不動産投資に興味はあるが、資金がないのでなかなか始められない。そして、融資を受けて投資を始めるのは怖いと考える方も、多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方でも少額の自己資金で始められる投資商品として、REIT(リート)があります。実際の不動産投資よりも手軽に始めることが可能ですが、投資である以上、最低限知っておきたい知識や注意点があります。
そこで今回は、REIT投資に興味を持たれている方向けに、投資を実際に始める前に知っておきたい基礎知識についてお伝えしていきます。
目次
- REIT(リート)とはどのような投資商品なのか
1-1.REITは証券市場に上場している
1-2.REITを運営する組織とは
1-3.REITの配当の仕組み
1-4.REITの価格はどのように決まるのか - REITのメリット
2-1.少額から投資が可能である
2-2.証券市場で自由な売買が可能である
2-3.分散投資が可能である
2-4.プロが不動産を運用してくれる - REITのデメリット
3-1.相場の変動が激しい
3-2.災害リスクなどの影響がある
3-3.運営法人の倒産の可能性がある - 主なREITの種類
- 東証REIT指数とは
- まとめ
1.REITとはどのような投資商品なのか
まず、REITとは具体的にどのような投資商品であるのか、その概要について説明していきます。
1-1.REITは証券市場に上場している
REIT(リート)とは不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の略称です。また、日本国内で運営されているREITは、JAPANのJをつけてJ-REITとも呼ばれます。
REITは運営会社が投資家から資金を集め、その資金でオフィスビルやマンション、テナントといった不動産を購入し、購入した不動産の運用によって得られた利益を投資家に分配します。
法律上では投資信託の1つに数えられ、日本では2001年から証券取引所でREITの売買が行われるようになりました。
1-2.REITを運営する組織とは
REITの運営にあたっては、REITの運用を行う不動産投資法人が設立され、証券化されたREITは証券市場に上場し、取引が行われます。証券市場に上場しているため、REITは一定の流動性を持ち、売買を通じて価格の変動が発生しています。
REITを運営する不動産投資法人が投資証券を発行し、投資証券が証券市場で売買されるようになります。つまり、投資家はREITの投資証券を購入することで投資に参加することとなります。
REITを運営するのは不動産投資法人ですが、意思決定のための役員会が設置されるのが通例です。また、REITがどのような不動産を購入し、どのように利益を上げていくかを決定するための場として、株式会社の株主総会の該当する投資主総会が運営されます。
投資家は投資主総会に参加することで、REITの運営に意見を述べることができますが、実質的なREITの運営を不動産投資法人自体が行うことは、法律で禁止されています。
そのため、REITが不動産を運営する際には不動産を運用する不動産運用会社、預かった資産を保管する資産保管会社、そして会社の事務手続きなどを行う事務委託会社が分担して実務に携わります。
1-3.REITの配当の仕組み
次に、REITの投資によって投資家がどのように利益を得ていくのか見て行きましょう。
REITの運用益は、不動産物件を運営することで得られた利益が元となります。投資家への分配金の支払いは年2回決算期に行われますが、REITの種類によっては配当が年に1回のものがあります。
またREITと一般の株式会社では、配当される配当金の割合に大きな違いがあります。
通常の株式会社では、最初に会社が得た所得に対して法人税が課せられます。そして、会社は一定の内部留保を行い、利益の一部が株主への配当金に充てられます。
一方でREITの場合、収益の90%以上を分配すれば法人税が課税されない仕組みになっています。このため、REITを運営して得られた利益のほとんどが投資家に分配されやすくなっています。
このように、法人税や内部留保がない分不動産投資で得た利益が投資家に配当されやすい仕組みになっているため、REITの配当率は株式の配当よりも高くなっています。
1-4.REITの価格はどのように決まるのか
REITは「投資証券」として証券取引所に上場しているため、価格は投資家の需要と供給で常に変動しています。
証券取引所での売買で価格が変動するため、株式取引と同じく売買の価格差によるキャピタルゲインを狙うことも可能になっています。
2.REITのメリット
それでは、REITへの投資でどのようなメリットがあるのか確認してみましょう.
2-1.少額から投資が可能である
REITは10万円から100万円前後の価格で売買されています。実物の不動産を購入する場合、フルローンやオーバーローンの融資を受けない限り100万円以上の資金が必要となりますが、REITは比較的少額の手元の現金資産で投資できる点はメリットと言えるでしょう。
2-2.証券市場で自由な売買が可能である
REITは証券市場に上場しているため、証券市場内で売買が可能です。
一方、実物不動産の場合では所有権の移転登記や資金調達、売主買主との交渉など、様々な過程を経て売買を行うため、現金化に時間がかかる流動性の低い投資方法となります。
REITは実物に比べて資産の流動性が高く、現金化も容易のため、急な現金が必要になった場合に売却することができるメリットがあります。
2-3.分散投資が可能である
REITの中には様々な不動産を運営している複合型、総合型と呼ばれるものがあります。複合型REITに投資することで、住宅やオフィス、ホテルなどの様々な不動産に一度に分散投資が出来るメリットがあります。
例えば、2020年2月に始まった新型コロナウイルスの影響により、各種REITの大幅な下落が起きました。しかし、ホテルなどの観光施設のREITと物流系のREITではその下落率は異なり、一か所に資金を集中した場合と比較してリスクは低減されることが分かります。
【関連記事】コロナショックの影響が少なかったREIT(リート)は?物件や銘柄のタイプ別に比較
実物不動産の投資と比較して、手軽に複数の物件タイプに分散投資できる点はメリットと言えるでしょう。
2-5.プロが不動産を運用してくれる
REITでの不動産の運用は不動産投資のプロが行うため、不動産投資の知識が少ない初心者の方でも利益が得やすくなっています。
また自分で直接不動産を運用する手間や経費が発生しない点もメリットと言えます。不動産投資に興味があるものの、本業が忙しい方や、これから不動産の勉強を始めたい方でも検討しやすいでしょう。
3.REITのデメリット
一方、REIT投資を始めるのであればデメリットも知っておくことも重要です。REITのデメリットを理解し、リスク対策を行いましょう。
それぞれ詳しく解説します。
3-1.相場の変動が激しい
2020年2月から2020年3月のコロナショック時、REITの取引価格は半値に下がりました。実物の不動産投資と比べてボラティリティ(価格変動の度合い)が高い金融商品となっています。
3-2.災害リスクなどの影響がある
REITは不動産を運営するため、投資先の不動産が被災し、収益が失われるリスクがあります。台風や地震などの自然災害が発生しやすい国であるため、REITもその影響を受けやすいのです。
3-3.運営法人の倒産の可能性がある
REITを運営している不動産投資法人が倒産してしまうと、REITは上場廃止になります。REITの倒産時には不動産が売却され、売却金から投資家に資金が返金されますが、満額で戻る保証はありません。
2008年のリーマンショック時にはREITの相場が大幅に下落し、複数の不動産投資法人が倒産した事例がありました。
また、REITの運営元が証券取引所の上場廃止基準に該当してしまえば、上場廃止になってしまうことがあります。これは実物の不動産投資にはないリスクと言えます。
4.主なREITの種類
REITには運用する不動産の種類によって複数のタイプがあります。その代表的なものを挙げてみましょう。
- オフィス運営特化型:会社のオフィスが入居するビルを運営するREIT
- 物流不動産特化型:倉庫などの物流不動産を運営するREIT
- 居住物件特化型:マンションなどの居住用物件を運営するREIT
- 商業施設特化型:百貨店やショッピングモールなどを運営するREIT
- ホテル特化型:ホテルや宿泊施設を運営するREIT
- 複合型:異なる2つの分野の不動産を運営するREIT
- 総合型:3つ以上の分野の不動産を運営するREIT
上述した通り、REITの種類によって相場の影響による上昇率や下落率は異なります。分散投資によるリスク分散を行うのであれば、複合型や総合型のREITに投資するなど工夫をすることが大切です。
5.東証REIT指数とは
REITにおける相場の変動を示す数値の1つとして、東証REIT指数があります。東証REIT指数は、東京証券取引所に上場しているREITの全銘柄を対象にしています。
東証REIT指数を見れば、REITの相場がどの程度変動しているのか、毎日把握できます。
REITの時価総額に連動した指数で、東京証券取引所が発表しています。
投資前には指数をチェックのうえ、相場の変動を見定めましょう。
まとめ
REITは比較的少ない資金で不動産投資を始めることが可能であり、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙えるメリットがあります。
しかし、不況時には株式市場以上の下落が発生するなど、リスクのない投資方法ではありません。REITに投資する時は銘柄ごとの特徴を知り、どのようなタイミングで利益が出やすいのか、いつリスクが発生するのか、理解しておくことが重要です。
リスク分散をするのであれば、複数のタイプのREITを購入したり、他の投資と組み合わせたりして投資ポートフォリオを構築していくと良いでしょう。
この記事でご紹介したREITの基礎知識を基に、REITへの投資がご自分に合っているか検討してみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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