マンションの売却活動をしている途中に、何かの事情で売却をキャンセルすることもあるでしょう。
その場合は不動産売買契約を締結しているかどうかで、キャンセル時のリスクが大きく変わってきます。売買契約前であれば原則違約金は発生しませんが、売買契約後は違約金が発生する可能性があるためです。
本記事ではマンションの売却をキャンセルできるタイミング・手順を、契約前と契約後それぞれのタイミングで解説していきます。マンションの売却をキャンセルしようと思っている方は参考にしてみてください。
目次
- 不動産売買契約前の売却キャンセル
1-1.買付申込みを受けた後でも売却キャンセルは可能
1-2.手付金が振り込まれている場合は返金する
1-3.キャンセル時の手順
1-4.買主に迷惑がかかるためなるべく避ける - 不動産売買契約後のマンション売却キャンセル
2-1.違約金が発生する可能性が高い
2-2.仲介手数料の返金は取り決めによって異なる
2-3.キャンセル時の手順 - まとめ
1.不動産売買契約前の売却キャンセル
マンションの売却の大まかな流れとして、下記のような流れとなります。
- 不動産会社へ査定依頼
- 仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を締結
- 購入希望者から買付を受ける
- 条件をすり合わせて売買契約を締結、手付金の受け取り
- 不動産の引渡しと残金決済
この大まかな流れの中で不動産売買契約を結ぶ前なら、原則どのタイミングでもマンション売却はキャンセルできます。ただし、仲介会社のこれまでの売却活動の負担、購入検討者が準備していた作業が無駄になってしまうため、注意して売却キャンセルを行うことが大切です。
ここでは、以下の内容について解説していきます。
- 買付申込みを受けた後でも売却キャンセルは可能
- 手付金が振り込まれている場合は返金する
- 買主に迷惑がかかるためでなるべく避ける
- キャンセル時の手順
それぞれ詳しく見て行きましょう。
1-1.買付申込みを受けた後でも売却キャンセルは可能
上述のように、売買契約を結ぶ前であればいつでもマンションの売却はキャンセル可能で、それは買付のあった申込み後でも同様です。買付などの申込みには法的な拘束力がなく、キャンセルしたとしても違約金などは発生しません。
1-2.手付金が振り込まれている場合は返金する
マンションの売買時は、買付申込みから売買契約を結ぶまでの間に購入者から手付金を預かることがあります。手付金を預かってから売却をキャンセルする場合は、手付金はそのまま返金します。
また申込み時に「申込金」を預かることがあります。申込金も手付金と同じく、マンション売却をキャンセルするときは購入者にそのまま返金します。
1-3.キャンセル時の手順
キャンセル時の手順は、仲介を依頼している不動産会社によって異なります。
例えば申込書に「売買契約の予定日が過ぎれば自動的に申込みはキャンセルになります」という文言がある場合、不動産会社の営業担当者が、買主にキャンセルの旨を連絡すれば、売買契約の予定日を過ぎた時点で売却のキャンセル手続きは完了です。
一方そのような文言がない場合は、申込みキャンセルの書類に署名・捺印することもあります。
いずれにしろ、不動産会社の営業担当者が買主にキャンセルの旨を伝えます。キャンセル時に書面が必要か否かは、担当者に問い合わせてみましょう。
なお申し込みを受ける前の「検討段階」で売却を取り止める場合は、不動産会社の営業担当者が検討者へ売却取り止める旨の連絡を入れることで売却キャンセルが完了します。
1-4.買主に迷惑がかかるためなるべく避ける
売買契約を結ぶ前であれば売却をキャンセルしても問題ないものの、なるべく避けた方が良いでしょう。
売却をキャンセルすると買主はイチから物件探しをすることになるうえ、金融機関への事前審査などの手間が無駄になることもあります。売却をキャンセルする場合は、買主には誠意をもってキャンセル理由を伝えることが大切です。
またキャンセルする場合はなるべく早く不動産会社の担当者に伝え、迅速に手続きするようにしましょう。
2.不動産売買契約後のマンション売却キャンセル
売買契約を結んだ後に売却をキャンセルすると、違約金が発生するため注意しましょう。そのリスクなどを含め、以下の3点について解説します。
- 手付金が違約金代わりになる
- 仲介手数料の返金は取り決めによって異なる
- キャンセル時の手順
こちらもそれぞれ詳しく見て行きましょう。
2-1.違約金が発生する可能性が高い
売買契約を結んだ後は、多くの契約パターンで売買契約前に預かっている手付金は違約金になります。例えば手付金を300万円預かっている場合は、その300万円を買主に返金し、かつ違約金として買主に300万円支払う契約になります。
また、手付解除が出来るタイミングについても売買契約書によって制限されているケースがほとんどです。契約後に売却キャンセルを検討する際は、手付解除がいつまで可能なのか、日付を確認しましょう。
ただし、建物が災害などで滅失・棄損したときは、売主から売却をキャンセルしても違約金なしの白紙解約になるケースもあります。建物が滅失すれば引き渡せないため、そのまま売買契約は白紙解約となり、建物が棄損し修復が困難な場合にも白紙解約となります。
それぞれ契約解除の取り決めについては売買契約書に記載されているため、事前に確認しましょう。
2-2.仲介手数料の返金は取り決めによって異なる
売買契約成立後のキャンセルは、仲介手数料の扱いにも注意が必要です。例えば、仲介手数料は売買契約時に半金を支払い、引き渡し時に半金を支払うケースがあります。この場合、売買契約後のキャンセルは既に仲介手数料の半金を支払っていることとなります。
その仲介手数料が返金されるかどうかは仲介を依頼した際の媒介契約書の文言次第となります。例えば以下のような文言がある場合は、返金されない可能性が高くなります。
- 目的物の売買が成立したときに報酬を請求できる
- 売買に停止条件がある場合は条件成立時のみ成立できる
ここでいう報酬とは仲介手数料のことです。つまり売買契約が成立した時点で仲介手数料は発生し、停止条件がある場合は停止条件に該当しなかったときのみ、仲介手数料が発生します。
停止条件とは「住宅ローンが通らなかったら売買契約は解除になる」など、買主側の条件を指すことが多いでしょう。仲介手数料の取り扱いは媒介契約書の内容次第のため、売却をキャンセルする前に文言の確認が必要です。
2-3.キャンセル時の手順
売買契約が成立した後に売買契約をキャンセルする際は、仲介している不動産会社が用意する書面に署名・捺印します。書面の形式は不動産会社によって異なりますが、書面の内容は必ず確認し、気になるポイントがあれば担当者へ質問をしましょう。
その書面を二部用意して、買主・売主がそれぞれの欄に署名・捺印、および手付金を返還すると売買契約はキャンセルされます。
まとめ
このようにマンション売却をキャンセルする場合は、売買契約を結んでいるかどうかが重要です。売買契約を結んでいる場合は違約金が発生するため、もし売買契約を結ぶ前の段階でキャンセルの意向があるなら、早めに不動産会社へ連絡しましょう。
また違約金以外に仲介手数料の支払いが発生する場合もあります。媒介契約書・売買契約書を締結する際は、解除条件についても事前確認を行い、慎重に進めて行くことが重要と言えるでしょう。
中村 昌弘
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