東京のマンション価格は今がピークだと感じている人もいるでしょう。東京オリンピックの開催が決まったことも後押しし、2012年頃から価格相場は上昇を続けています。しかし一方で、オリンピック終了後の景気の冷え込みを懸念する声も挙がっています。
この記事では東京の収益マンションの価格推移を分析するとともに、今後価格の動向に影響するような要因にはどのようなことがあるのかについて見てみたいと思います。
目次
- 東京の収益マンションの価格推移
- 東京23区のマンション価格は今後もあまり下落しない?
- 収益不動産オーナーの動き
3-1.2019年に価格がピークを迎えていると考える人はそれほど多くない
3-2.金利が低いうちは買い時と判断する投資家もいる - 東京のマンション価格に影響がありそうな要因
4-1.東京の人口集中状況は価格の下落防止になる?
4-2.JR新駅とリニア新幹線の開通で不動産価格の上昇も?
4-3.2022年問題が下落の要因に? - まとめ
1.東京の収益マンションの価格推移
まずは東京の収益マンションの価格推移を見てみましょう。以下のグラフでは一都三県の区分マンションの2010年から2019年までの価格推移が確認できます。
*健美家作成「四半期レポート2019年4月~6月期」から引用
こちらのグラフから一都三県のエリアでは、区分マンションの価格は東京オリンピック開催が決定した2013年以降から上昇したことが確認できます。特に東京23区は非常に高い価格で推移しており、2019年4月~6月期が最も高値を付けています。しかし、こちらのグラフからはこの時点がピークなのかどうかの判断は付けがたいと言えるでしょう。
2.東京23区のマンション価格は今後もあまり下落しない?
東京のマンション価格は2013年から2019年6月までは上昇してきました。では今後、東京のマンション価格の動向はどのような予測が立てられているのかを見てみましょう。
以下は一般財団法人日本不動産研究所の調査結果です。1998年から2025年までの、東京23区のマンションの1㎡当たりの価格と賃料が確認できます。
*一般財団法人日本不動産研究所調査「東京23 区のマンション価格と賃料の中期予測/2019 上期」から引用
こちらの予測グラフでは、2020年を過ぎても大きな下落は見られず、横ばいか緩やかに下落することが予測されています。
こちらの価格予測は一般マンションが対象のため、収益不動産に限ったものではありませんが、収益マンションも同じように2013年から価格が上昇してきています。
3.収益不動産オーナーの動き
収益不動産を所有しているオーナーは今の状況をどのように考えているのでしょうか。収益不動産のオーナーに取ったアンケートをもとに考えてみたいと思います。
3-1.2019年に価格がピークを迎えていると考える人はそれほど多くない
以下のグラフは健美家が収益不動産のオーナーに取ったアンケート結果です。2014年から2019年4月までの毎年のオーナーの不動産売買に対する意識が確認できます。
*健美家作成「第11回不動産投資に関する意識調査(2019年4月24日~5月8日)」から引用
こちらのグラフから2014年から2017年までは売り時と考える人の層が増えていたのに対し、2018年4月からは「買い時」「どちらでもない」と考えている人の層が増えていることが確認でき、2019年4月時点ではその傾向がより顕著に現れています。
この結果から、収益不動産の所有者の意識では、不動産価格は2019年がピークだと考える人はそれほど多いというわけではないことが予測できます。むしろ、2019年4月時点では「どちらとも言えない」の割合が半数を占め、かつ売り時・買い時の割合が拮抗していることから、多くの人が市況に対して迷いを持っている状況と言えるでしょう。
3-2.金利が低いうちは買い時と判断する投資家もいる
今が不動産の買い時だと考えている人はなぜそう思っているのでしょうか。以下は同じ健美家のアンケート結果です。今が買い時だと考えている理由が確認できます。
*健美家作成「第11回不動産投資に関する意識調査(2019年4月24日~5月8日)」から引用
このグラフから、今が不動産の買い時だと思う理由には「金利が低いから」というものが多いことが確認できます。
今後の不動産価格予測に方向感を欠く人が多い現状を考えると、景気悪化による金利上昇を懸念し、今のうちに買っておいた方が得策だと考える投資家の割合が増えたと言えるのではないでしょうか。また、融資が厳しくなった点や良い物件が出てきた点も多いことから、融資がさらに厳しくなる前に良い賃貸用物件を購入したいというニーズが増えたとも考えられます。
4.東京のマンション価格に影響がありそうな要因
東京のマンション価格推移において、今後の価格推移に影響がありそうな要因について見てみましょう。
4-1.東京の人口集中状況は価格の下落防止になる?
東京の人口の推移を見てみましょう。以下のグラフは東京都政策企画局が作成したもので、2005年から2060年までの日本の人口と東京都区部、多摩島しょ部の人口推移が確認できます。
*東京都政策企画局作成「2060年までの東京の人口推計」から引用
日本の人口は2010年くらいをピークに減少し始めていますが、東京都の人口は2025年がピークと予想されています。その後、減少傾向になりますが、2050年時点でも1,274万人と、2005年の1,258万人よりも多いことが予測されています。また区部に至っては2060年においても2005年程度の水準であると予測されています。
このことから、東京都内、特に区部のマンション賃貸ニーズは今後数十年はあまり変わらないことが考えられ、価格も大きく下落していく可能性は低いと考えられます。
人口についてはあくまで予測ですので、この通りになるとは限りませんし、エリアによっても状況は大きく変わりますが、このような予測が立てられているということは認識してマンション投資に取り組むことが大切です。
4-2.JR新駅とリニア新幹線の開通で不動産価格の上昇も?
都市の再開発やインフラの整備は、その地域に人が来やすくなったり、生活のコミュニティができたりすることで賃貸ニーズが高まり、マンション価格も上昇する効果が期待できます。
現在東京ではいくつものインフラ整備や都市の再開発が進められています。特にマンション価格に影響する可能性があるものは、2020年のJR山手線に高輪ゲートウェイ駅が開業することと、2027年に品川と名古屋間にリニア新幹線が開通することです。このことにより品川、高輪近隣のマンション価格が上昇する可能性があることが考えられます。
4-3.2022年問題が下落の要因に?
2022年には都市圏に存在する「生産緑地」という農地が一斉に指定の期限を迎え、宅地に転用されて多くの住宅が建設される可能性があるというのが2022年問題です。生産緑地という土地は、農地として保有することで税率が軽減されていたのですが、その土地の多くは指定期限が2022年で切れ、一斉に税率が上げられる対象となっています。
そのため税率が上がることで、多くの土地が宅地に転用されることで供給が増え、土地や住宅の価格が下落するのではないかということが懸念されています。一方で2017年の法改正により、生産緑地指定を10年間延長できるようにもなったため、2022年問題の影響は限定的とする見方もあります。
とは言っても、生産緑地の宅地転用が原因になって東京のマンション価格も下がる可能性はありますので、注意が必要です。東京は上記のように人口がまだ増える予測であることから、今後も居住ニーズが高いと考えられ、また生産緑地面積も多いために2022年問題の影響を受けやすい地域であると言えます。
まとめ
東京のマンション価格に絞り、過去の価格推移と今後の価格推移予測について言及しました。
東京のマンション価格は上昇を続けており、さらに2022年の東京オリンピック開催や2027年のリニア新幹線開通といった、不動産価格にプラスの影響を与えうる出来事も予定されています。しかし、今が売り時か買い時かという意見は投資家によって分かれている状況でもあり、今後の不動産市況には不透明感も否めません。
東京は全国と比較しても人口の減少し始める時期が遅く、減少のスピードも緩やかなため、当分の間は人口が一気に減少することは考えにくく、マンション価格も急激に下落する可能性は低いと考えられます。とはいえ、景気や金利の動向、また2022年問題の懸念などもあるため、マンション投資を行う際はしっかり対策を練って取り組むことが大切です。
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西宮光夏
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