不動産投資、サブリース契約のメリット・デメリットは?契約時の注意点も

サブリース契約は契約期間中の家賃収入が一定となり、空室による収益減のリスクをなくせるメリットがあります。しかし、契約内容によっては不動産会社から一方的に契約解除ができるケースもあるため、契約時には慎重に検討することが大切です。

本記事では、サブリース契約のメリット・デメリットを整理し、契約時にオーナーが注意すべき点について解説します。

目次

  1. サブリース契約とは
  2. サブリース契約のメリット
    2-1.家賃収入が一定になる
    2-2.賃貸管理業務の大半を任せることができる
    2-3.入居者との間で生じうるリスクを回避できる
    2-4.融資が受けやすくなることがある
  3. サブリース契約のデメリット
    3-1.収益性が下がる
    3-2.保証賃料は減額されることがある
    3-3.オーナーが負担する費用もある
    3-4.中途解約や業者が倒産することもある
  4. サブリース契約時の主な注意点
    4-1.保証家賃の金額
    4-2.賃料見直し期間
    4-3.免責期間
    4-4.修繕費用の負担
    4-5.解約条件
  5. まとめ

1.サブリース契約とは

サブリース契約では、サブリース業者が物件のオーナーとマスターリース契約を締結し、オーナーに定額の賃料を支払います。サブリース業者は、オーナーから借り上げた物件を転貸借し、入居者と転貸借契約を締結して賃料を得るという仕組みになります。

サブリース業者は、オーナーに家賃保証をするほか、入居者の募集、入居審査、トラブル対応、退去立ち会いなどの管理業務をおこないます。

通常の管理委託と異なる点は、オーナーが直接入居者と賃貸借契約を締結しないため、物件管理や賃貸経営に関する日常的なリスクをサブリース業者が担うという特徴があります。その一方、オーナーに入る賃料は通常の管理委託に比べて少なくなります。

2.サブリース契約のメリット

サブリース契約のメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 家賃収入が一定になる
  • 賃貸管理業務の大半を任せることができる
  • 入居者との間で生じうるリスクを回避できる
  • 融資が受けやすくなることがある

以下、それぞれについて解説します。

2-1.家賃収入が一定になる

サブリース契約では、家賃収入が一定になるというメリットがあります。

サブリース業者が転貸している部屋が空室であったり、あるいは、入居者が家賃を滞納したりしていたとしても、オーナーにはサブリースのマスターリース契約に基づき、毎月一定の家賃が入ってきます。

賃貸経営のリスクのうち、空室リスクと滞納リスクを回避することができるという点は、オーナーにとって大きなメリットであるといえるでしょう。

2-2.賃貸管理業務の大半を任せることができる

サブリース契約では、入居者の募集、入居審査、トラブル対応、契約の更新や退去の立ち会いなど、日常的な賃貸管理業務をすべてサブリース業者に任せることができます。

不動産投資を副業としておこなう場合や、不動産投資初心者である場合、プロに任せることができるメリットは大きいと言えるでしょう。オーナーの行う業務は、サブリース業者からの入金チェックと確定申告が基本になります。

ただし、大規模修繕や原状回復の費用などは、契約内容によってはオーナー負担となります。賃貸経営の観点から、どれぐらいの支出をかけてどの程度の修繕をおこなうのか、などの判断をする必要があります。

2-3.入居者との間で生じうるリスクを回避できる

サブリース契約では、入居者と賃貸借契約を結ぶ相手方はサブリース業者になります。入居者との間で、建物管理や修繕負担などについてトラブルが生じた場合であっても、原則、オーナーがトラブルの当事者になることはありません。

マンションなどの集合住宅の賃貸経営では、多数の入居者が入退去を繰り返すなかで、マナーやモラルの低い入居者が入居する可能性もあり、そのような入居者とのトラブルに巻き込まれるリスクを回避できるのはメリットといえます。

2-4.融資が受けやすくなることがある

サブリース契約の物件で融資を受ける場合、通常の賃貸物件よりも収益が予測しやすいとみなされ、融資が受けやすいことがあります。ただし、賃貸物件の資産性やオーナーの属性によっては融資条件に影響を及ぼさない可能性もあるため、ケースバイケースとなります。

3.サブリース契約のデメリット

サブリース契約のデメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 収益性が下がる
  • 保証賃料は減額されることがある
  • オーナーが負担する費用もある
  • 中途解約や業者が倒産することもある

以下、それぞれについて解説します。

3-1.収益性が下がる

サブリース契約では、入居者の支払う賃料がいったんサブリース業者の下に入金されます。その賃料から、オーナーとのマスターリース契約に基づきオーナーに支払われる賃料の割合は、集金代行を兼ねた委託管理の場合よりも低く抑えられることになります。

また、サブリース契約では、礼金や更新料などもサブリース業者が受け取ることが多く、通常の委託管理の場合よりも収益性が落ちることになります。

3-2.保証賃料は減額されることがある

サブリース契約では、マスターリース契約の契約途中において、サブリース業者から賃料の減額を求められることがあります。例えば、2年ごとの定期的な家賃見直しが定められているケースも少なくありません。

また、マスターリース契約に賃料保証、賃料は減額できないなどの特約がある場合であっても、サブリース業者には借地借家法に基づいて、家賃の減額を請求する権利があります。

3-3.オーナーが負担する費用もある

サブリース契約では、外壁の補修や防水工事などの大規模修繕費については、多くの場合オーナーが負担することとなっています。その他、入居者の入れ替わりに伴って発生する原状回復費は、サブリース業者が負担する場合もありますが、契約によってはオーナーが負担するケースもあります。

修繕費用は不動産投資を検討する際に重要なポイントの一つです。サブリース契約を締結する際は、事前にサブリース業者とオーナーの費用分担を確認するようにしましょう。

3-4.中途解約や業者が倒産することもある

サブリース契約では、契約書にサブリース業者から中途解約ができる旨の規定があるときは、契約期間の途中であっても解約されるおそれがあります。

転貸借による賃料収入がオーナーとのマスターリース契約における賃料を下回るなど、採算が取れなくなった場合、途中解約される可能性があります。他方、オーナー側からの解約は借地借家法上の正当事由が必要であり、非常に難しいといえます。

また、サブリース事業者が倒産するリスクもあります。サブリース業者が倒産した場合、業者が預かっていた資金やオーナーに未払いの賃料などは、回収できないおそれもあります。

4.サブリース契約時の注意点

上述してきたサブリース契約のメリット、デメリットを踏まえ、サブリース契約を結ぶ前に確認したい注意点として、次のような点が挙げられます。

  • 保証家賃の金額
  • 賃料見直し期間
  • 免責期間
  • 修繕費用の負担
  • 解約条件

以下、それぞれについて解説します。

4-1.保証家賃の金額

保証家賃の金額が相場と比較して適正かどうか、は確認したいポイントの一つといえます。

保証家賃の相場は、物件の家賃相場の80~90%程度です。保証率が明確にされていない場合は同条件の物件の周辺家賃相場をポータルサイトで確認し、保証率を推計してみましょう。

保証家賃が相場と比較して低い場合は、収支が悪化する可能性も考えられます。保証家賃が低い理由を確認し、サブリース契約を再検討してみましょう。

4-2.賃料見直し期間

サブリース契約には、保証家賃の見直しがあるケースが大半であるといえます。契約書に記載されている見直しの周期や下げ幅を確認し、減額されても不動産投資の収支が赤字にならないよう、投資計画を立てるようにしましょう。

4-3.免責期間

サブリースのマスターリース契約では、契約開始時や退去があった場合の新たな募集時など、入居者募集にかかる期間を考慮して、オーナーへの家賃支払義務の免責期間あるいは、減額期間を設けていることが多くなっています。

契約時には、家賃支払義務の免責期間や減額期間、減額条件を確認し、不動産投資の収支計画に盛り込むようにしましょう。

4-4.修繕費用の負担

サブリース契約では、大規模修繕の費用や原状回復費用など、賃貸物件の修繕費用の一部をオーナー負担としていることが多いため、オーナー負担部分の範囲はどこまでなのか、契約書の記載を確認しましょう。

特に外壁や防水工事などの大規模修繕の費用は、高額支出となるため、不動産投資の収支に大きな影響が発生します。あらかじめ、計画的に積み立てるなどすることも検討しましょう。

4-5.解約条件

サブリース契約では、中途解約の条件を特約として設けていることがあります。中途解約の条件について、解約できない期間と解約予告期間、解約できる事由、違約金などについて確認しておきましょう。

契約上、オーナーからの中途解約条項を定めていない場合、借地借家法が適用されますが、借地借家法では、オーナー側からのサブリース契約の中途解約はかなり難しくなります。

オーナー側からはどのような場合に解約できるのか、契約前に確認しておくようにしましょう。

まとめ

サブリース契約は、家賃収入が一定となり、入居者との間で生じうるリスクを回避できるなどのメリットがある一方、収益性が下がり、保証賃料の減額やオーナー負担の修繕費の発生などのデメリットもあります。

このように、不動産投資でサブリース契約を検討する際は、リスクを抑えることができるものの、投資効率が下がるため、収支シミュレーションを慎重におこなうようにしましょう。

収支シミュレーションをおこなうにあたって、サブリース契約上の保証家賃の金額、賃料見直しの期間、免責期間、修繕費用の負担、解約条件に注意するようにしましょう。

【関連記事】サブリース新法、従来のサブリース契約との違いは?注意点や今後の影響も

The following two tabs change content below.
佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。