コロナショックの影響が少なかったREIT(リート)は?物件や銘柄のタイプ別に比較

REITは不動産投資信託の略称で、運営会社が数々の不動産の購入と運用を行い、そこから得た家賃収入や売却益などを投資家に分配する投資手法です。

インカムゲインだけではなく、キャピタルゲインも得られる投資手法ですが、その相場は必ずしも安定しているとは言えないものです。ただし、REIT にも多様な種類があり、運用物件の種類によっては景気の影響を受けにくいREITのタイプがあります。

そこで、新型コロナウイルスの影響により相場が大きく変動した2020年2月から4月の市況から、比較的影響が少なかったREIT銘柄を見ていきましょう。

目次

  1. 2020年2~4月のREIT市況
    1-1.2月から3月にかけて50%の下落
    1-2.3月からは上下を繰り返す展開
  2. 下落したREIT、上昇するREITとは
    2-1.ホテルREITは大幅な値下がり
    2-2.住居型REITは比較的手堅い
    2-3.物流REITは躍進
  3. 景気の影響を受けにくく、不況に強いREITとは
  4. まとめ

1.2020年2~4月のREIT市況

2020年2月からの新型コロナウイルスの流行により、アメリカの株式相場が大きく下落したことを受け、日本の株式市場とREIT市場が大きく暴落しました。

まず、この2ヶ月でどれほどの値動きがあったのか、確認しましょう。

1-1.2月から3月にかけて50%の下落

2020年に入ってJ-REITの最高値は2,300でした。2012年に始まったアベノミクス以降のREITは緩やかな上昇を続けており、リーマンショック前の水準に迫る勢いで指数を伸ばしていたのです。

2020年2月21日に付けた東証REIT指数は2,250でしたが、新型コロナウイルスの影響によりわずか1ヶ月後の2020年3月19日には1,150にまで下がりました。

同期間の株式市場における株価の平均下落率(約30%)と比較しても、REIT市場のボラティリティ(資産価格の変動の激しさを表すパラメータ)は非常に高いと言えるでしょう。

2.下落したREIT、上昇するREITとは

REITと一口に言っても、運用する物件によって収益性や安定性は違ってきます。

ここでは主な種類として、下記のREITを挙げています。

  • ホテルなどの観光施設を運用するホテル主体REIT
  • マンションなどの居住用物件を運営する住居型REIT
  • 物流用の不動産を運用する物流REIT

運用する不動産によってどのような違いがあるのか、1年間(2019年4月10日~2020年4月9日期間)のREITの主な銘柄の騰落率から判断してみましょう。

2-1.ホテルREITは30%以上の大幅な値下がり

REIT市場に上場している銘柄から、1年間の暴落率の大きい銘柄を見てみましょう。2019年4月10日~2020年4月9日期間のホテルREITの主な銘柄の騰落率は、以下のようになっています。

銘柄 価格騰落率 タイプ
いちごオフィスリート投資法人 -35.09% 事務所主体型
ヒューリックリート投資法人 -35.19% 総合型
大江戸温泉リート投資法人 -37.14% ホテル主体型
ユナイテッド・アーバン投資法人 -37.9% 総合型
福岡リート投資法人 -38.35% 総合型
ケネディクス商業リート投資法人 -41.45% 総合型
日本リテールファンド投資法人 -46.06% 商業施設主体型
インヴィンシブル投資法人 -51.29% ホテル主体型
いちごホテルリート投資法人 -54.59% ホテル主体型
ジャパン・ホテル・リート投資法人 -60.35% ホテル主体型

上の表を見てみると、ホテルREITは大きな下落が確認できます。

インバウンド需要が大きく低下したことによってホテルの宿泊数や売上が減り、ホテルREITの各銘柄の価格も下落していると考えられます。

2-2.住居型REITでは比較的に影響が少ない

次に、住居型REITを見てみましょう。

2019年4月10日~2020年4月9日期間の住居型REITの主な銘柄の騰落率は、以下のようになっています。

銘柄 価格騰落率 タイプ
日本アコモデーションファンド投資法人 12.14% 住居主体型
コンフォリア・レジデンシャル投資法人 4.73% 住居主体型
スターツプロシード投資法人 3.8% 住居主体型
大和証券リビング投資法人 3.36% 住居主体型
アドバンス・レジデンス投資法人 2.28% 住居主体型
サムティ・レジデンシャル投資法人 -10.64% 住居主体型

住居型REITは、ホテルREITと比べて今回のコロナ不況の影響は軽微だと言えるでしょう。家賃相場も2020年4月時点では大きく下落していません。居住施設は人間が生活しているうえで必ず必要なものであり、こういった株価急落局面での影響が比較的少ないと言えるでしょう。

2-3.物流REITの銘柄は上昇傾向にある

続いて、REIT銘柄の中から、2019年4月10日~2020年4月9日期間に上昇している主な銘柄の騰落率を見て行きましょう。

銘柄 価格騰落率 タイプ
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 0.3161 物流主体型
三菱地所物流リート投資法人 30.88% 物流主体型
ラサールロジポート投資法人 30.68% 物流主体型
産業ファンド投資法人 12.56% 複合型
日本アコモデーションファンド投資法人 12.14% 住宅主体型
CREロジスティクスファンド投資法人 10.94% 物流主体型
日本プロロジスリート投資法人 10.03% 物流主体型
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 5.86% 物流主体型
コンフォリア・レジデンシャル投資法人 4.73% 住宅主体型
日本ロジスティクスファンド投資法人 4.58% 物流主体型

上記の表から、上昇している銘柄の内、7銘柄が物流REITであることが確認できます。

物流REITが伸びている背景として、インターネット販売の市場規模の拡大によって、物流施設の需要が増していることが挙げられます。新規店舗の施工面積よりも新規物流関連施設の施工面積が上回っており、インターネットショッピングを利用する人が増えた結果、人々が買い物をする場所がお店ではなく、インターネットが主流となっています。

このような背景から、新型コロナウイルス影響が著しい特殊な状況下でも、物流倉庫を運営する物流REITは上昇基調にあると考えられます。

3.景気の影響を受けにくく不況に強いREITとは

2019年4月10日~2020年4月9日期間において、物流REITと居住用REITはホテルREITなどと比べてコロナショックの影響が比較的少ないことが分かります。

この結果から、人々の生活に必要不可欠な施設に投資しているREITは相場の変動の影響が小さい、ということが推察できます。

一方、ホテルなどの観光施設を運営するREITは上昇下落幅が大きく、想定利回りも比較的高くなっていますが、住居や物流と比較して人々の生活に必ずしも必要なものではないだけに、景気の影響を受けやすいと考えられます。

REIT投資では、相場や景気が低迷している時は住居型REIT、好調である時はホテルREITに投資するなど、状況に合わせて投資先を変え、バランスよく分散投資することが重要であると言えるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスによる影響が出るまで、各分野のREITは上昇傾向にありました。しかし、2020年4月時点で、各分野により景気の影響が大きい分野と少ない分野で大きく差がついていることが分かります。

REITは不動産事業に特化した投資信託であり、相場の影響を免れられない投資方法です。投資を検討する際は、様々な状況を考慮しながら下落リスクについて留意し、慎重に判断していきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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