中古アパート経営で重要な「レントロール」の見るべきポイントは?物件選びのコツを解説

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アパート経営をはじめとする不動産投資で重要な資料の一つが「レントロール(家賃表)」です。不動産会社に提出してもらい、アパートの収益力や将来性も判断していきます。

そこで今回のコラムでは、レントロールを見る際に何を注意してみるべきか、その6つのポイントを解説していきます。アパート選びにぜひ役立ててください。

目次

  1. アパート経営のレントロールとは
  2. アパート経営のレントロール(家賃表)で見るべきポイント
    2-1.空室の有無
    2-2.入居期間の長さ
    2-3.家賃設定のバラツキ
    2-4.預かり敷金の有無
    2-5.入居者の属性
    2-6.そのほかの収入の有無
  3. まとめ

1 アパート経営のレントロールとは

レントロールとは家賃明細表とも呼ばれ、不動産の賃貸借状況を一覧表にしてまとめた資料のことです。中古アパートであれば、物件選びをする際に「利回り◯%」という表記を見ることがありますが、このレントロールを見ることで、どの部屋がいくらで貸し出されているのかが分かります。そのため、物件の入居状況だけではなく、収益性やリスクなども判断するのに役立つのです。

具体的には下記のような内容が記載されています。

  • 家賃
  • 敷金
  • 間取り
  • 専有面積
  • 契約年月日
  • 契約期間
  • 共益費・管理費
  • 入居者の属性、など

レントロールは通常、当該アパートの売却活動を行っている不動産会社から入手することになります。次の項目からレントロールの見るべきポイントを解説していきます。

2 アパート経営のレントロール(家賃表)で見るべきポイント

レントロールに記載されている情報は、各部屋の家賃がいくらか、という情報だけではありません。丁寧に見ることで、アパートのいろいろな情報を読み取ることができますので、参考にしてください。

2-1 空室の有無

空室はアパート経営を左右するため、極力避けたいものです。そのため、レントロールでは現在どれくらいの空室があるか、まずは確認しましょう。現在の収入状況を確認することで、購入直後のキャッシュフローなどの推測ができます。

また、購入後にどのようなアパート経営をしていくか考える際にも、空室の状況を知ることは役立ちます。例えば、空室が全体戸数の10~20%であれば購入後の入居者募集活動で埋められる可能性がありますが、30%以上になると、満室状態となるまでにある程度の時間がかかると考えられるからです。

この場合、所在地や築年数、物件の状態を見た上で、仲介する不動産会社に空室がある理由を尋ねるのもいいでしょう。空室期間が長いということは、入居者候補に選ばれてこなかったということにもなります。

レントロールを見てアパートの空室について不動産会社に問い合わせる場合は、「なぜ空室になっているのか」に加えて「空室期間はどれくらいか」という質問も合わせてするといいでしょう。その他、周辺の家賃相場を見直し、適切な家賃設定で募集が行われているかも確認してみましょう。

2-2 入居期間の長さ

入居者が退去するとオーナーは部屋の原状回復工事を行い、さらに入居者を確保するために募集活動を行います。入居者が決まるまでは家賃収入を得られず、入れ替わりの回数が増えるほど決まった際には仲介業者に広告費などを支払うことになります。

つまり、入居期間の長い入居者が多いアパートは、入れ替わりが少なく、退去に伴うオーナーの負担も少ないアパートという見方もできます。

ただし、長期間の入居者が退去した後は、比較的大規模な原状回復工事が必要になったり、築年数の経過や競合物件が新築されていたりなどで家賃設定を下げることになる可能性もあります。このような点も踏まえて、検討材料にしましょう。

2-3 家賃設定のバラツキ

アパート経営をはじめとする不動産投資にはリスクがいくつかありますが、その一つが家賃下落リスクです。新築時は部屋の新しさや快適性などにより、相場より高い家賃でも入居者を確保できる可能性があります。

しかし、年月が経っていくと、外観や部屋、設備の劣化が進み、間取りや仕様に古さを感じるようになります。そのため、築年数が経過するほど、入居者が決まりやすい家賃が下落していくことになります。

アパートの場合、部屋が複数あり入居時期が異なることから、家賃設定にばらつきが見られるのが通常です。この家賃の下がり具合を確認することで、相場との乖離がどれくらいあるか、判断することもできます。

例えば、同じ階数で同じ広さの2つの部屋が下記のような家賃設定になっていたとします。

  • 102号室の家賃:10万円
  • 103号室の家賃:8万5,000円

この状況で分かるのは、102号室の現在の入居者が退去すると、8万5,000円まで下げないと入居者が確保できない可能性があるということです。こうした細かなポイントを抑えることで、家賃相場とのズレやアパートの将来性をある程度判断することができます。

また満室状態のオーナーチェンジ物件でも、1部屋の家賃が極端に低いケースもあります。この場合は、満室物件として売却するために、家賃を極端に低く設定して入居者を確保したとも考えられます。こうした点もレントロールから読み取れますので、見逃さないようにしましょう。

2-4 預かり敷金の有無

敷金は入居者が家賃の支払いを保証するために、オーナーに預けておくお金のことです。賃貸借契約が終了するとオーナーは敷金を返済しますが、経年劣化以外の損傷などがある場合は原状回復工事費用に敷金を充当することもあります。

この敷金の有無を確認することで、賃貸需要を推測することもできます。それは敷金を預けるのが通例になっている地域でも、入居者を確保するために敷金を預かっていないケースもあるためです。

特に注意したいのが、直近の入居者ほど敷金を預かっていないアパートです。賃貸需要が減少したため敷金無しの条件で募集していたことが推測でき、今後は家賃をさらに下げたり、新規募集の際も敷金不要にして入居者を募集しなければならない可能性があるのです。

2-5 入居者の属性

アパートのタイプにもよりますが、入居者の属性で注意したいのが「法人」による借り上げです。法人が借り上げて従業員の住居にしていることがあり、契約が長期間におよぶ、滞納の可能性が低いといったメリットがあります。

ただし、同じ法人が複数の部屋を契約している場合は契約の見直しを求めてきたり、契約を一度に解約されることもあります。つまり、家賃収入が大幅にダウンするリスクを抱えていることになります。

そのため法人と契約している部屋がある場合、契約期間や退去の申し出に関する契約事項についての確認が必要になります。

2-6 家賃収入以外の収益の有無

アパート経営には部屋を貸すだけではなく、そのほかの収入がある場合もあります。下記はその一例です。

  • 駐車場収入
  • 自動販売機収入
  • 看板広告収入
  • 太陽光発電収入
  • 携帯基地局収入、など

特に注目したいのは、看板広告収入や携帯基地局収入です。企業との契約で収入を得ている場合は契約解除となると収入が大幅にダウンする可能性もあります。

これらの収益が利回りに計上されている場合、純粋な家賃収入と分けて検討されてみるのも良いでしょう。

また、部屋が満室であるにも関わらず駐車場が空いているケースも注意が必要です。アパートの所在地によりますが、入居者以外で駐車場の利用者を確保するのは通常では困難と考えられます。そのため資産を無駄にしないような対策や戦略が必要になってくるのです。

まとめ

部屋ごとの家賃が記載されているレントロールは、アパートの現在の収益力に加え、将来性を推し量ることもできる重要な書類です。アパート選びの際には、適切に活用しましょう。

今回のコラムでは、6つのポイントを紹介しました。家賃金額や契約期間に隠れている情報を読み取ることが、中古アパート経営のリスク回避につながります。この記事を参考に、物件選びの際はレントロールの確認をされてみてください。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。