「手続きが多いのは面倒」「転勤で引っ越すため時間がない」など、手間をかけることなく不動産を売却したい方は多い事でしょう。
不動産の売却には不動産会社が物件を直接買い取る「買取」と、売り手を見つけるために不動産会社に仲介を依頼する「仲介」の2種類があります。
手間と時間をかけずに売却するためには買取が適していますが、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。不動産は高額な取引となりますので、まずは比較・検討を行い、それぞれの状況に適した方法を考えてみましょう。
本記事では不動産の売却方法について、売却時に最低限知っておきたい4つのこと、家の中の整理方法について解説していきます。
目次
- 不動産の売却には買取と仲介がある
- 不動産売却時に最低限知っておきたい4つのこと
2-1.ローンが残っている時には「オーバーローン」に注意
2-2.手間と時間をかけられない場合は「買取」
2-3.不動産会社は数社を比較・検討する
2-4.譲渡所得税の控除制度 - 引っ越しや遺品整理は業者を利用すると手間を省ける
- まとめ
1.不動産の売却には買取と仲介がある
不動産の売却方法には、不動産会社を介して買主を見つける「仲介」と、不動産会社に直接物件を買い取って貰う「買取」の2種類があります。
仲介・買取のメリット・デメリット、向いている人は以下の通りとなっています。
不動産仲介のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・買取より売却価格が高い | ・不動産会社との契約、売却活動などの手間がかかり売却までに約3~6ヶ月を要する ・売主は契約不適合責任を負う |
不動産買取のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・約1~2ヶ月で売却が可能で買主との交渉や内覧の手間が省ける ・個人の買主が購入しない不動産(築古・広すぎる土地など)を買い取って貰える ・多くの場合、売主は契約不適合責任を負わない |
・売却価格が仲介の7割程度になる |
契約不適合責任とは不動産の種類や質が契約の内容に適合しないものである時に目的物の修補、代替物の引渡し、損害賠償などの責任を負う事を指します。例えば、物件の引き渡し後に屋根の雨漏りやシロアリ被害があった場合に、屋根の補修やシロアリ駆除を売主が費用を負担して行う義務が生じる可能性があります。
【関連記事】契約不適合責任をわかりやすく解説!売主が注意したい3つのポイントも
上記のメリット・デメリット・向いている人を把握し、比較・検討した上で売却方法を決定しましょう。
2.不動産売却時に最低限知っておきたい4つのこと
不動産会社へ売却依頼をすることで、物件調査や売却戦略の立案など、様々なサポートを受けることができます。しかし、不動産の値段設定や売却スケジュールなど、売主が意思を持って決定しなければならないポイントも少なくありません。
そこで、不動産売却で最低限知っておきたいポイントを4つの項目にしてまとめました。それぞれ確認していきましょう。
- ローンが残っている時には「オーバーローン」に注意
- 手間と時間をかけられない場合は「買取」
- 不動産会社は数社を比較・検討する
- 譲渡所得税の控除制度
2-1.ローンが残っている時には「オーバーローン」に注意
不動産にローンが残っている場合、まずはローンの残債と売却価格の相場を比較してみましょう。ローンの残る不動産には金融機関の抵当権があり、売却時には残債の返済によってこれを抹消する必要があるためです。
ローン残債が売却価格の相場を下回る「アンダーローン」状態は、不動産の売却代金でローンを完済できます。一方で、ローンの残債が売却価格の相場を上回る「オーバーローン」状態は、売却代金をローンに充てても差額を一括で支払う必要があります。そのため、不動産を売却するために、ローンと不動産の売却価格を比較する必要があるのです。
ローンの残債は残高証明書をチェックしたり、金融機関の窓口で尋ねてみることで確認可能です。
不動産の売却価格は、例えば、不動産一括査定サイトで不動産会社に査定を申し込むことで、おおよその不動産価格を知る事が可能です。複数の不動産会社へ手間なく査定依頼ができ、売却するかどうかは査定後に決定できるため、便利に活用できます。下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
オーバーローンで一括返済が難しい場合
「売却後のローン返済が厳しい」という方は、任意売却を検討してみましょう。任意売却は金融機関と相談し、売却の可否や売却価格に承諾を得て抵当権(不動産を差し押さえる権利)を外してもらう方法です。
任意売却を行うと、金融機関がローン返済期間を延ばしてもらう、毎月の返済額を少なくしてもらうなどの措置を取って貰える可能性があります。
ただし、金融機関にとって任意売却による抵当権の解除は、貸付金の担保がなくなってしまうために返済リスクが上昇することとなります。返済状況によっては、任意売却の承諾を得られない可能性もあることに注意しましょう。
2-2.手間と時間をかけられない場合は「買取」
不動産仲介の売却の場合、不動産会社に査定を依頼した後に媒介契約を行い、買主を探すための売却活動を3~6ヶ月程度行います。買主が見つかった後には内覧対応や契約に関する交渉などがあり契約を締結、引き渡しを行います。
一方、買取の場合には不動産会社と買取価格を相談、決定し契約書を交わすことで売却が可能で、期間は1~2ヶ月程度です。買取による売却価格は仲介より3割程度低くなりますが、「売却価格が低くなっても手間と時間をかけずに売却したい」という方は買取を検討してみましょう。
2-3.不動産会社は数社を比較・検討する
不動産会社は、地方の戸建て物件に強い会社や都心のマンションの取引実績が多い企業など企業にとって得意な分野と不得意分野があります。
不動産会社に査定や買取を依頼する時には、数社の査定価格・査定の根拠について比較・検討した上で契約を行いましょう。
適正な買取価格・査定額の提示には不動産の知識が必要となり、担当者に専門知識がある事は不動産会社を選ぶ上で重要なポイントとなります。物件の査定額や担当者の知識・対応、過去の実績などを判断材料に不動産会社を決定しましょう。
2-4.譲渡所得税の控除制度
不動産を売却し、売却した価格から取得に関わる費用(購入費用・手数料など)と売却に関する費用(不動産会社への仲介手数料、印紙税など)を差し引きプラスになると、譲渡所得税を支払う義務があります。譲渡所得税は物件の所有期間によって税率が異なります。
- 長期譲渡所得:所得税15%・住民税5%
- 短期譲渡所得:所得税30%・住民税9%
建物の所有期間が5年以下の場合には短期譲渡所得、5年超の場合には長期譲渡所得が適用されます。2037年までは上記所得税に復興特別所得税が加算されるため、短期譲渡所得は所得税と住民税を足して39.63%、長期譲渡所得は20.315%の税金が課されます。
なお、上記の譲渡所得税は一定の要件を満たした場合、譲渡所得から一定額が控除される制度があります。控除制度と適用の要件をチェックし、要件に当てはまる時には控除制度の活用を検討しましょう。
【関連記事】不動産売却にかかる税金はいくら?計算手順や税控除に使える特例も紹介
【関連記事】自宅の売却で適用したい5つの特例とは?それぞれ適用の流れと条件を解説
3.引っ越しや遺品整理は業者を利用すると手間を省ける
現在住んでいる家を売却する場合には、引っ越しにも手間と時間がかかります。
業者の中には、荷物の梱包や片付けなどを引っ越し業者が行ってくれるプランがあります。通常のプランより割高になりますが、スピーディーに引っ越しを行いたい、手間をかけたくない方は検討してみましょう。
親や親戚など身近な方が亡くなった後の家を売却する場合には、遺品整理業者に依頼する事で手間だけではなく精神的な負担をかけることなく片付けが出来ます。
ただし遺品整理業者の中には高額な追加料金を請求する、処分しないはずの遺品が処分された等のトラブルが発生する事例があります。複数社から見積もりを取り検討する、作業内容、料金を明確にしてもらうなどの方法でトラブルを防ぎましょう。
まとめ
不動産の売却方法には仲介と買取があります。手間をかけずに売却したい方には買取を検討してみるのも良いでしょう。
一方で、不動産がオーバーローン状態である際には仲介により少しでも高く売却することで、後の経済的な負担を軽減できることがあります。売却スケジュールと売却価格のどちらを優先するのかによって、売却方法を考えてみましょう。
この記事を参考に、手間と時間をかけない売却方法を知り、不動産会社への査定・買取依頼を検討しましょう。
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田中 あさみ
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