不動産投資と聞くと、賃貸住宅やオフィスビル、テナントビルを想定する方が多いのではないでしょうか。これらに加えて、最近ではクラウドファンディングやREIT(不動産投資信託)を通して「物流施設」への投資が簡単にできるようになりました。
今回は物流不動産投資の概要や特徴、メリット、デメリット、実際の投資方法などについて紹介します。物流不動産投資に興味がある方は参考にしてください。
※この記事は2021年7月11日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 物流不動産投資とは
- 物流不動産の特徴
- 物流不動産投資のメリット
3-1.物流不動産市場の成長が期待できる
3-2.物流施設の更新時要が期待できる
3-3.収入が見込みやすい - 物流不動産投資のデメリット
4-1.個人による投資が難しい
4-2.テナントが退去する可能性がある - 物流不動産への投資方法
5-1.物流施設に特化したクラウドファンディングへの投資
5-2.CRE Fundingの利用手順
5-3.物流施設に投資を行うREITへの投資
5-4.REITの利用手順 - まとめ
1.物流不動産投資とは
物流不動産投資とは、商品などを保管する場所として利用される倉庫・物流センターなどの物流施設に対して投資をすることをいいます。
コロナ禍において対面のサービスに規制が掛かるなか、年々インターネット通販による物流の重要性は増していると言えます。インターネットを介した小売り市場(EC市場)では、販売用の商品を保管したり、スムーズに出荷したりすることが重要となります。
特に、高速道路の出入口に近い好立地に、免振や耐震、業務効率向上のための設備を備え、環境にも配慮している先進的な賃貸型大型物流施設に対する需要も増加傾向にあります。物流不動産投資はこのような物流施設に対して投資を行い、賃料収入を得ることを目的としています。
2.物流不動産の特徴
物流不動産とは、先進的な大型倉庫を活用したビジネスモデルです。いくつかの企業が集まり、お互いの役割を決めたうえで、それぞれがWin-Winとなるような仕組みを構築しています。
ディベロッパーは投資家から資金を募って近代的な大型物流倉庫を建設もしくは取得します。その施設において、3PL企業(3rd Party Logistics)が商品の調達、荷揃え、出荷、配送などの物流サービスをワンストップで提供します。
多くの企業で物流業務がアウトソーシング(外注)されており、EC市場に参入している企業は物流業務をサービスとして受けます。
新しい物流施設ではオペレーションの可視化や商品と情報の一体化、リードタイムの縮小などが可能となり、業務効率のアップとコストダウンを期待できます。
このように、建設・取得した大型物流施設を貸したり、施設での物流サービスを提供したりすることで利益を狙うのが、物流不動産のビジネス形態となります。
3.物流不動産投資のメリット
物流不動産への投資には下記のメリットがあります。
- 物流不動産市場の成長が期待できる
- 物流施設の更新需要が期待できる
- 収入が見込みやすい
3-1.物流不動産市場の成長が期待できる
新型コロナウィルスの影響により、さまざまな業界が打撃を受けています。そのなかで、市場規模・売上ともに拡大を見せるのがEC市場(イーコマース)です。
スマートフォンの普及によって、Amazonや楽天といったEC市場は拡大し続けています。また、新型コロナウィルスにより「買い物に出掛けづらい状況」ができたことから、より多くの方がインターネット通販を利用するようになっています。
日本のEC市場の市場規模は2019年時点で約19兆円であり、ここ10年で約2.5倍に拡大している状況です。また、物販に限った場合でも市場規模は約10兆円です。
一方で、モノの移動を伴う物販系のEC化率は約7%で、今後はさらに上昇すると見込まれています。EC市場の拡大やEC化率の上昇に伴い、物流施設に対する需要はさらに高まり、物流不動産市場の成長が期待できると考えられます。
3-2.物流施設の更新需要が期待できる
物流不動産への投資に欠かせないのが、在庫管理や仕分けなどを行う「先進的物流施設」です。先進的物流施設が日本に導入されたのは2002年頃で、これ以降、物流施設を賃貸するというスタイルが定着することになります。
一方で、耐震基準を満たさない旧耐震基準(1981年6月以前の耐震基準)の倉庫も存在しています。仮に耐震化・免振化されていたとしても、建設から40年以上経過していることになります。
現在の物流施設に求められる設備を備えていないケースもあり、老朽化による更新需要が今まで以上に発生する可能性があります。施設そのものの建替え需要があるということも、物流不動産のメリットと言えます。
3-3.収入が見込みやすい
通常の物件(住宅・オフィス・テナントなど)と比較して、物流施設は規模が大きく、契約期間も長くなる傾向にあります。この背景には、倉庫を利用するのは大規模な法人であること、エリアの制限があること、競合する物件が少ないことなどが要因として挙げられます。
また、施設を拠点としてビジネスが展開されるため、他の業種と比較してテナントの入れ替えが少ないという特徴があります。そのため、物流不動産は収入が見込みやすく、他の不動産物件への投資と比べて低リスクな運用が期待できます。
4.物流不動産投資のデメリット
一方で、物流不動産への投資には下記のデメリットがあります。
- 個人による投資が難しい
- テナントが退去する可能性がある
4-1.個人による投資が難しい
物流施設は小さいもので数億円から数十億円、大きな施設なら数百億円規模となります。そのため、個人投資家が1人で投資しようとしても、資金的にかなり厳しいと言えるでしょう。
ただし、個人投資家でも物流不動産に投資できる方法がいくつかあります。詳細は「物流不動産への投資方法」にて詳しく解説していきます。
4-2.テナントが退去する可能性がある
物流施設は他の業種と比較してテナントの入れ替えが少ないというのは、前述した通りです。しかし、テナントが永遠に入居を続けるわけではないため、賃料収入が途絶えてしまう可能性があります。
物流施設のネガティブな特徴として、差別化が難しいということが挙げられます。仮に、近隣に最新設備を備えた物流施設ができた場合、テナントが流れてしまう可能性があり、代替テナントをすぐに見つけるのも難しくなってきます。
また、物流施設は「物流における利便性」にフォーカスしているため、その土地自体の価値が高くなく、他の用途への変更にも適さないケースがあります。
需要が多く一定の利益が見込めるとはいえ、盤石というわけではないことを理解しておきましょう。
5.物流不動産への投資方法
前述したように、個人投資家が1人で物流施設への投資や、物流施設による資産運用を行うのは難しいといえます。数億円から数百億円という規模の資金的な問題があり、なおかつテナントとの信頼関係も構築する必要があるためです。
一方で、下記の方法なら個人でも容易に物流不動産に投資することができます。それぞれ詳しく見て行きましょう。
- 物流施設に特化したクラウドファンディングへの投資
- 物流施設に投資を行うREITへの投資
5-1.物流施設に特化したクラウドファンディングへの投資
近年、クラウドファンディングによって不動産に投資できるサービスが増加しています。
なかでも、物流施設に特化したクラウドファンディングサービスを提供している「CRE Funding」を利用すれば、個人でも物流不動産に投資することができます。
CRE Funding
CRE Fundingは物流不動産への投資ができる不動産投資型クラウドファンディングサービスです。2社が運営に携わっており、案件を組成しているのは、東証プライム上場企業である株式会社シーアールイーです。
株式会社シーアールイーは、主にCRE Funding上で運営される案件の組成を行い、サイト上で募集を行っています。東証プライム上場企業が直接運営に携わっているソーシャルレンディングサイトは、このCRE Fundingだけです。CREグループでは、物流施設をメインとした不動産管理・実物不動産投資・不動産私募ファンド運用などを手掛けており、過去の運用実績も豊富です。
一方、運営会社のFUEL株式会社がファンド組成の審査や運用中のモニタリングを行い、透明性の高い投資環境と幅広い投資期間を提供しています。1口1万円から投資可能で、3ヶ月~12ヶ月程度の短期的な運用期間であることから、物流不動産への気軽な投資が可能となっています。
5-2.CRE Fundingの利用手順
CRE Fundingへの投資は下記の手順にて行います。
- 会員登録
- 口座開設
- ファンドへの投資
会員登録
CRE Fundingの会員登録ページから会員登録を行います。[無料で登録する]ボタンからメールアドレスを登録しましょう。登録したメールアドレスに確認メールが届きますので、記載されたURLをクリックして登録完了です。
口座開設
次に、口座開設の申請を行います。申請者の氏名や住所、出金用の振込先などの入力、本人確認書類、マイナンバーカード画像のアップロードを行いましょう。
運営会社が内容を確認し次第、登録住所へ「ウェルカムレター」(簡易書留郵便)が送付されます。ハガキを受け取った時点で口座開設が完了します。
ファンドへの投資
口座開設完了後は投資口座への入金を行い、投資したいファンドを選定して申し込みます。投資ができれば、運用期間中のスケジュールに沿って分配や償還が実施されます。
5-3. 物流施設に投資を行うREITへの投資
物流施設に投資を行うREIT(上場投資信託)への投資によって、物流不動産投資が可能です。物流施設への投資に特化、または物流施設を含む不動産に投資するREIT銘柄は下記の通りです。
- 東海道リート投資法人(2989)
- 大和ハウスリート投資法人(8984)
- 日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)
- 東急リアル・エステート投資法人(8957)
- オリックス不動産投資法人(8954)
- 伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人(3493)
- CREロジスティクスファンド投資法人(3487)
- 三菱地所物流リート投資法人(3481)
- 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)
- スターアジア不動産投資法人(3468)
- ラサールロジポート投資法人(3466)
- 野村不動産マスターファンド投資法人(3462)
- 日本プロロジスリート投資法人(3283)
- GLP投資法人(3281)
- 産業ファンド投資法人(3249)
- SOSiLA物流リート投資法人(2979)
(2021年7月時点)
REITは1口から投資可能で、基準価額が最低投資額となります。2021年7月7日現在では、1口6万円程度から60万円程度で投資できます。
5-4.REITの利用手順
REITへの投資は下記の手順で行います。
- REIT取引を行う証券会社を選ぶ
- 証券口座を開設する
- 入金して投資をする
REIT取引を行う証券会社を選ぶ
REITへの投資を行うために、証券会社を選びます。REITは株式のように売買されている(上場投資信託)ため、基本的にどの証券会社を選んでも取引可能です。そのため、取引手数料の安さや情報量の多さ、普段利用している銀行口座との連携などを考えて償還会社を選びましょう。
三井住友銀行と連携できる「SMBC日興証券」や、住信SBIネット銀行と連携できる「SBI証券」などのネット証券であれば、PCやスマホから簡単に取引を行うことができるうえ、取引手数料も割安になっています。下記の記事でネット銀行と連携できるネット証券会社5社をまとめていますので、まだ口座を開設されていない方は併せてご参考下さい。
【関連記事】ネット証券とネット銀行を連携するメリットは?ネット証券会社5社を比較
証券口座を開設する
証券会社を選んだら口座開設の手続きを行います。氏名や住所などの情報の記載と本人確認書類・マイナンバーカードの提出(画像のアップロード)などが必要になります。
申込みを終えたあと、自宅にハガキが送付されてきます。その内容に沿ってコード入力やマイページログインなどを行うことで口座開設が完了します。
入金して投資をする
開設した証券口座に投資資金を入金します。後は、投資したいREITを選択して購入すればREITへの投資が可能です。
【関連記事】REIT(リート)投資のメリット・デメリットは?配当の仕組みや注意点も
【関連記事】REIT(リート)の始め方は?初心者でも分かる投資手順や銘柄選びを解説
まとめ
今回は物流不動産投資の概要やメリット・デメリット、実際の投資方法などについて紹介しました。物販のEC化が進む日本において、物流施設への需要は増加傾向にあり、投資対象として注目する方も少なくありません。
物流施設に特化したクラウドファンディングやREITなどへ投資することで、個人では難しかった物流不動産への投資が可能です。興味のある方は、まずは物流不動産投資の運用の仕組みなど情報収集など行い、検討してみましょう。
山本 将弘
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