不動産の売却を検討する際、効率的に複数の不動産会社へ査定依頼ができる不動産一括査定サイトは便利なサービスです。「できるだけ高く売却したい」「売却のスケジュールが決まっているため早く売りたい」と考え、不動産一括査定サイトの利用を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、不動産一括査定サイトを利用したからといって必ずしも納得のいく売却につながるとは限りません。不動産一括査定サイトを活用して、より良い条件で不動産を売却するためには、事前に準備・対策しておくことも大切なポイントとなります。
そこで本記事では、不動産一括査定サイトを利用する手順や注意点、おすすめの不動産一括査定サイトについて詳しく解説していきます。不動産一括査定サイトの利用を検討している方はご参考下さい。
目次
- 不動産一括査定サイトを利用するメリット・デメリット
1-1.不動産一括査定サイトを利用するメリット
1-2.不動産一括査定サイトを利用するデメリット - 不動産一括査定サイトを利用する手順・注意点
2-1.ローン残高を確認する
2-2.売却価格の希望・目標額を決める
2-3.不動産査定に必要な書類・情報を集める
2-4.不動産に不具合があるか把握する
2-5.不動産一括査定サイトを選び、登録する
2-6.査定を依頼する不動産会社を選ぶ
2-7.査定結果・査定の根拠を比較する - 評判の良いおすすめの不動産一括査定サイト3社を比較
3-1.すまいValue
3-2.リガイド(RE-Guide)
3-3.ライフルホームズ(LIFULL HOME’S) - まとめ
1.不動産一括査定サイトを利用するメリット・デメリット
不動産一括査定サイトは、提携している複数の不動産会社へ一括で査定依頼ができるネットサービスです。様々なメリットがある反面、注意しておきたいデメリットもあるため、それぞれ確認しておきましょう。
1-1.不動産一括査定サイトを利用するメリット
不動産会社へ売却依頼をする際、1社だけに査定依頼をすると、その査定価格が相場に適したものであるかどうかの判断が非常に難しくなります。不動産会社へ査定依頼をするのであれば、1社だけではなく複数社へ査定依頼し、比較することが大切なポイントです。
不動産一括査定サイトに登録すると、不動産オーナーは1社ずつ問い合わせる手間を省きながら複数社の査定結果を比較することが可能です。物件情報を登録するだけで手軽に不動産会社の選定が行える点は、大きなメリットと言えるでしょう。
また、不動産一括査定サイトのほとんどが無料で利用できるようになっていることや、売却するかどうかの意思決定は査定価格を見てから判断できる点もメリットです。
1-2.不動産一括査定サイトを利用するデメリット
不動産一括査定サイトを不動産オーナーが無料で利用できる背景には、提携している不動産会社が登録料や紹介料を負担しているという側面があります。物件の売却情報を取得する営業活動の一環として、無料査定が行われています。
提携している不動産会社によっては、登録料を回収しようとやや強引なアプローチが行われる可能性があります。例えば、売却依頼の獲得のためにあえて相場よりも高い査定価格を提示し、案件獲得後に値下げ(指値)交渉をするケースも見られます。
単純に査定価格だけに注視して比較することができない点は、不動産一括査定サイトのデメリットと言えるでしょう。
不動産一括査定サイトを利用する際は、不動産会社側のこのような事情を踏まえて慎重に比較し、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。査定価格だけでなく、価格の根拠や査定担当者の対応力、過去の実績など、多角的な視点から評価していくことが大切なポイントとなってきます。
2.不動産一括査定サイトを利用する手順・注意点
上述した不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを踏まえ、不動産一括査定サイトの利用手順を見て行きましょう。大まかには下記の流れとなります。
- ローン残高を確認する
- 売却価格の希望・目標額を決める
- 不動産査定に必要な書類を集める
- 不動産に不具合があるか把握する
- 不動産一括査定サイトを選び、登録する
- 査定を依頼する不動産会社を選ぶ
- 査定結果・査定の根拠を比較する
2-1.ローン残高を確認する
不動産を購入した時のローンが残っている場合には、金融機関に問い合わせてローンの残高を確認しましょう。
残債がある場合は、金融機関にかけられている抵当権(不動産を差し押さえる権利)を抹消する必要があります。ローン残高よりも低い売却価格になってしまうと差額を支払う必要が出てくるため、まずはローンの残高確認が必須となります。
【関連記事】ローンが残っている家は売却できる?売却の手順、オーバーローンの対策も
2-2.売却価格の希望・目標額を決める
不動産売却の目標額を設定しましょう。売却目標額の設定には、大まかに下記2つのパターンを作成します。
- 最低売却価格:売却できる最低ラインの設定価格
- 希望売却価格:できれば売却したい希望価格
最低売却価格は、売却が検討できる最低ラインの価格設定です。支払わなければならないローン残高や仲介手数料などを考慮し、設定してみましょう。一方、希望売却価格はできれば売却したい価格設定なので、相場を調べてやや高めに設定したり、住み替え(買替)の費用を考慮した価格で設定してみると良いでしょう。
このような価格設定を行うことで売却戦略を具体的に考えることができ、不動産会社への相談や買主との交渉の際にも役立てることができます。
なお、不動産一括査定サイトでは、おおよその希望金額を入力する項目がありますが、特に金額が定まっていない場合や、先に不動産会社の査定価格を知りたいのであれば空欄にしておくことも可能です。
2-3.不動産査定に必要な書類・情報を集める
次に不動産査定に必要な書類を集めます。売却する不動産の種類によって違いがあるためそれぞれ確認しておきましょう。
これらの書類全てを集めなくても不動産査定は可能ですが、多くの情報があることでより相場に近い査定価格を算出しやすくなります。手元にある書類や取得しやすいものから、集めておくと良いでしょう。
どの物件にも共通する書類
- 購入時の売買契約書、重要事項説明書
- 固定資産税評価額が分かるもの(課税明細・固定資産評価証明書、など)
- 修繕履歴(マンションの場合、管理会社が記録しています)
マンション
- 設備仕様・説明書
- マンション管理規約
戸建・アパート
- 土地測量図
- 境界確認書
- 建築確認済証
- 検査済証
- 建築設計図面
収益物件
- 家賃表(レントロール)
- ランニングコスト(管理費や修繕費、光熱費など)
2-4.不動産に不具合があるか把握する
売主側が物件の不具合を正確に把握していることは、不動産査定において重要なポイントです。不動産会社の中には、物件の不具合を理由に値下げ交渉を行うことがありますが、売主が不具合を把握していることで、不当な交渉を回避することにつながります。
なお、不動産を売却した後から契約書に記されていない欠陥が見つかった場合、買主から契約不適合責任を追及されることがあります。契約不適合責任を追及されると、損害賠償請求をされたり、催告解除(契約解除)などをされてしまうことがあります。
このような契約不適合責任を避けるという観点からも、あらかじめ不動産に欠陥がないか、買主側に伝えておくべきことがないか、売主側がしっかり把握しておくことは大切なことと言えるでしょう。
【関連記事】契約不適合責任をわかりやすく解説!売主が注意したい3つのポイントも
2-5.不動産一括査定サイトを選び、登録する
ここまで準備が整ったら、登録する不動産一括査定サイトを選びます。不動産一括査定サイトには様々な種類がありますが、主には提携している不動産会社に違いがあります。
例えば、大手不動産会社6社が運営する「すまいValue」は、大手不動産会社に限定して依頼ができる不動産査定サイトで、中小企業などは参画していません。
その他、東証プライム上場の株式会社LIFULLが運営する「ライフルホームズ(LIFULL HOME’S)」では、全国3,100社以上の中から査定依頼が可能です。しかし、すまいValueを運営する大手不動産会社6社は提携していません。
このように、査定サイトごとに提携している不動産会社に大きく違いが見られます。サイトごとの違いや比較ポイントは、本記事の「3.評判の良いおすすめの不動産一括査定サイト3社を比較」の項目で詳しく解説していきます。
2-6.査定を依頼する不動産会社を選ぶ
査定サイトに登録すると、提携している不動産会社の中からエリアに対応している不動産会社を選択することができるようになります。(※大手6社に限定されるすまいValueを除く)
査定を依頼する不動産会社を選ぶ際は、大手と中小企業の両方に依頼することも検討してみましょう。中小企業は大手とは違う顧客層を抱えていることも多く、大手より良い条件での売却につながるケースも少なくないためです。
複数の様々な不動産会社へ同時に査定依頼ができる点が、不動産一括査定サイトのメリットの一つです。より多くの不動産会社へ査定依頼したい場合は、複数のサイトを並行して利用するのも有効な手段となります。
不動産会社を選ぶ際は、できるだけその不動産会社が得意としている物件についても確認しておくと良いでしょう。中には売買をメインとしておらず、管理業務をメインとする会社が提携されていることもあります。会社ホームページや査定担当者から、取り扱う物件タイプ、主な業務、過去の実績などを確認してみましょう。
2-7.査定結果・査定の根拠を比較する
不動産査定の結果が返ってきたら、査定結果や査定の根拠を比較していきます。突出して高い金額を提示する不動産会社が出た場合には注意が必要です。
査定担当者はそのまま売却担当となるケースも多いため、査定担当者の対応力なども比較対象としてみましょう。「返信が遅い」「細かなミスが多い」という場合、購入検討者への対応も同じようになり、せっかくの検討者を逃してしまうことも考えられます。
初めの査定前に、他社の査定価格をしつこくヒアリングしてくる不動産会社にも注意しましょう。「他社より高い査定価格を出しておきたい」と考えている可能性があり、明確な査定の根拠や売却計画などが無いケースがあるためです。
その他、不動産会社の説明に疑問や不安点が出た場合には、他の違う不動産会社へ同じ質問をしてみることも有効な手段です。このように複数社と同時に話を進めることで、売り主に不利な提案がされないようにする対策となります。
3.評判の良いおすすめの不動産一括査定サイト3社を比較
不動産一括査定サイトへ登録するにあたり、注意しておきたいポイントは下記の3点です。
- 個人情報の取り扱いが適切か
- 悪徳業者を排除しているか
- 査定する不動産のエリアに対応しているか
これら3点を踏まえ、全国エリアに対応しており、悪徳な不動産会社を積極的に排除している大手の不動産一括査定サイトを3社ご紹介します。
3-1.すまいValue
すまいValueは、大手の不動産仲介6社による共同運営となっており、小田急不動産(株)、住友不動産販売(株)、東急リバブル(株)、野村不動産ソリューションズ(株)、三井不動産リアルティ(株)、三菱地所の住まいリレー(三菱地所ハウスネット(株))の6社合計の店舗数は841店舗となっています。
エリアは全国対応、物件種別もマンション・一戸建て・ビル1棟・アパート1棟・土地など様々な不動産が無料で査定可能となっています。
また、利用者の95.5%が「安心感がある」と回答(※2019年4月1日~2022年3月31日にすまいValueで媒介した顧客を対象に行ったアンケート結果)しており、大手が持つ豊富な経験と的確なサービスや、丁寧なサポートが支持されていると言えるでしょう。
「いま売却するといくらくらいになるのか?」「査定結果を知り、タイミングを見極めてから売却したい」「信頼できる会社に売却をお願いしたい」と考えている方は一度利用されてみると良いでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
大手6社の査定を受けられる | 大手6社以外に査定依頼ができない |
利用者満足度が高い |
3-2.RE-Guide
リガイド(RE-Guide)は、2006年にSBI不動産一括査定としてサービスを開始(※2016年2月にサイト名変更)し、現在で15年目の老舗サイトです。リガイドに登録されている不動産会社は、大手から地域密着の会社まで独自の審査を通過した会社のみとなっています。
査定は最大10社に依頼可能で、査定額には最大で400万円以上の差が出ることもあります。それぞれの会社の売却戦略・得意分野等を慎重にヒアリングすることで、高値売却を実現することが可能になります。また、他のサイトよりも査定時の入力項目が少し多いというデメリットはありますが、そのぶん査定精度が高く、査定時に出された金額と実際の売却額が大きくかい離するといったケースが少ないというメリットがあります。
対応エリアは全国で、マンション・アパート・戸建てだけでなく、土地や事務所や店舗ビルなどの物件も査定可能となっています。また、収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営しており、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却にも強みがあります。不動産の査定に必要な入力時間は約1分。Yahoo!やFacebookから情報も引き継げる簡単入力です。
メリット | デメリット |
---|---|
15年目の老舗サイト、収益不動産に強い | 不動産会社とのやり取りが負担になることも |
最大10社に査定依頼できる | 査定時の入力項目が少し多い |
3-3.ライフルホームズ(LIFULL HOME’S)
ライフルホームズ(LIFULL HOME’S)の不動産売却査定サービスは、東証プライム上場の株式会社LIFULLが運営しており、利用ユーザー数736万人(2021年1月時点)、全国3100社以上の不動産投資会社に一括で査定依頼が出せるサービスです。運営企業は東証プライム上場の株式会社LIFULLであり、国内最大規模の物件データベースで全国の物件を網羅しています。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得しているため、個人情報や物件情報が許可無く外部に公開されることはない点も、個人情報の取り扱いが気になる方にとって評価できるポイントです。大手不動産会社だけではなく、地元に密着した企業も多い点が特徴的で、郊外の物件を売却したい方にも適しています。
ただし、すまいValueを運営している大手6社が提携していない点はデメリットとなります。どちらも無料で利用できるため、できるだけ多くの不動産会社を比較したい時は併用するなどの工夫をしてみると良いでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
東証プライム上場企業が運営 | 提携会社に大手不動産会社は少ない |
登録不動産会社数は3100社以上 |
まとめ
不動産一括査定サイトは、複数の不動産会社への依頼の手間を省き、効率的に不動産会社を選定できる便利なサービスです。しかし、単純に査定価格を比較するだけでなく、査定の根拠や担当者の見極めをすることが重要なポイントとなります。
多くの方にとって、不動産は取引金額の大きい大切な資産です。できるだけ良い条件で売却できるよう、メリットだけでなく注意点も踏まえ、慎重に売却依頼をする不動産会社を選定していきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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