数字です。

第4期の営業収益は11億9,000万円。そして、第5期の営業収益は24億円まで伸びています。その数字は2倍以上です。経常利益の数字を確認しても、前期の8億800万円に対し11億4,700万円と1.5倍近い数字となっています。同社の営業活動によるキャッシュフローを比較しても、21億8,000万円から44億7,000万円とこちらも2倍以上の伸びです。

現金および現金同等物の期末残高は、34億円から63億円とこちらも2倍近い数字です。また臨時雇用者を除いた従業員数を16人から21人に増やしているなど、営業の拡大に伴い人員の増加を図っていることまで分かります。

さらに、注目したいのが自己資本比率です。株の投資判断などに使われる自己資本比率ですが、クラウドバンクとその関連会社における自己資本比率は、6.49%から8.91%と2.5%近く数字が伸びています。このことから、クラウドバンクグループの経営状態が良い方向に向いていることが分かってきます。

1-2.大幅に改善されたポイント

次に、連結の貸借対照表をチェックしてみましょう。

流動資産の合計は77億9,600万円から158億5,700万円に、同社の預かり金は85億円から139億円へと増加しています。また、利益剰余金は8,400万円の損失から4億2,900万円の黒字に転じました。

2億円の長期借入金がゼロになっていることから、借金を返済して財務状況が大幅に改善されたことがわかります。


こちらは損益計算書の概要です。営業収益の内訳ですが、受入手数料はわずかに減っています。その反面、金融収益が3億7,000万円から10億円と3倍近い数字になっています。また、権利譲渡益が発生したことで売上が8億円計上されています。これらの数字が売上の大幅な増加に寄与したと言えます。

また、4期の利益の中には有価証券の売却益が含まれていましたが、5期には含まれていません。純然とした営業活動による利益であることから、経営状況が改善していることが分かってきます。

一方で、売上原価が約7億円かかっているうえに、販売費・一般管理費が3億9,200万円から6億1,300万円に増えています。同様に経費が増えていることから、収益率は改善されたとまでは言えないでしょう。

投資家への分配金の総額は、3億2,700万円から6億3,000万円とこちらも2倍近い数字の伸びです。

なお、この営業収益の概要については資料の中に、

当期21,855百万円の募集の取扱いを行っております。これらの結果、当連結会計年度の連結営業収益は2,406,083千円となりました。
一方、販売費一般管理費は、営業拡大に伴い、保険料、人件費、広告宣伝費が増加するなどを背景として前期より221,591千円増加し、613,849千円となりました。この結果、連結経常利益は1,147,565千円となり、当期純利益は524,656千円となりました。

と記載されています。

1-3.コンサルティング事業の売上をソーシャルレンディング事業が上回る

先ほどの貸借対照表と一緒にクラウドバンクが発表している決算の資料の中で、以下は確認すべきポイントです。

①営業収益

ア 受入手数料
主に投資コンサルティング事業による業務報酬により、586,426千円となりました

イ 金融収益
金融収益は匿名組合受取利息、営業者融資手数料などにより1,004,376千円となりました。

ウ 権利譲渡益
今期、投資・コンサルティング事業における発電事業権利譲渡からの収益が815,280千円となりました。

同社は主に投資コンサルティング事業とソーシャルレンディング事業を展開しています。受入手数料に該当するコンサルティング事業の報酬は5億8,000万円となり、前期とほとんど変化がありません。そして、先ほどの権利譲渡による収益は8億1,500万円とありました。

それに対し、ソーシャルレンディングの収益は前期の3億7,000万円から10億円以上になるなど、クラウドバンクが取り組む事業の中でも一番の売上を示しています。クラウドバンクの事業の中心がコンサルティングからソーシャルレンディングになっていることがわかるでしょう。

2.クラウドバンクが考えるソーシャルレンディングのリスクとは

クラウドバンクはソーシャルレンディング事業の拡大によって大幅に売上を伸ばし、利益剰余金の黒字化を達成しました。それでもクラウドバンクは決算資料の中でいくつかの懸念材料を発表しています。

ソーシャルレンディング会社にとってどのようなリスクが起こり得るのか、ソーシャルレンディング会社側の立場から確認してみましょう。ソーシャルレンディングに関係が深そうなものを抜粋します。

2-1.事業環境に関するリスク

  1. 法的規制について
    ソーシャルレンディングに関する法律が変わることで生じるリスクです。規制強化などが挙げられています。
  2. 業界の動向について
    競争の激化による収益性の低下に伴うリスクです。

2-2.事業内容に関するリスク

  1. 融資型クラウドファンディングに関するリスクについて
    与信や融資審査の強化で収益性が低下するリスクです。
  2. 貸出債権に関するリスク
    債務者からの返済が行われないことによるリスクです。
  3. 資金調達に関するリスク
    資金調達のコストを下げるためにソーシャルレンディング事業者が利用されなくなるリスクです。また、業界の風評悪化も影響するとされています。

2-3.事業体制に関するリスク

  1. 小規模組織であることのリスク
    クラウドバンク株式会社の組織体制は取締役が3名、監査役が1名、従業員数が2名と小規模です。完全子会社の日本クラウド証券では取締役が5名、監査役が1名、従業員数が21名で、クラウドバンク・インキュラボおよびクラウドバンク・フィナンシャルサービス各社では取締役が4名です。人員が少ないことから監査体制が万全なものでなくなるリスクがあるとされています。
  2. 重要な訴訟事件の発生
    クラウドバンクの関連企業が投資家などから訴訟された場合、財務や経営に悪影響が及ぶ可能性があるとしています。また、ソーシャルレンディング会社に対する訴訟が相次いだ場合、クラウドバンクも訴訟のリスクは大きいと捉えています。

その他にも人員の採用やコンピューターによるオペレーションリスクなどを挙げています。

まとめ

クラウドバンクは第5期に大幅な売上の増加、そして、利益剰余金の黒字化を達成するなど好調と言える状態が続いています。

ただし、クラウドバンク側でも意識しているように、ソーシャルレンディングのリスクには様々なものがあります。投資家としてはどのようなリスクを想定しているかを会社に確認し、自分でもそういったリスクを比較検討してから投資対象を選ぶようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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