不動産相続で土地の分筆をするメリット・デメットは?注意点も

相続財産に土地が含まれている場合、一つの土地をそのまま相続せず、分筆してそれぞれ相続する方法があります。しかし土地を分筆した結果、土地の形が不整形になってしまって土地の価格を下げてしまうケースもあるため、慎重に検討したいポイントと言えます。

本記事では不動産相続で土地を分筆するメリット・デメリット、注意点を解説していきます。

目次

  1. 不動産相続と土地の分筆
  2. 不動産相続で土地を分筆するメリット
    2-1.分割しやすくなる
    2-2.基本的に使い道を変えられる
    2-3.共有名義のリスクを回避できる
  3. 不動産相続で土地を分筆するデメリット
    3-1.分筆の手間とコストがかかる
    3-2.固定資産税の負担が増えることがある
    3-3.土地の価値が下がる可能性がある
  4. 土地の分筆にあたっての注意点
    4-1.建築物を建てる土地には接道義務がある
    4-2.分筆が不可能な土地がある
    4-3.その他の遺産分割の方法と比較する
  5. まとめ

1.不動産相続と土地の分筆

土地は「1筆・2筆」と数え、土地を分割し1つの土地として地番を付けて登記することを「分筆登記」と言います。逆に複数の土地を1つにまとめることを「合筆」と呼びます。

分筆はローンが残っている(抵当権が付いている)土地でも可能ですが分筆した全ての土地に抵当権が設定されますので、注意が必要です。

「分筆して一部を売却したい」という場合、ローンを契約している金融機関の許可を得て「抵当権消滅(一部抹消)承諾書 」を貰い法務局に提出することで抵当権が抹消した土地として売却できます。

相続の場面で土地を分筆する事例としては、下記のようなケースがあります。

  • 分筆でスムーズに遺産分割したい
  • 土地が広すぎて買い手が現れない
  • 土地の一画に建物を建てたい

例えば相続財産が土地のみの場合、土地を分筆して各相続人の単独名義にすることで、遺産分割がスムーズになります。

また、郊外の土地では「広すぎてなかなか買い手が付かない」ということもありますが、分筆することで住宅用の土地として購入希望者が見つかる可能性があります。

加えて親が所有していた土地の一画に自身のマイホームや賃貸住宅を建てたい場合、分筆して土地を切り離すことで権利関係がシンプルになります。

2.不動産相続で土地を分筆するメリット

相続時に土地の分筆を行う事で、分割しやすくなる、共有名義のリスクを回避できるなどのメリットがあります。

  • 分割しやすくなる
  • 基本的に使い道を変えられる
  • 共有名義のリスクを回避できる

2-1.分割しやすくなる

土地を分筆することで相続財産として分割しやすくなるというメリットがあります。特に相続人同士で土地の使い道(売却・賃貸など)で意見が別れている時には分筆することでそれぞれの希望が通りトラブルを回避できます。

2-2.土地の活用方法・使い道を変えられる

土地の登記事項証明書には「地目」という項目があり、住宅用の土地は「宅地」、用水を利用して耕作する土地は「田」など用途が記載されています。土地を分筆して「地目変更登記」の手続きを行う事で、それぞれ異なる使い道が可能となります。

ただし、建物を建てる際には、建築基準法の「用途地域」によって建築できる建物の床面積や用途が定められていますので、所在地の役所に確認しておきましょう。なお、登記簿の地目が農地(田、畑)の際には農業委員会に「農地転用許可」の申請書を提出しなくてはいけません。

2-3.共有名義のリスクを回避できる

土地を共有名義にすると、所有者全員の許可を得なければ売却・賃貸などの活用ができず、次の相続が起きたときに権利関係が複雑化していくという大きなデメリットがあります。相続人の意見が食い違う際には、トラブルに発展してしまう事例も見られています。

土地を分筆してそれぞれを相続することで、各相続人の単独名義となり、このような共有名義のリスクを回避できます。

3.不動産相続で土地を分筆するデメリット

分筆のデメリットには、手間とコストがかかる、固定資産税の負担が増える可能性があるなどが挙げられます。

  • 分筆の手間とコストがかかる
  • 固定資産税の負担が増えることがある
  • 土地の価値が下がる可能性がある

3-1.分筆の手間とコストがかかる

土地の分筆を行う時には土地家屋調査士に分筆を依頼し、法務局で公図・測量図などを取得、土地家屋調査士の現地調査に立ち会い分筆案を作成、境界標を設置し登記手続きを行います。

相続人にとって書類を集める手間や土地家屋調査士に支払う報酬、登記費用などが負担になってしまうことがあります。隣地との境界が明らかでない時は実地調査や測量などの調査で筆界(土地の正式な境界)を明確にすることも必要です。

3-2.固定資産税の負担が増えることがある

不動産を所有すると固定資産税が課されますが、住宅用の土地は軽減制度があり200㎡以下の部分は計算の基となる価格が1/6に、200㎡を超える部分は1/3となります。

被相続人(亡くなった方)の家屋を取り壊し分筆するケースでは、住宅用地の軽減対象だった場合、家屋がなくなった事で対象から外れ、固定資産税の負担が増えてしまいます。

3-3.土地の価値が下がる可能性がある

分筆した結果、土地の形状が整形地(正方形・長方形の土地)でなくなってしまった場合、土地の価値が下がってしまうことがあります。

また土地の使い勝手が悪くなり売却できない事例や、広く土地を使う事が多い郊外の土地を分筆した結果買い手が見つからないといったケースもあります。

特に注意しておきたいのは、面している道路との関係です。建築基準法では、土地に建物を建築する際に原則として、公道などの幅員4m以上に2m以上面している必要があります。分筆を行った結果、再建築ができない土地になってしまう恐れがあります。

4.土地の分筆にあたっての注意点

分筆を行う際には、接道義務や土地の境界に注意しましょう。

4-1.建築物を建てる土地には接道義務がある

前述したように、建築基準法には「建築物を建てる土地は原則として道路に2m以上接しなくてはいけない」という規定(接道義務)があります。

建築の予定がある土地は、分筆案を作成する際に接道義務に気を付けましょう。建物の用途・規模などによっては道路の幅にさらに制限が生じる事があります。需要や使い勝手を考えて分筆を行う必要があるため、専門家への相談も検討しながら慎重に検討しましょう。

4-2.分筆が不可能な土地がある

土地の境界が曖昧で正確な面積が分からない土地は分筆ができません。「筆界特定制度」という土地の所有者の申請によって筆界特定登記官が筆界調査委員(外部の専門家)の意見を聞きながら筆界の位置を特定する制度があります。法務局に尋ね、必要に応じて利用しましょう。

筆界特定とは新たに筆界を決めるわけではなく、実地調査・測量などから筆界特定登記官が元々の筆界を明らかにすることです。申請手数料や測量費などが必要となりますが、筆界を公的な判断で明確にすることができ土地の分筆が可能になります。

4-3.その他の遺産分割の方法と比較する

土地を分筆して相続する遺産分割の方法は「現物分割」と呼ばれます。遺産分割の方法には、現物分割以外にも、代償分割、換価分割などがあり、分筆を行う前にこれらの分割方法と比較して検討してみることが大切です。

特に、土地の利用目的が定まっていない場合や売却を検討しているのであれば、分筆を行わずにそのまま換価分割を行った方が、相続財産の資産価値を守れる可能性があります。その他、誰かが代表して相続するのであれば、代償分割によって公平性を保ったまま、土地を相続することもできます。

このように、その他の分割方法を選択することで、分筆のデメリットを回避できることがあります。その他の遺産分割の方法と比較し、相続人同士で話し合ってみると良いでしょう。

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なお、不動産相続を行う際は公平性を保てるように、土地の時価を確認しておくことが大切です。複数の不動産会社へ査定依頼ができる不動産一括査定サイトを利用するなどして、不動産価格について調査することも検討されてみると良いでしょう。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
すまいValue 不動産仲介大手6社による共同運営 査定は業界をリードする6社のみ。全国900店舗。利用者の96.3%が「安心感がある」と回答
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

まとめ

土地の分筆には分割しやすくなる、基本的に使い道を変える事ができるなどのメリットがある一方で、手間とコストがかかり固定資産税の納税額が増えてしまう可能性があるというデメリットもあります。

接道義務や境界線の問題など注意点と併せてメリット・デメリットを把握し分筆を検討することが大切です。この記事を参考に相続における土地の分筆について知り、実際の場面に活かしていきましょう。

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田中 あさみ

田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。