口座開設の迅速さや取引手数料の安さからネット証券を利用する方は多く、またネット銀行と連携させると手数料がさらに優遇されたり、ポイントが貯まったりと各種特典やサービスが受けられるので、両方の組み合わせが人気の資産管理方法の一つとなっています。
ただし、ネット証券とネット銀行をセットにする場合、闇雲に選ぶのではなく、連携するメリットや優遇サービスのある組み合わせの中から選ぶことが重要です。
そこでこの記事では、おすすめのネット証券とネット銀行の組み合わせや、組み合わせるメリット、優遇されるサービスについて詳しくご紹介します。手数料をさらに安くしたい方、口座間の取引の手間をなくしたいという方はご参考ください。
目次
- ネット証券とネット銀行を連携させると何がお得?
- 楽天証券+楽天銀行
2-1.自動入出金で手間も手数料もかからない
2-2.金利が優遇される
2-3.楽天スーパーポイントが貯まる - SMBC日興証券+三井住友銀行
3-1.資金移動がスピーディーに行える
3-2.資産管理が簡単に行える
3-3.手数料が優遇される - SBI証券+住信SBIネット銀行
3-1.預金残高が証券口座の買付余力に反映される
3-2.優遇金利で毎月利払いがある
3-3.資産管理が簡単に行える - 松井証券+他ネット銀行
5-1.ネットリンク入金
5-2.らくらく振替入金 - マネックス証券+他ネット銀行
6-1.即時入金サービス - まとめ
1 ネット証券とネット銀行を連携させると何がお得?
ネット証券の強みは取引手数料の安さなどにありますが、頻繁に取引をすれば手数料も大きな負担になり、手間も増えます。しかし、同系列の証券会社および銀行の口座を連携させることで、手数料や金利が安くなったり、入出金がスピーディーにできたりと、資金管理の手間を減らすことができます。
証券口座の残高が不足すれば、連携先の銀行口座から自動的に充当されるサービスなどもあるので、いざという時にも便利です。特に投資面では、証券口座にある証拠金残高や待機資金の銀行預金残高は、一つのサイトで両方の情報を把握できると管理も楽になります。
このように、ネット証券とネット銀行の連携は資産運用や投資を行う際のメリットが大きいのが特徴です。以下では手数料等が安くなるお得な「ネット証券+ネット銀行」の組み合わせをご紹介します。
- 楽天証券+楽天銀行
- SMBC日興証券+三井住友銀行
- SBI証券+住信SBIネット銀行
- 松井証券+他ネット銀行
- マネックス証券+他ネット銀行
2 楽天証券+楽天銀行
楽天グループでは、楽天証券と楽天銀行の口座を連携させる「マネーブリッジ」というサービスを提供しています。マネーブリッジの登録をすると以下のようなサービスを受けることができます。
2-1 自動入出金で手間も手数料もかからない
マネーブリッジで自動入出金の設定をしておくと、楽天証券の口座残高が足りなくなった時に楽天銀行の口座から自動的に入金されます。取引の都度、証券口座の残高を確認して銀行口座から資金を移し替えるという手間を省くことができるので、資産管理が便利になります。
さらに、楽天証券の取引口座で待機している遊休資金も、楽天銀行の口座に自動で出金することができ、手数料は無料です。
2-2 金利が優遇される
楽天銀行の普通預金に優遇金利が適用されます。楽天銀行の普通預金金利は年0.02%ですが(2020年5月8日時点)、マネーブリッジの登録をすると年0.10%と金利が優遇されます。
2-3 楽天スーパーポイントが貯まる
楽天スーパーポイントは楽天グループが提供する共通ポイントで、楽天市場での買物や楽天トラベルの利用などで使うことができ、貯まったポイント数と楽天銀行残高により、楽天銀行のATM手数料が無料になるなどの特典があります。
楽天スーパーポイントは、楽天証券での取引に応じて楽天銀行のハッピープログラムにより付与されます。例えば、国内株式(現物買い・売り、信用新規・返済)や外国株式は、手数料100円ごとに1ポイントが付与され、投資信託は残高10万円ごとに4ポイントが付与されます。
ただし、ポイント付与を受けるためには、マネーブリッジへの申込みに加えて、楽天銀行のハッピープログラムにエントリーする必要があります。
3 SBI証券+住信SBIネット銀行
SBI証券と住信SBIネット銀行は、「SBIハイブリッド預金」という円預金口座で、以下のような優遇サービスを受けることができます。
3-1 預金残高が証券口座の買付余力に反映される
SBIハイブリッド預金の口座残高は、SBI証券口座での買付余力に自動的に反映し、株式・債券・投資信託などの取引に利用できます。取引の清算は、SBIハイブリッド預金とSBI証券口座との間で自動的に資金振替が行われます。
また、株の信用取引で証券口座残高が不足する場合、SBIハイブリッド預金から不足資金が自動的に充当されます。
3-2 優遇金利で毎月利払いがある
SBIハイブリッド預金は、金利面でも優遇されます。2020年5月8日時点における住信SBIネット銀行の普通預金金利は年0.001%(税引前)ですが、SBIハイブリッド預金では年0.010%(税引前)と金利が優遇されています。
3-3 資産管理が簡単に行える
SBIハイブリッド預金では、銀行のサイト上で証券口座の残高を確認することができるので、それぞれの口座残高は個別に確認する必要がなく、資産管理の手間が減ります。
4 SMBC日興証券+三井住友銀行
SMBC日興証券と三井住友銀行では、「バンク&トレード」という口座連携サービスを提供しています。バンク&トレードを申し込むと手数料が優遇されたり、資金移動や資産管理が簡単に行えたりするメリットがあります。
4-1 資金移動がスピーディーに行える
通常の株取引では、証券口座の残高が不足した場合、銀行口座などから手動で資金を振り替える必要があります。
しかし、バンク&トレードでは、取引中にSMBC日興証券の口座残高が不足すると、三井住友銀行の口座から自動的に入金されるため、証券口座の残高確認や銀行口座から充当する手間がなくなります。さらに銀行口座からの入金や証券口座からの出金も即時に行うことができます。
4-2 資産管理が簡単に行える
SMBC日興証券と三井住友銀行の口座残高は、それぞれのサイトにログインして確認する必要がありますが、バンク&トレードを申し込めば両口座の残高や残高推移、商品別の残高状況を一つの画面で確認できるので便利です。
4-3 手数料が優遇される
バンク&トレードを申し込むと、SMBC日興証券の手数料も優遇されます。例えば、ダイレクトコースで投資信託の積立を行う「投信つみたてプラン」では、引落金額が10万円以下の場合、申込手数料が無料になります。
また、総合コースで株式投資を行う「日興イージートレード信用取引」では、株式委託手数料が支店取引の75%割引となります。
5 松井証券+他ネット銀行
松井証券では、証券口座への入金をスピーディーに行うため、各金融機関と連携して「ネットリンク入金」や「らくらく振替入金」などのサービスを提供しています。
5-1 ネットリンク入金
ネットリンク入金では、提携先の金融機関の口座から松井証券の証券口座にリアルタイムで振込入金ができます。パソコンまたはスマホのサイトから手続きを行うことで、振込手数料が無料でリアルタイムに資金移動ができます。
利用できる金融機関は、ゆうちょ銀行やみずほ銀行などメガバンクをはじめ、楽天銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀行合わせて17行です。
・ネットリンク入金が可能な金融機関(2020年5月8日時点)
- ゆうちょ銀行
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
- ジャパンネット銀行
- セブン銀行
- ソニー銀行
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
- auじぶん銀行
- イオン銀行
- スルガ銀行
- 京都銀行
- 関西みらい銀行
- 福岡銀行
なお、このネットリンク入金を利用するには、提携先の金融機関でインターネットバンキングの契約が必要です。
5-2 らくらく振替入金
らくらく振替入金では、提携先の金融機関の口座から松井証券の証券口座にリアルタイムで振込入金ができます。ネットリンク入金と同様に、パソコンまたはスマホのサイトから利用可能金融機関と口座振替契約を結ぶことで、振込手数料無料でリアルタイムに資金を移動することができます。
なお、利用できる金融機関は、みずほ銀行や三菱UFJ銀行などのメガバンク4行で、ネット銀行は含まれていません。
6 マネックス証券+他ネット銀行
マネックス証券では、証券口座への入金の便宜を図るため、各金融機関と連携して「即時入金サービス」を提供しています。即時入金サービスでは、提携先の金融機関の口座からマネックス証券の証券口座にリアルタイムで振込入金ができます。
即時入金サービスを利用するには、初回利用時のみ利用可能金融機関と口座振替契約を結ぶ必要があります。利用できる金融機関は、三菱UFJ銀行や三井住友銀行などのメガバンク、楽天銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀行合わせて16行です。なお、振込手数料は無料です。
- ゆうちょ銀行
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
- ジャパンネット銀行
- ソニー銀行
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
- auじぶん銀行
- イオン銀行
- 香川銀行
- 静岡銀行
- 荘内銀行
- 北都銀行
まとめ
ネット証券とネット銀行(一部ネット銀行以外も含む)を連携させることで受けられるメリットやサービスについて見てきました。ネット証券とネット銀行との連携サービスによる優遇措置を一覧表にすると、以下の通りです。
リアルタイム | リアルタイム | リアルタイム(証券口座の遊休資金は銀行口座に自動出金) | リアルタイム(入金のみ) | リアルタイム(入金のみ) | |
手数料・金利優遇 | SMBC日興証券の手数料が優遇 | SBIハイブリッド預金金利が優遇 | 普通預金金利が優遇 | − | − |
資産管理 | 1つのサイトで証券口座・銀行口座双方の情報閲覧可 | 1つのサイトで証券口座・銀行口座双方の情報閲覧可 | 1つのサイトで証券口座・銀行口座双方の情報閲覧可 | − | − |
追証補填(証券口座残高不足時) | 自動補填 | 自動補填 | 自動補填 | − | − |
その他 | − | − | 楽天銀行のハッピープログラムにエントリー=取引に応じて楽天スーパーポイント付与 | ・ネットリンク入金=メガバンク・ネット銀行など17行 ・らくらく振替入金=メガバンク4行 |
即時入金サービス=メガバンク・ネット銀行など16行 |
基本的に証券会社と銀行の口座は別々の企業のものでも問題ありませんが、同一グループなどの連携を図れる組み合わせにすると、スピーディーな入出金、手数料・金利などの優遇措置、資金管理、追証補填など多くのメリットを享受することができます。
手数料の負担や取引の手間をなるべく軽くしたいという場合は、ネット証券とネット銀行の連携を検討してみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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