為替と株価の関係は?投資をするときの注意点も

為替は企業業績に影響を与えるので、株価にも関係します。ただ、輸入企業と輸出企業では影響が異なるので注意が必要です。この記事では、為替が株価に与える影響と、株に投資するときの注意点について解説します。

目次

  1. 為替と株価の関係
    1-1.輸出企業
    1-2.輸入企業
  2. 企業の想定為替レートを参考にする
  3. 円安・株高の連動が薄れている
  4. 外国株に投資するときは「為替変動リスク」に注意
  5. まとめ

1.為替と株価の関係

為替と株価の関係は、通常、「通貨高=株高」となります。しかし、日本は輸出産業が盛んなので、通貨安(円安)の方が国内経済にとってプラスに働きます。企業の業績が上がることが株高の要件の一つですが、日本の株式市場にとって円安に進むこともプラスになるのです。

ですから株式投資する場合は、為替も確認しておくことが大切です。ただし個別の企業に関しては、輸出をメインにしている企業と、輸入をメインにしている企業によって影響が異なるので注意が必要になります。

例として、現在の為替レートが1米ドル=100円だとして、円安が進み1米ドル=110円になった場合と、円高が進み1米ドル=90円になった場合にどのようになるのか見ていきます。

1-1.輸出企業

輸出企業の売上は、円安になると増え、円高になると減ります。ですから、輸出企業にとって円安は売上が増加して業績にプラスになるため、株価の上昇要因の1つとなります。

たとえば、トヨタなどの自動車メーカーが米国で3万ドルの車を販売する場合、1米ドル=100円だと売り上げは300万円(3万ドル×100円)ですが、1米=110円になると330万円(3万ドル×110円)になるからです。一方、1米ドル=90円になると270万円(3万ドル×90円)に減ってしまいます。

1-2.輸入企業

海外からモノを輸入する場合、コストは円安になると増え、円高になると減ります。ですから、輸入企業にとって円高はコストが減少して業績にプラスの影響を与えるため、株価の上昇要因の1つとなります。

たとえば、輸入企業が米国から2万ドルの商品を輸入する場合、1米ドル=100円なら200万円のコスト(2万ドル×100円)ですが、1米ドル=90円なら180万円(2万ドル×90円)で済むのです。

ただし、1米ドル=110円の円安になると、コストが220万円(2万ドル×110円)になるので、業績にマイナスの影響を与えます。

2.企業の想定為替レートを参考にする

株価と値動きが関係ある要素として、各企業が設定をする「想定為替レート」があります。想定為替レートとは、輸出入企業が業績の見通しや事業計画を決める時、事前に決めておく為替レートのことです。通常、年初に年間の為替相場を予測した上で、その事業年度の想定為替レートを設定しておきます。

たとえば輸出企業の場合、期間中に想定為替レートより円安に進むと為替差益が発生するので、収益上昇要因になります。逆に円高が進めば為替差損が発生するので、収益が押し下げられるのです。

3.円安・株高の連動が薄れている

ただ、日本株全体でみると円安が必ずしも株高にならなくなってきています。日本企業の生産体制が変化しているからです。2000年代まで、家電などの輸出企業は国内生産が中心で、円安により海外向け製品を値下げすれば輸出数量を増やすことができました。しかし2010年代以降は半導体製造装置や画像センサーなど高付加価値の受注生産が主力となり、安ければ多く売れるというわけではなくなったのです。

アベノミクスが始まった2012年12月以降、とくに「円安=株高」という関係が続いていました。円安により日本企業の輸出が増え、業績が改善すると考えられていたからです。しかし実際は、期待していたほど輸出は増えず、「円安=株高」という構図は崩れかかっています。

一方、輸入企業にとっては円安に伴うコスト増加が、企業業績に打撃を与えます。円安による株価上昇というよりも、円安による輸入企業の業績悪化という「悪い円安」というイメージがでてきているのです。

足元では米国金融政策の正常化により、円安・ドル高が進みやすい地合いとなっています。しかし、円安=株高という構図が崩れつつある中、日本企業は国際競争力を高めていかなければ株価が上がりにくい状況になっているのです。

4.外国株に投資するときは「為替変動リスク」に注意

米国株など海外の株や金融商品に投資する場合は、為替変動リスクに注意が必要です。外国株を購入した時よりも決済した時に円安になっていれば「為替差益」になりますが、円高になっていると「為替差損」になるからです。外国株が投資対象として魅力に映っても、為替変動リスクを考えておかないといけないのです。

また、外国人投資家は、円建て資産への投資は自国通貨ベースで有利になるので円高を好む傾向にあります。しかし円高が進むと運用資産のうち円資産の占める割合が大きくなるので、日本株を売って調整する動きがしばしば見られます。

このように、為替相場の動きによって外国人投資家の日本株への投資行動にも変化がでてくるので、状況に応じた判断が必要になるのです。

まとめ

アベノミクス以降、「円安=株高」という構図が続いてきました。ただ、そうした関係にも変化がでてきています。為替と株の連動性は時期によって変わるので、どのような関係にあるのかを状況に応じて判断するようにしてください。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011